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後白河院の近くにいた同時代人四人が語る当時の「現代史」。 本書の発表は1972年。 1995年に発表された辻邦生の「西行花伝」は、本書の形式に倣ったものであることが分かる。 四人とは平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実だ。 平信範は、平の名前を持つが、武家平氏の清盛と違っ...
後白河院の近くにいた同時代人四人が語る当時の「現代史」。 本書の発表は1972年。 1995年に発表された辻邦生の「西行花伝」は、本書の形式に倣ったものであることが分かる。 四人とは平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実だ。 平信範は、平の名前を持つが、武家平氏の清盛と違って貴族。堂上平氏と呼ばれる。鳥羽院、後白河院に仕える。 建春門院中納言は、後白河院の妃、平滋子。 清盛の夫人である時子の妹。 後白河院の間に高倉天皇を産む。 彼女の存在が、後白河院と清盛の融和を生み出していた。彼女の死によって後白河院と清盛な対立は先鋭化する。 吉田経房は、平氏政権の実務官僚だったが、源頼朝に認められ、鎌倉と朝廷との取次役を務める。 九条兼実は、摂関太政大臣。弟に天台座主慈圓がいる。後白河から、高倉•安徳•後鳥羽•土御門まで仕える。 こうした政権の中枢にいた人たちの視点で、平家政権の専横•崩壊、鎌倉政権の誕生を見つめ、頼朝より「大天狗」と呼ばれた後白河院の権謀術数を描き出す。 歴史の脇役ではあるが、転換期を経験した人たちの視点を以て歴史を語らせたことが秀逸。
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公家の世から武士の世に、古代から中世への時代のうねりの中心にいた、後白河院という人物について周りの者が語るというスタイルの小説。後白河院の青年期から晩年まで、全四部構成。最終章の語り部である九条兼実の信西入道評、そして後白河院評によって「日の本一の大天狗」の姿が垣間見える。
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平安時代、つまり貴族の時代が、完全に破壊されて鎌倉時代、つまり武士の時代に移ってゆくその時に治天の君として生き抜いた後白河院。4人が語る院の姿は、激流の中で動かない巨岩のような印象を受けました。
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