商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 1978/03/01 |
JAN | 9784622018919 |
- 書籍
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死
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死
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「哲学は死の練習である」とソクラテスは言い、「死がなければ哲学もなかったであろう」とショーペンハウアーは言った。『哲学の教科書』の冒頭で中島義道も断言している通り、死が哲学の、否人生の最大問題であることは疑う余地がない。 にもかかわらず、死そのものを真正面から論じた哲学書は少な...
「哲学は死の練習である」とソクラテスは言い、「死がなければ哲学もなかったであろう」とショーペンハウアーは言った。『哲学の教科書』の冒頭で中島義道も断言している通り、死が哲学の、否人生の最大問題であることは疑う余地がない。 にもかかわらず、死そのものを真正面から論じた哲学書は少ない。それは死があまりにも巨大かつ空虚であるがために、論じるのが極めて困難、というより不可能だからであろう。死は間接的かつ消極的に表現されるのみであり、死を語る言葉をわれわれは持っていない。 本書はその不可能に挑戦したジャンケレヴィッチの名著である。 冒頭でジャンケレヴィッチは自ら問う。そもそも死は哲学の問題たりうるのだろうか、と。「人口は出生によって増加し、死亡によって減少する。そこにはいかなる神秘もない」然り、三人称の死は日常茶飯事であり、何も問題はない。しかし二人称の死は、そして一人称の死は……。 「われわれ」などという一人称複数形が矛盾した化け物に過ぎないことを、死を前にして人は思い知ることになる。だれもがたった一人で、生まれて初めての死を即興もしくは不準備のまま演じるほかない。なぜなら「私」は自分が死ぬことを知ってはいるが、それを信じてはいないからだ。 豊富な知識と語彙を背景にあらゆる方向へと自由に展開する叙述は、哲学的な論理性というよりも音楽的な芸術性にあふれているが、理屈とは無縁な死を論じるにはこの文体の方がよりふさわしい。読者はどこから読んでも思索の深みを体感することができる。 だれもが知っているのにだれも知らない「死」。永遠の謎を解き明かそうと試みたジャンケレヴィッチ畢生の一大哲学作品は人類の至宝といっても過言ではなく、この名著の邦訳が入手困難な現状は理解に苦しむ。復刻もしくは文庫化を切に望む。
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