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鏡の国のアリス 改訂新版 広瀬正・小説全集 4 集英社文庫
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鏡の国のアリス 改訂新版 広瀬正・小説全集 4 集英社文庫

広瀬正【著】

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鏡の国のアリス 改訂新版 広瀬正・小説全集 4 集英社文庫

775

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2008/10/25
JAN 9784087463668

鏡の国のアリス 改訂新版

¥775

商品レビュー

3.3

17件のお客様レビュー

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2024/01/10

 ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」を題にとって、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」という童話について──というか、そこからルイス・キャロル自身についての考察を──あくまでフィクションの中で試みている。この"フィクションの中で"というのが大事で、つまりこの小...

 ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」を題にとって、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」という童話について──というか、そこからルイス・キャロル自身についての考察を──あくまでフィクションの中で試みている。この"フィクションの中で"というのが大事で、つまりこの小説自体は「鏡の国のアリス」およびルイス・キャロルへの論文ではなくて、かつ、フィクションという形態を遵守することでメタ・フィクションにもならないように厳格に書かれている。  というか、ルイス・キャロルおよび「鏡の国のアリス」は実在する人物であり実在する童話であるから、それらについてをフィクションの中で偽史的に扱うことはメタ・フィクションではない。むしろ、実在した人物の背景を想像し捏造していく偽史という手法は逆メタというか、フィクションの力が現実を転覆せんとする痛快さがある。  「鏡の国のアリス」はifモノとしてミラーワールドを扱うことで、こちらの世界とあちらの世界のパワーバランスの転覆を図る。 それは、実在したルイス・キャロルとその童話について広瀬正が小説自体によって試みている挑戦と相似関係にあるように見える。

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2019/04/13

良書。 70年代のまさにSF。この頃は、夢があった。出来るか出来ないか判らないことを想像でSFにしていた。今は、出来るか出来ないか予想がつく時代になって、夢が物語が書きにくい時代なのではないだろうか。 今読むと、子供っぽいと感じるところもある。でも、恋愛なんてこれくらいが読んでて...

良書。 70年代のまさにSF。この頃は、夢があった。出来るか出来ないか判らないことを想像でSFにしていた。今は、出来るか出来ないか予想がつく時代になって、夢が物語が書きにくい時代なのではないだろうか。 今読むと、子供っぽいと感じるところもある。でも、恋愛なんてこれくらいが読んでてドキドキする。 鏡関係は難しい。だいぶ飛ばし読みした。作者の賢さ、こだわりが伝わる。

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2016/02/05

 小さな鏡の中を覗き込むと、そこに広い世界が広がっているのが見えるけれど、鏡の中に世界なんかあるわけがないのだ。いったいいつ頃から「鏡の中の世界」についてのお話があったのか知らないが、当然、キャロルの『鏡の国のアリス』を挙げねばなるまい。しかしこれは広瀬正の『鏡の国のアリス』であ...

 小さな鏡の中を覗き込むと、そこに広い世界が広がっているのが見えるけれど、鏡の中に世界なんかあるわけがないのだ。いったいいつ頃から「鏡の中の世界」についてのお話があったのか知らないが、当然、キャロルの『鏡の国のアリス』を挙げねばなるまい。しかしこれは広瀬正の『鏡の国のアリス』である。  『ミラーマン』は鏡の国からやってきたのだが、あまり不自由なくこっちの暮らしをしていたようだし、『仮面ライダー龍騎』では、鏡の世界にはいって戦うのだけど、鏡の世界にはいったからといって、左右が違って苦労するということはないようだった。  本書『鏡の国のアリス』の主人公は本来左利きなのにむりやり右利きに直して苦労していた青年である。今は無理に直したりしないだろうが、昔は直されたのだよ。それが銭湯に浸かっていたら左右が逆になって、男湯にいたはずが女湯にはいっていたというのが、話の始まり。細かいこと言うと、鏡の世界で左右が逆転したからといって、男湯から女湯に入れ違うというのは、何かちょっとおかしいのだけど、それはご愛敬。  鏡の世界では左利きが右利きとなって、苦労していたこの青年にとってはよいことずくめに思えたが、という小説である。  『マイナスゼロ』『ツィス』『エロス』と続けざまに直木賞候補となった矢先、あえなく夭折してしまった広瀬正の机には2作の長編が残されていた。『鏡の国のアリス』と『T型フォード殺人事件』である。そのほかにも幾多の長編の計画があったと聞くと、何とも惜しい気がするが、それはさておき。  『鏡の国のアリス』は長編とはいえ短めで、短編3作とで一冊本になっている。  テーマは鏡、というか左右対称の問題、量子論でいうパリティの問題である。途中、長々とパリティ論が解説されたり、初期のアイディア小説の流れを汲む面が強く、作品の完成度という点ではいささか落ちることは否めない。もっとも、左右反対の世界に迷い込んでしまった青年のお話を読みながら、楽しく物理学の対称性が学べる小説である。意外なオチも用意されている。  さて、なぜ鏡に映った自分は左右反対なのでしょうか。答えは本書を読まれたし。

Posted by ブクログ