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細雪(下) 新潮文庫

谷崎潤一郎(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社/
発売年月日 1955/11/01
JAN 9784101005140

細雪(下)

¥781

商品レビュー

4.2

119件のお客様レビュー

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2024/05/12

上中下一気に読んだ。 人の矛盾を孕んだ細やかな思考の流れを 心地よいリズムで悠長に書きつけてあって 日記を読んでいるような それでいて全て主語は三人称(主に次女の幸子) 独特な中毒性のある、素敵な文章で読み始めたら止まらなかった 雪子の見合いに始まり、 雪子の結婚で終わる お...

上中下一気に読んだ。 人の矛盾を孕んだ細やかな思考の流れを 心地よいリズムで悠長に書きつけてあって 日記を読んでいるような それでいて全て主語は三人称(主に次女の幸子) 独特な中毒性のある、素敵な文章で読み始めたら止まらなかった 雪子の見合いに始まり、 雪子の結婚で終わる およそ五年?ほどの歳月を描いたストーリー 人を着ているもの、体型肌艶、話し方雰囲気などで色々と考察する視点は SNSなどないし情報も少ない上で、 結婚はもちろん人付き合いが生きる術となる時代に どれだけ重要視されていたのか思い知ったし その視点に今も学ぶことが多いと感じた 板倉のことを若くて丈夫なのにどこか幸薄い相のある男だと思うから助からない気がすると言った幸子とそれに僕もそう思うと言った貞之助には、 そういう直感でみてOKなんだと驚いた笑 だけど、そういった幸子の勘は稀に外れることもあって それがまたリアルで好ましいなと思った。(妙子の死など) でもそれ自体は外れていても、その時感じた感覚のような 事象ではない何かは的を得ていたりするのかもしれないけど。それもすごい。 四姉妹のこと 鶴子は一生懸命だし素直だしとても好感が持てる 実は子供らしい一面や他の姉妹を恨めしがっている筋があるところなど 主に幸子の視点から全て暴かれていて愛おしい (実際はこんなもんではないかもしれないが雪子があんまり慕っていない ところからも感性はそんなに豊かでないのだろうと思う) だけど一番蒔岡全盛期の恩恵を受けて育っているのに没落してゆくという 悲劇的な局面にあって、柔軟に生きていけて時にはプライドも捨てられるという 同じ女として立派な人だと思う 幸子は四姉妹の中で一番平和で幸運なんではないかと思えるけれども この繊細さと優しさでもって生きていくのが実は一番しんどい人だと思う 当たり前だけどこの姉妹にこの人がいなければ成り立たないなあ 雪子、小さくて儚くてそれでいて芯が強くて潔白 あとがきでは聖母として描かれているような記述があったけれど 個人的にはなんと肝が据わって図太いというか、すごいなと思っていた 私だったら誰でもいいからとにかくもらってもらわなければと焦る 自己肯定感でいったら姉妹中で一等賞と思われる でもそこがすごく素敵だと思った 雪子を見習わないといけない 飄々としていて格好いい友達になりたい女性 妙子、本当の本当はどういうことを考えていたのか最後までわからない でも私はこの人が一番可哀想だと思った 薪岡といっても栄華は一度も味わっていないし母の記憶もほぼないし 上の三人は一般の中にあれば「世間知らずのお人形さん」で、 綺麗でお金持ちで悩みとかないやろうと思われる存在だと思うが 妙子もそういう目を持って姉妹を眺めることができる人だと思う 谷崎潤一郎の設定の秀逸さがすごい 奥畑との関係性もすごくリアルというか複雑で良かった 一点、妙子がみんなの前で舞を踊った発表会のとき、 近くの舞妓も踊りに来ていてその一人と 稽古というか降りの確認をしたいといって二人きりになっていたところ あれは絶対に奥畑の女で一騎打ちしたんだと思っている ゾクゾクした 戦後の方が生きやすい人なんだと思う きっと幸せになってほしい 全体にみて、 この第二次世界大戦目前の空気感が、 現代の空気感と似ているという生き証人方の意見を 実感するところが多くてゾッとして憂鬱になった とても参考になった 個人的には、 日常生活において現実的なこととは別に 目に見えない直感のようなものを大切にした生活ぶりが すごく腑におちたし、こうあっていいんだと安心した 私も人に対する直感とか、出来事に対する香りのようなもの そんなものをもっと現実に作用する一つの事象として 生活に織り交ぜて生きていきたい 人に対する返事のし方など、 気を使いすぎるくらいでちょうど良く 矛盾する気持ちだってきちんと人に伝えられるということ 文章の大切さなどを改めて知らされた 今思えば、そんな中にも現代的にテキパキした人(井谷とか)もいて 本当に多彩で面白いキャラクターばかりの小説だなあと思う 永遠に読んでいられそうだし読んでいたけど そこから何を得るのかといえば何なのかわからない サザエさんとかちびまる子のような 谷崎潤一郎もしんどいやろうしこの辺で。

Posted by ブクログ

2024/04/09

上中下通じて上方の上流階級の家族の日常が美しい絵巻物のように描かれている。 その舞台の中で繰り広げられるゆっくりとした栄華の没落。そしてこいさんの破天荒ぶり。といったところが読みどころか。

Posted by ブクログ

2024/01/10

2024.1.9 読了。 「細雪」完結巻。上〜下巻まで約1100ページに及ぶ大阪の高級階級の蒔岡家の4姉妹を巡る物語。 限りなく☆4に近い作品。 下巻も主に次女・幸子視点でまだ嫁いでいない雪子、妙子が物語の中心となっていく。 一見年相応のコミュニケーションが取れないほど人見...

2024.1.9 読了。 「細雪」完結巻。上〜下巻まで約1100ページに及ぶ大阪の高級階級の蒔岡家の4姉妹を巡る物語。 限りなく☆4に近い作品。 下巻も主に次女・幸子視点でまだ嫁いでいない雪子、妙子が物語の中心となっていく。 一見年相応のコミュニケーションが取れないほど人見知りが激しく大人しく見た目も純和風を好む雪子と新進的で自立を目指し異性関係も奔放である妙子は姉妹の中で対比される対象のように見えるが、実は二人とも自分の芯を強く持ち貫く姿勢も見られるのでやはり似ているところも大いにあるのかな、と感じた。 読み終わってみると数年間の季節の変化や建築物の描写が美しかったし、その数年の間に時代の変化と4姉妹の心境の変化も加わってドタバタとした場面もあるが読み手側にごちゃごちゃとした印象は与えていなかったように思う。 幸子・貞之助夫妻はいつも互いに思いやりのある行動をしていた場面を読むと雪子妙子のドタバタが一度凪いだような気持ちになりそこも美しかったと思う。 ラストシーンではキラキラした中に涙の込上げるようなものを感じた。 谷崎作品を読むのは「春琴抄」に続いて2作目で「細雪」はもう題名から美しさを感じられたのがすごく良かったが個人的には「春琴抄」のどこまでも純粋である中にエロティックさやマゾスティックさの表現された人間の本能というか本性が描かれた作品の方が読書欲を掻き立てられた気がする。

Posted by ブクログ

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