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後白河院 の商品レビュー

3.7

24件のお客様レビュー

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2023/05/05

平安時代、つまり貴族の時代が、完全に破壊されて鎌倉時代、つまり武士の時代に移ってゆくその時に治天の君として生き抜いた後白河院。4人が語る院の姿は、激流の中で動かない巨岩のような印象を受けました。

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2022/06/16

いつかの大河ドラマの清盛と、今やってる鎌倉殿の13人を必死で思い出しながら読んでる。難しい、観ててよかった。 権威権力は持っているけれど実力(軍事力)を持たない朝廷=後白河法皇が、 軍事力を持つ者らとどのように戦ったか。その時の大勢力に対し、対抗勢力に力をもたせ戦わせることで牽制...

いつかの大河ドラマの清盛と、今やってる鎌倉殿の13人を必死で思い出しながら読んでる。難しい、観ててよかった。 権威権力は持っているけれど実力(軍事力)を持たない朝廷=後白河法皇が、 軍事力を持つ者らとどのように戦ったか。その時の大勢力に対し、対抗勢力に力をもたせ戦わせることで牽制し、戦わせてやがて滅びていくのを見ている。不気味で冷静で、軍事力はないが権威あるものの戦い方。 後白河法皇、第一部〜第三部、言うことバラバラやん!って思ってたけど、第四部で、実は一目的は貫してるってことがわかった。

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2020/11/15

『しろばんば』『敦煌』『額田女王』『孔子』。 これまでに読んできた井上靖作品は、これが全て。 後白河を取り上げたものがあったのか、と驚きもあって手にした。 ちょうど先日、アンソロジーで『梁塵秘抄』に触れたばかりだったことだし。 源平争乱のあの時代、白河、後鳥羽、崇徳、後白河あた...

『しろばんば』『敦煌』『額田女王』『孔子』。 これまでに読んできた井上靖作品は、これが全て。 後白河を取り上げたものがあったのか、と驚きもあって手にした。 ちょうど先日、アンソロジーで『梁塵秘抄』に触れたばかりだったことだし。 源平争乱のあの時代、白河、後鳥羽、崇徳、後白河あたりの天皇家の確執に、摂関家、武家の覇権争いが重なる。 その構図の複雑さに、どうしてもこの時代を扱ったものを避けて通りたくなる。 だから、四つの章の語り手が、平信範、建礼門院中納言(健御前)、吉田経房、九条兼実と移り変わっていくこの小説はの結構は、表現効果の見事さはわかっても、少しつらい。 近づいて来る者たちに心を許さず、自分に離反する時期が来たら切り捨てる。 こうして一人生き延びたのが後白河という帝王だった、というのが、この作品での後白河像だ。 乱世の中、語ることと書き残すことで身を支えてきた貴族社会の人々の無力感を思ってしまった。

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2018/10/13

平安末期から鎌倉初期、つまり院政期から武士の台頭、保元・平治の乱、平家全盛と没落から鎌倉幕府の時代、年代で言えば12世紀の日本の中央権力の有様を復習できる、またある程度わかっていないと読んでもなんのことかわからない。 院政の始まりの部分はいまいちわからない―中公文庫の「日本の歴史...

平安末期から鎌倉初期、つまり院政期から武士の台頭、保元・平治の乱、平家全盛と没落から鎌倉幕府の時代、年代で言えば12世紀の日本の中央権力の有様を復習できる、またある程度わかっていないと読んでもなんのことかわからない。 院政の始まりの部分はいまいちわからない―中公文庫の「日本の歴史 6:武士の誕生」でわかった。道長から次の次の代ですでに院政の萌芽があったのだ。驕れる者は久しからず! 院政の権力自体にパワー的な無理があったから武士が台頭したのかな・・・たぶん。院政の守護者としての北面の武士。ということは道長の時代の武力はいかに存在していたのか、というテーマもまたある。 しかし、こうして歴史ものを読んでいくと江戸250年の平和の実現は相当にすごいことだ。250年も続く事自体が驚くべき。それは逆説的に「なぜ、それ以前の時代は平和が長続きしないのか」という問いを発することになる。鎌倉幕府も室町幕府も。 一番単純に言えば「辺境がある間は平和にはならない」という大胆なまとめかな。島国なので、まあ主な島だけに限ってでいいのだが、日本という国土の中に辺境がある間は、辺境の支配と中央の支配が別であるわけで、支配力と支配力の衝突は常に起こり平和にはならない。秀吉・家康によって辺境は消滅した。 世界に敷衍すれば・・・地続きに辺境があれば平和にはならないのだろう。山とか川とか自然の障壁があればそうでもないかもしれない。資本主義もまた同じか あるいは逆か

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2018/01/22

後半流し読み。 なんだか平安時代の話は苦手である。 とっつきにくいというか。 まぁ、知識がないだけなのであろう。

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2016/06/11

時代は平安末期から鎌倉幕府の始まるくらいまで、公家の衰退が進む中、公家のトップとして武家の勃興と渡り合う後白河院の生涯を四人の語り手が読み解く。日本史でも、あるいは時代劇時代小説でも影の薄い時代かなと思うが、藤原摂関家、平清盛、木曽義仲、源義経、源頼朝など顔ぶれは豪華。もっと掘り...

