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細雪(下) の商品レビュー

4.2

132件のお客様レビュー

  1. 5つ

    47

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    26

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2026/02/06

下巻においても、幸子ねえさんは妹2人のことに母親のように心を痛め、夫の機嫌も気にしなければならないストレスフルな日々。 見合いの話が再度持ち上がる雪子。しかし一筋縄にはいかない。妙子の方は、病気になったり男性関係も色々あったりで大変です。妙子が病気のときに雪子は献身的に看病をし...

下巻においても、幸子ねえさんは妹2人のことに母親のように心を痛め、夫の機嫌も気にしなければならないストレスフルな日々。 見合いの話が再度持ち上がる雪子。しかし一筋縄にはいかない。妙子の方は、病気になったり男性関係も色々あったりで大変です。妙子が病気のときに雪子は献身的に看病をし、本当に面倒見の良い人です。 縁談話を中心に上流家庭の日常を淡々と描き、ハラハラドキドキするわけではないのに、どんどん読み進められます。それは、文章のもつ魅力なのでしょう。一文は長くとも、船場言葉「〜おまへんか」「お〜やす」が上品で心地良く、あっという間に読了。 風情ある自然描写、筆でしたためる巻紙のお手紙、短歌を通じての気持ちのやりとり、挿絵はなくとも目に浮かぶ艶やかな着物姿...... 結婚問題のごちゃごちゃ感ありながら、失われつつある日本の良さが温存されている作品だと感じました。そして、女性の生き方を考える上で、決して古くない内容であると思います。雪子も妙子も様々に経験し、もがいて自分の人生を踏み出しているわけですから。タイトルの『細雪』からは、繊細かつ優美といった言葉がイメージされ、素敵です。 しかし、小説のラストは“人生そんなに甘くないぞ!”という風に感じ......これもまた、良し!です。

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2025/12/08

姉妹のドタバタな日常はまるで連続ドラマを見ているようで、続きが気になりつつも一気読みするのが勿体なくって、少しずつ少しずつ読み進めた。いろいろあったけど、みんななんとなく幸せに生きてくれそうでほっとしたな。

Posted byブクログ

2025/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

巻末の解説に、私の感想を濃縮し洗練させた一文があった。 p.497より抜粋 「ヨーロッパの近代小説が個人主義をその思想として内包しているのにたいして、『細雪』が作者の"主観を消す"ことによって、まれに見る物語文学たりえている」 この小説を読んでいるとき、登場人物の思考や行動から著者の価値観や美意識の投影を感じなかった。これは中々できることではないと思う。どうしても、誰かに自分の意見を託したくなるからだ。言葉や駆け引きそのものが鑑賞に足る、まさに絵巻という表現が相応しい作品である。 幸子の苦労が報われた、と言って良い結末だったと思う。本当に良かった。また、貞之助の彼女に対する愛情と優しさには、私も家長としてかくの如くありたいと見習う所が多かった。紆余曲折を経て、それぞれの収まるべきところに収まった蒔岡家の四姉妹がまたいつの日か、みんな揃って歌舞伎や花見に出かけるような日々を願いながら、本を閉じる。 素晴らしい読書体験であった。

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2025/10/19

奔放でいろいろ事件に遭う四女、内向的で見合いをしても煮え切らない三女、2人と仲良しだが苛々させられもする次女、なんとなく厭われて出番も少ない長女。 関西の上流家庭が花見や芝居見物に行ったり。話の起伏は少ないが、日常の中で姉妹を好きになったり嫌いになったりする描写は、共感してしまう...

