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まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学
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まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

見田宗介【著】

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まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2008/11/30
JAN 9784309244587

まなざしの地獄

¥1,375

商品レビュー

4.4

18件のお客様レビュー

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2023/10/09

永山則夫事件をとおして、都市に流入する若者の在り方を洞察した本。 とまとめておく。 高度成長期に都市に流入した「金の卵」の若者たちは、他者からの自らを規定しようという「まなざし」と、自己解放のための上京の間で苦しむ。 ましてや、その「まなざし」が否定的なものであれば、さらに苦し...

永山則夫事件をとおして、都市に流入する若者の在り方を洞察した本。 とまとめておく。 高度成長期に都市に流入した「金の卵」の若者たちは、他者からの自らを規定しようという「まなざし」と、自己解放のための上京の間で苦しむ。 ましてや、その「まなざし」が否定的なものであれば、さらに苦しむ。 また、「新しい望郷の歌」では、ふるさとが、「帰る」ものから「作る」ものへと変遷していくさまを分析している。 この本の何がすごいのか、という解説がしっくりきた。 ① 死刑囚の人生という極限値と、都市の若者の一般的意識の平均値を組み合わせることで一つの結論を導きだしていること。   前読んだ小熊さんの本でも、調査の方法は様々あると学んだが、この本では質的調査と量的調査を組み合わせて社会を分析している。   数値でしか見えない部分を、死刑囚の人生を負うことで、実はこの統計の背景にあるのはこういった思いではないかという分析が非常に面白い。   「当時の若者は給料にはこだわらないのだな」という統計的結果から、まなざしの地獄から逃走しようとする青少年たちを捉えている。   普通の人間ではこんな分析はできない。 ② 現代社会の写し鏡のような分析であること。   当時の若者は、まなざしの地獄からの逃走と戦ったが、2000年代の若者は誰のまなざしからも届かないところにいるところからスタートする。   2000年代のの若者にとっては、まなざしの不在の方が地獄なのである。   N・Nはまなざしの不在から逃れるために、何の関係のない他者を殺す。そこで自己を確信する。   しかし、同じような事件を起こした現代のKは、まなざしの不在に苦しみ、自己をシニカルに顧みるが、何の関係のない他者を殺すことで自己を確信する。 じゃあ、さらに2020年代になってみてはどうなんだろうか。 今の若者は、他者の「まなざし」に対してどう生きているのか。 逆に、「まなざし」を渇望しているような気はする。 自己を規定するまなざしというよりかは、逆に今は頑張れば、他者から見られる自分を作ることができる。 他者の「まなざし」をコントロールできるようになった今、その自由さに苦しんでいるような気もする。 という安直な考察をしてみたが、多分、この本のように確固たる考察をしないと分からないものだとも思う。

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2022/03/14

社会学の面白さを教えてくれた本。 授業の教科書として購読したが、初めは堅苦しい本に感じてあまり面白いと思わなかった。しかし、無駄のない簡潔な短い文章でありながら、そこらじゅうに考えさせられる言葉が敷き詰められている。 尽きなく生きるとは何なのか。 何ヶ月後、何年後と何回も繰り返し...

社会学の面白さを教えてくれた本。 授業の教科書として購読したが、初めは堅苦しい本に感じてあまり面白いと思わなかった。しかし、無駄のない簡潔な短い文章でありながら、そこらじゅうに考えさせられる言葉が敷き詰められている。 尽きなく生きるとは何なのか。 何ヶ月後、何年後と何回も繰り返し読んで、自分が今感じている感想とぜひ比較したい。

Posted by ブクログ

2022/03/09

ひとりの人生の体験を中心として、社会からの視線、家郷、帰る場所の再考を提起する作品でした。 少し読みづらい部分もありましたが、本編は120ページほどで分量としては読みやすかったです。 社会学的なテーマで、地方と都市のどちらも嫌な部分が上手く抽出されている。 社会の柵と言ってしまえ...

ひとりの人生の体験を中心として、社会からの視線、家郷、帰る場所の再考を提起する作品でした。 少し読みづらい部分もありましたが、本編は120ページほどで分量としては読みやすかったです。 社会学的なテーマで、地方と都市のどちらも嫌な部分が上手く抽出されている。 社会の柵と言ってしまえば簡単だが、その社会を構成する人の集まり、その中で生まれる暗黙の了解、社会的望ましさなどが、アイデンティティを否定的に意味付け、若者の自由意志を潰し、逸脱を引き起こす。 犯罪者という先入観無しに読めなかったわたしもまた、社会のまなざしの中でしか生きることのできない危うい人間だと思う。

Posted by ブクログ

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