時代は平安末期から鎌倉幕府の始まるくらいまで、公家の衰退が進む中、公家のトップとして武家の勃興と渡り合う後白河院の生涯を四人の語り手が読み解く。日本史でも、あるいは時代劇時代小説でも影の薄い時代かなと思うが、藤原摂関家、平清盛、木曽義仲、源義経、源頼朝など顔ぶれは豪華。もっと掘り下げたい欲求と、南北朝時代の本も読みたくなった。

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2016/03/11

歴史書だけでは分からなかった、源平の戦いの原因が少しは理解できた。後白河法皇が裏で暗躍していたと言われているが、井上靖はそれを否定している。暗躍ではなく法皇自身の考えで政をした。しかも、その政の精神は少しもぶれていない。武士や公家がその時々の状況で烏合集合したに過ぎないと。 この...

歴史書だけでは分からなかった、源平の戦いの原因が少しは理解できた。後白河法皇が裏で暗躍していたと言われているが、井上靖はそれを否定している。暗躍ではなく法皇自身の考えで政をした。しかも、その政の精神は少しもぶれていない。武士や公家がその時々の状況で烏合集合したに過ぎないと。 この本も旅行には持ってくるのには不向きだった。 チャイナタウン2ホテルに寄付する。

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2016/03/09

平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実の4人の人物の目から見られた、後白河法王の人物を描いた歴史小説です。 平清盛をさんざんにてこずらせるほどの政治力を発揮し、今様に熱中し『梁塵秘抄』をものした文化人でもある後白河法王ですが、本作は4つの視点から後白河法王の姿が語られている...

平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実の4人の人物の目から見られた、後白河法王の人物を描いた歴史小説です。 平清盛をさんざんにてこずらせるほどの政治力を発揮し、今様に熱中し『梁塵秘抄』をものした文化人でもある後白河法王ですが、本作は4つの視点から後白河法王の姿が語られているとはいえ、彼のさまざまな側面を順に映していくのではなく、あくまでその人間像に注目していると言えるように思います。その点では、著者の人間中心的な歴史小説の特色が強く出ているように思うのですが、同時代人の視点を借りることで、大岡昇平の批判する「借景小説」という批判を寄せ付けないところに、本作の構成の上手さがあると言えそうです。 吉川英治の『新・平家物語』などの小説を読んだことがある程度で、この時代についての十分な背景的知識を持ち合わせていないため、本作の魅力を十分に味わうことはできなかったのですが、それでも理解できる範囲でおもしろく読みました。

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2013/11/17

四部構成で、四人の人物が一人ずつそれぞれに、 院や院の身の回りでおきた事柄を回想して語る形式の小説。 語るのは、平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実の四人。 一部(平信範)と二部(建春門院中納言)は、 場面の設定や身分の関係か、 ものすごく丁寧な言い回しになっているので...

四部構成で、四人の人物が一人ずつそれぞれに、 院や院の身の回りでおきた事柄を回想して語る形式の小説。 語るのは、平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実の四人。 一部(平信範)と二部(建春門院中納言)は、 場面の設定や身分の関係か、 ものすごく丁寧な言い回しになっているので、 まどろっこしくて、読みにくくて、ちょっと飽きつつ読んだ。 三部(吉田経房)、四部(九条兼実)になると、 面白くなってきたものの、 この時代に起きたことをそもそもよく知らなかったこともあって、 この本の面白さを充分に噛みしめることができなかったと思う。 この本は歴史の流れを説明してくれる丁寧さはなくて、 歴史を知っている前提で楽しむ本だと思う。 ちょっと読むのが早かった。

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2013/10/05

井上靖は10代のときから好きな作家である。「あすなろ物語」「しろばんば」に始まり、「淀どの日記」「楊貴妃伝」「敦煌」「天平の甍」「蒼き狼」「本覚房遺文」など、むさぼり読んだ。特に「楊貴妃伝」と「淀どの日記」は好きで何度も何度も読み返し、これは今でも文庫本を手元に置いている。 渡...

井上靖は10代のときから好きな作家である。「あすなろ物語」「しろばんば」に始まり、「淀どの日記」「楊貴妃伝」「敦煌」「天平の甍」「蒼き狼」「本覚房遺文」など、むさぼり読んだ。特に「楊貴妃伝」と「淀どの日記」は好きで何度も何度も読み返し、これは今でも文庫本を手元に置いている。 渡米して日本の本をあまり買えなくなってから少し遠ざかっていたが、先日日本食料品店の古本コーナーで彼の「孔子」を見つけて買い、読んだ。ひさしぶりに読む彼の文体は美しく、ああ、私がこの人の作品を好きなのは、内容もさることながら、文体が好きだからなんだ、と痛感したものである。 そして日本から取り寄せた「後白河院」。昨年の大河ドラマ「平清盛」で、それまであまり詳しくなかった平安末期も人の名前や出来事が身近に感じられるようになったので、やっと、この時代を舞台にした作品を楽しめるようになったからこそ、この作品をじっくり味わうことが出来たようだ。 もっとも、後白河院を想像すると松田翔太さんの大河ドラマの顔が浮かぶのは避けられないのだが(笑)。 この辺りの歴史があまりわかっていないで読むと、それほど楽しめないかもしれない本ではあるが、井上靖の醍醐味はその日本語の美しさ。特に敬語が美しい。だから、私が好きな彼の作品は、高貴な地位にある人を描いたものや、カリスマ性があった人間をその弟子などが回想する形で描いた小説などになってしまうんだろうなあ、と思う。 彼の作品はまだ未読のものが多数あるので、これからまた読んで見たい、という気持ちがふつふつとわきあがっている。

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