奔放でいろいろ事件に遭う四女、内向的で見合いをしても煮え切らない三女、2人と仲良しだが苛々させられもする次女、なんとなく厭われて出番も少ない長女。 関西の上流家庭が花見や芝居見物に行ったり。話の起伏は少ないが、日常の中で姉妹を好きになったり嫌いになったりする描写は、共感してしまうところが多い。

Posted byブクログ

2025/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新潮文庫のカバー裏に盛大にネタバレが書いてあって、ここまで読んできたのになんてことをしてくれんねん!と少しだけ怒ってたんだけど、そのこいさんの子は結局死んでしまうし、雪子ちゃんも結婚決まったけどお腹ピーピーになって、だ、大丈夫かな…ってなるまさかのドタバタエンディングだった。この先もこの姉妹には色んなことが起きる暮らしが続いていくんだろうな〜っていうのが想像できて、はい、とにかく雪子ちゃんは結婚できてめでたしめでたし。の感じじゃないのが逆にリアルで個人的には良かったけど、こういう最後を望まない人もいそうだなとは思った。賛否が分かれそうというか。 それにしても、谷崎潤一郎の作品は痴人の愛とこの細雪しか読んだことがないけれど、いつも物語に引き込まれて、早く続きが読みたい!ってなる。細雪に関しては気になりすぎて夢にまで登場人物が出てくるくらいだった。個人的に苦手な長編をここまで早く読み進めることが出来たのも、谷崎潤一郎の物語の作り込みがうまさがそうさせたんだろうなと思う。

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2025/07/11

谷崎潤一郎の代表作にして、日本の近代文学を代表する作品のひとつ。 1942-48年に書かれた。 文庫版にして三巻にまたがる長篇小説。 舞台は1936-41年の兵庫・蘆屋(芦屋)。 旧幕時代からの豪商としてならした名家・蒔岡家の四姉妹を中心に、第二次世界大戦前夜の阪神生活文化...

谷崎潤一郎の代表作にして、日本の近代文学を代表する作品のひとつ。 1942-48年に書かれた。 文庫版にして三巻にまたがる長篇小説。 舞台は1936-41年の兵庫・蘆屋(芦屋)。 旧幕時代からの豪商としてならした名家・蒔岡家の四姉妹を中心に、第二次世界大戦前夜の阪神生活文化が描かれる。 長女の鶴子は、本家の奥様として、早逝した父母の代わりに入婿の辰雄と一緒に蒔岡家を切り盛りする。 二女の幸子は分家の奥様。辰雄と折りの合わない二人の妹を宥め、監督する。 三女の雪子は、美人として阪神間に名が轟く姉妹の中でも1番の美人でありながら、複雑な事情と不運によって三十を超えても嫁に行き遅れていた。 四女の妙子は、器用かつ前衛的で、故に数多くの災難を引き起こすトラブルメーカー。 物語は、雪子の見合いの話と、妙子が起こす騒動を軸に、主に幸子の視点から描かれる。 四姉妹の性格はそれぞれ異なり、個性がある。 長女の鶴子は保守的かつ前時代的なので、前衛的で行動力のある妙子とはよく衝突する。 雪子は典型的な箱入り娘で、電話にすらまともに出れないほど引っ込み思案な性格だが、頑固なところもあり、辰雄を毛嫌いしている。 そんなわけで、本来は本家が管理するべき二人の妹を預かり、監督しているのが幸子である。 本家と妹の板挟みになり、気苦労の多い人であるが、彼女自身も気が弱く世間知らずなので、主にトラブルを解決していくのは、幸子の旦那の貞之助になる。 本書は全編を通して船場言葉(近世から近代にかけて使われていた格式高い大阪商人のことば。らしい)で会話が書かれており、現在の関西弁とは異なり、優美な印象を与える。 また、蒔岡家は大阪に名を馳せる豪商の名家であり、家の格式の違いを理由に雪子の嫁入りの話を断ったりしていたが、幸子たちの父が亡くなってからは衰退の途を辿っていた。 とはいえ、幼少期から名家のお嬢様として育てられた彼女たちがそうそう変わることはできず、逞しさとはまったく無縁の、世間知らずで甘い、しかし有閑的で優美な存在として描かれる。 そんな彼女たちが激動する世間に呑まれ、苦しみ、傷ついていく。 この蒔岡家の凋落の様子と、第二次世界大戦に突入していく当時の日本の描写から、読者はノスタルジックを感じる。 これが本書のひとつの魅力である。 現代の忙しないリベラルな社会に生きる私たちとすれば、精神的にも肉体的にも甘い彼女たちに苛つきながら読むことになる(神戸から東京に列車で移動するだけで疲労困憊になるとか、30を過ぎて猶も満足に他人と口を利けない雪子とか、それを結婚できない原因だとは思いもしない家族とか)。 しかし、これが彼女たちの常識であり、生き方なのだ。 いかに家の格を大事にし、外聞にこだわるか。 旧き上流階級社会と、家父長制というものを、本作を読むことで本当の意味で腹落ちできた。 長い小説でありながら、多彩な表現と一貫して丁寧な心景描写によって読ませられる、美しい作品。 関西ネイティブな私としては、かつて大阪に根付いていた高貴かつ華麗な文化を味わうことができた心地良い小説だった。

