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くもの巣の小道 パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 ちくま文庫
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くもの巣の小道 パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 ちくま文庫

イタロカルヴィーノ【著】, 米川良夫【訳】

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くもの巣の小道 パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話 ちくま文庫

858

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房/筑摩書房
発売年月日 2006/12/10
JAN 9784480422927

くもの巣の小道

¥858

商品レビュー

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2025/06/12

文庫化を機に入手、再読。 おそらく20年ぶりか、もしくは、もっと経っているかも。 ハードカバーの白い表紙をなんとなく覚えている。 当時の私はカルヴィーノにハマり、デビュー作のこの本を読んで、あーやっぱりカルヴィーノは最初からこんな人なんだなぁ、とやたら感銘を受けたのを覚えている。...

文庫化を機に入手、再読。 おそらく20年ぶりか、もしくは、もっと経っているかも。 ハードカバーの白い表紙をなんとなく覚えている。 当時の私はカルヴィーノにハマり、デビュー作のこの本を読んで、あーやっぱりカルヴィーノは最初からこんな人なんだなぁ、とやたら感銘を受けたのを覚えている。 内容は萩尾望都のエッグスタンドとすこし似てる。 戦争の狂気のなかにいる、子どもゆえの無邪気な反応がなかなかに怖い。 いま再読してみて感じたのは、本書に吹き荒れるのはミソジニーの嵐だったということ。 クジーノもドリットも、作中の男たちが身勝手で幼く、全てを女のせいにしていて、その攻撃性の高さと、捨鉢の度合いがひどくて、かなり辟易した。 戦争による精神障害に陥った結果、自分を粗末にするだけならまだしも、女たちを攻撃していくのは頂けない。 主人公のピンもたいがいおかしいが、他の大人たちのほうがおかしいので、だんだんこちらも感覚が麻痺してしまいそう。 主人公のピン少年が、ヒーローぽい立ち位置のルーポ・ロッソとは全然仲良くならないのが笑えてしまう。 ユーモア色の少ない、カルヴィーノのデビュー作にして、バリバリのパルチザン小説。 それでも寓意的な描き方はここからも顕著。 枯れ草の火事シーンの狂った様子はなかなかインパクトがある。 でもまあ、最初に読んだカルヴィーノがこれだったら、たぶん私はハマらなかっただろうなと今は思う。

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2016/10/14

少年ピンが加わったパルチザン部隊は、“愛すべきおちこぼれ”たちのふきだまりだった。普段、酒や女で頭がいっぱいの彼らが「死」をもってあがなおうとしているのは何なのだろう。なんとも嫌らしくて、不可解な大人たちである。パルチザンの行動と生活を少年の目を通して寓話的に描く。奇想天外な現代...

少年ピンが加わったパルチザン部隊は、“愛すべきおちこぼれ”たちのふきだまりだった。普段、酒や女で頭がいっぱいの彼らが「死」をもってあがなおうとしているのは何なのだろう。なんとも嫌らしくて、不可解な大人たちである。パルチザンの行動と生活を少年の目を通して寓話的に描く。奇想天外な現代小説の鬼才・カルヴィーノの文学的原点の傑作。

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2013/11/28

1945年に終わった第二次世界大戦の同じ敗戦国側なのに、日本には日本の戦争があり、イタリアはイタリアの戦争を戦っていたのだな。日本は中国やアメリカと戦っていたし、ドイツはフランスやイギリスと戦っていたけれど、イタリアは一体何と戦っていたのだろう。パルチザンたちの敵が何なのか少年ピ...

1945年に終わった第二次世界大戦の同じ敗戦国側なのに、日本には日本の戦争があり、イタリアはイタリアの戦争を戦っていたのだな。日本は中国やアメリカと戦っていたし、ドイツはフランスやイギリスと戦っていたけれど、イタリアは一体何と戦っていたのだろう。パルチザンたちの敵が何なのか少年ピンの目を通して描かれるので初めのうちはさっぱりわからない。ドイツ?ファシスト?GAP?黒シャツ旅団?私が習った世界史ではイタリアはムッソリーニ率いるファシスト党が連合国側と戦争して負けたんじゃなかったっけ。こんな内戦状態になっていたとは全く知らなかった。 パルチザンの政治委員キムの語る言葉が人間を戦争に駆り立てるものが何なのかを教えてくれる。信念や思想などではなく怒りだ。自分の生活を世界を安定を奪ったものへの怒り、不当な現状に対する怒り。アフガニスタンあたりで少年たちがなぜゲリラやテロ組織に加わるのかわかったような気がする。争いのある環境に生まれてきて仲間を求めて誰かについて行った先がそういうところだったんだ。彼らに政治的思想とかそんなのないんだ。アッラーのために自爆テロをしてるんじゃないんだ、なんかもう成り行きで自分に白羽の矢が当たっちゃったからやってる的なことなのかもしれない。彼らは元々奪われているのだ、何もかもを。だから今度は奪われるものが自分の命かもしれないだけなんだ。新大久保あたりでデモをしてる人たちも原発反対のデモをしてる人たちも同じなんだ。彼らを駆り立てているのはただの怒りだ。信条なんて後付けだから論理は破綻してるし、だから何かの拍子に正反対の団体に入って正反対の主張を叫び出すんだ。 キムの言った通りあれから50年以上経つのに人間は相変わらず同じ無名者の憎しみを目に湛えながら戦いあっている。百年後も?千年後も?

Posted by ブクログ