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まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
| 発売年月日 | 2008/11/30 |
| JAN | 9784309244587 |

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まなざしの地獄
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商品レビュー
4.3
19件のお客様レビュー
1970年代、当時19歳のN.Nの連続射殺事件を通して社会を考察した本。農業が廃れ、若者はもはや帰るべき場所としての故郷を失い、新しい居場所を求める自由意志を持った人間として上京する。都市は若者を歓迎するが、あくまでも安くて丈夫な使い勝手の良い労働力としてであり、両者には溝が存在...
1970年代、当時19歳のN.Nの連続射殺事件を通して社会を考察した本。農業が廃れ、若者はもはや帰るべき場所としての故郷を失い、新しい居場所を求める自由意志を持った人間として上京する。都市は若者を歓迎するが、あくまでも安くて丈夫な使い勝手の良い労働力としてであり、両者には溝が存在していた。N.Nは出身地や貧困が理由で差別的な扱いを受け、去ったはずの過去をみる人々のまなざしに苦しめられ、国外への脱出をはかりその過程で事件が起こる。特殊事例を考察することで、普遍的な事象を観察できる。統計的事実の実存的意味。
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メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1944270016766951882?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
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永山則夫事件をとおして、都市に流入する若者の在り方を洞察した本。 とまとめておく。 高度成長期に都市に流入した「金の卵」の若者たちは、他者からの自らを規定しようという「まなざし」と、自己解放のための上京の間で苦しむ。 ましてや、その「まなざし」が否定的なものであれば、さらに苦し...
永山則夫事件をとおして、都市に流入する若者の在り方を洞察した本。 とまとめておく。 高度成長期に都市に流入した「金の卵」の若者たちは、他者からの自らを規定しようという「まなざし」と、自己解放のための上京の間で苦しむ。 ましてや、その「まなざし」が否定的なものであれば、さらに苦しむ。 また、「新しい望郷の歌」では、ふるさとが、「帰る」ものから「作る」ものへと変遷していくさまを分析している。 この本の何がすごいのか、という解説がしっくりきた。 ① 死刑囚の人生という極限値と、都市の若者の一般的意識の平均値を組み合わせることで一つの結論を導きだしていること。 前読んだ小熊さんの本でも、調査の方法は様々あると学んだが、この本では質的調査と量的調査を組み合わせて社会を分析している。 数値でしか見えない部分を、死刑囚の人生を負うことで、実はこの統計の背景にあるのはこういった思いではないかという分析が非常に面白い。 「当時の若者は給料にはこだわらないのだな」という統計的結果から、まなざしの地獄から逃走しようとする青少年たちを捉えている。 普通の人間ではこんな分析はできない。 ② 現代社会の写し鏡のような分析であること。 当時の若者は、まなざしの地獄からの逃走と戦ったが、2000年代の若者は誰のまなざしからも届かないところにいるところからスタートする。 2000年代のの若者にとっては、まなざしの不在の方が地獄なのである。 N・Nはまなざしの不在から逃れるために、何の関係のない他者を殺す。そこで自己を確信する。 しかし、同じような事件を起こした現代のKは、まなざしの不在に苦しみ、自己をシニカルに顧みるが、何の関係のない他者を殺すことで自己を確信する。 じゃあ、さらに2020年代になってみてはどうなんだろうか。 今の若者は、他者の「まなざし」に対してどう生きているのか。 逆に、「まなざし」を渇望しているような気はする。 自己を規定するまなざしというよりかは、逆に今は頑張れば、他者から見られる自分を作ることができる。 他者の「まなざし」をコントロールできるようになった今、その自由さに苦しんでいるような気もする。 という安直な考察をしてみたが、多分、この本のように確固たる考察をしないと分からないものだとも思う。
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