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2025/05/28

三十五歳になった雪子に、貴族出の男との縁談がまとまり、結婚式に上京。 妙子は、過去に駆け落ちした男と別れ、バーテンと同棲し、子供を授かりますが、死産してしまいます。 明と暗が対比され、四姉妹の物語が終わります。 現代の上方文化の中に、宮廷文学の伝統を再現しようと、戦争中の言論統制...

三十五歳になった雪子に、貴族出の男との縁談がまとまり、結婚式に上京。 妙子は、過去に駆け落ちした男と別れ、バーテンと同棲し、子供を授かりますが、死産してしまいます。 明と暗が対比され、四姉妹の物語が終わります。 現代の上方文化の中に、宮廷文学の伝統を再現しようと、戦争中の言論統制によって、雑誌掲載を禁止されながらも、書き続けた大作。 巻末の用語、時代背景についての詳細な注解も、より深い読みに導いてくれます。

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2025/04/30

最後まで読んだ人のみ味わえる美しい文章、世界観の極地。 読むたびに感情移入する人物がかわって、そのたびに世知辛さに苦悶したり、綺麗事ばかりじゃないよなと思ったり。

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2025/02/20

 長々読んできてこれで終わり!?というのが読み終わった直後の感想。  全編通してこの四姉妹(と悦子)のことがついぞ好きになれなかった。むしろ貞之助がどこまでもできた人間で、この本唯一の良心といっても過言ではないため、彼が途中退場しようものなら私は多分最後まで読み通せなかったと思...

 長々読んできてこれで終わり!?というのが読み終わった直後の感想。  全編通してこの四姉妹(と悦子)のことがついぞ好きになれなかった。むしろ貞之助がどこまでもできた人間で、この本唯一の良心といっても過言ではないため、彼が途中退場しようものなら私は多分最後まで読み通せなかったと思う。  また中巻にあった洪水の描写が排泄物を表しているという説があるようだが、最後の最後にも下痢の話が出てくることから、あながち間違っていないように思えた。

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2025/02/03

結婚は墓場と言うけれど、それを女性で具現化した様な本だ。 特に最後はそれを象徴したような表現になっている。 慣習や人間関係に縛られ読者を「もどかしさ」という感情によって、家族関係の内に引きずり込んだ。 沢山の子が居る人も、分家の人も、独り身も、放蕩も、皆幸せを獲ていない。 女...

結婚は墓場と言うけれど、それを女性で具現化した様な本だ。 特に最後はそれを象徴したような表現になっている。 慣習や人間関係に縛られ読者を「もどかしさ」という感情によって、家族関係の内に引きずり込んだ。 沢山の子が居る人も、分家の人も、独り身も、放蕩も、皆幸せを獲ていない。 女性の人生における、母体という「呪い」を私は感じました。

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