商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社/集英社 |
発売年月日 | 2007/06/20 |
JAN | 9784087203981 |
- 書籍
- 新書
江戸の妖怪事件簿
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江戸の妖怪事件簿
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
江戸の人びとが妖怪とどう付き合っていたか、をメインテーマにすえた一冊。 キツネは当然化かすものという常識、妖怪に仮託した批評、風刺など、瓦版、錦絵を通じて、丁寧に解説。やじうまの恐ろしさ、人びとの抱えていた闇など、妖怪から派生して興味深い指摘が多かった。
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本書は江戸時代の日記などに残っている、妖怪が絡んだ事件を紹介したもの。 中には、どこかで聞いた事があるような話も。 例えば「幽霊星」 八歳で子供を産んだという”とや”という少女の話。 (なぜかとは詳しく語られないが)その少女は翌年に死んで「星」になる。そして、その星を見た人は...
本書は江戸時代の日記などに残っている、妖怪が絡んだ事件を紹介したもの。 中には、どこかで聞いた事があるような話も。 例えば「幽霊星」 八歳で子供を産んだという”とや”という少女の話。 (なぜかとは詳しく語られないが)その少女は翌年に死んで「星」になる。そして、その星を見た人は、たちまち死んでしまうという。 「北斗の拳」の”死兆星”の話そっくり。 ・・・ではなく、この話、死なないで済むための”おまじない”が付いている。 ある”おまじない”をしておくと、うっかりこの星を見てしまったとしても大丈夫というオチになっている。 思い出すのは「口裂け女」を怯ませるキーワード「ポマード」 他にも学校の怪談でも似た話を聞いた事がある。 他にも出てくる妖怪の話は、まるで芸能人のゴシップネタのような感覚で語られているのが面白い。 現在は、ある一定レベルまでの教育は行き届き、夜は街灯や看板が煌々と街を照らし、「暗闇」が少なくなっている。 そのため、暗闇を跋扈していた妖怪たちもどんどん追いやられてしまった。 ・・・と思うのは早計で、かつて「妖怪の行い」という事にしていた事が「電気の振る舞い」に変わったなどと、説明する単語が変わっただけでは? 一見、現象が解明されたように見えても、突き詰めて考えれば、「妖怪の行い」と変わらない部分がある、 と言っていたのは、物理学者であり、夏目漱石の弟子でもあった寺田寅彦。 この言葉をつくづく考えさせられるのは、特に章を分けて紹介されている「アメリカからきた狐」 幕末、欧米列強の船が次々に日本に来た際、「妖怪」までも連れてきてしまった。 その「妖怪」とは伝染病の「コレラ」 この「妖怪」に「狐狼狸」という文字をあて、人々は「妖怪退治」にいそしんだ。 ところで、寺田寅彦が言ったような意味でなくとも「妖怪」を「心霊現象」とか「スピリチュアル」とかいう単語に置き換えると、今も十分、妖怪たちが跋扈していることが分かる。 (特に、とある業界には、一見、人間と見分けがつかない妖怪がたくさんいる。風に乗って空を飛ぶが「滑空能力」しかなく、弱点は「選挙」「金」) ちなみに江戸時代でも合理的な説明をする人もいた。ただし、少数派ではあったが・・・。 江戸幕府が倒れてから、たかだか140年ほどでは人はそんなに変わらないのだろう。 すくなくとも、ある面では。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
妖怪事件簿というので、江戸時代の怪異譚を羅列したものだと思っていたが、怪異事件を通して当時の人々と妖怪との付き合い方、当時の妖怪観を見ていく感じでした。 しかし、幽霊は信じないのに狐狸は信じる感覚は現代から見ると、理屈は分かってもの理解は出来ないです。 当時の理屈では解明できない現象や、人々の不安などに形と名前をつけて納得するための方便としての妖怪。 それは自然と人間との付き合いを円滑にするための調停者でもあったのかもしれません。 その関係が変わったとき、人間と自然の間の関係も変わってしまったのだと思います。
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