商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 角川書店 |
発売年月日 | 2002/09/30 |
JAN | 9784048972024 |
- 書籍
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悪魔とプリン嬢
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悪魔とプリン嬢
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「条件さえ整えば地球上のすべての人間がよろこんで悪をなす」 田舎町ヴィスコスを訪れた旅人が、バーで働くプリン嬢にある計画を打ち明ける。1週間以内に町の誰かひとりの死と引き換えに、住人全員が生活をなすだけの金の地金を与える。そしてそれを住人に伝えるのはプリン嬢の役目だと言うのだった...
「条件さえ整えば地球上のすべての人間がよろこんで悪をなす」 田舎町ヴィスコスを訪れた旅人が、バーで働くプリン嬢にある計画を打ち明ける。1週間以内に町の誰かひとりの死と引き換えに、住人全員が生活をなすだけの金の地金を与える。そしてそれを住人に伝えるのはプリン嬢の役目だと言うのだった。 善と悪の葛藤。悪魔の誘惑、天使の加護。娘と旅人の心理戦であり、町の住人全員の心理戦であり、自分と自分の心理戦である。そこに宗教に身を投じてきた神父の想いや、夫を亡くした後町を見守ってきた老婆の想いや、権力にしがみつく町長の想いなどが絡み合います。 テーマは単純明快。だからこそひとりひとりの想いが重くのしかかってきます。
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人の本質は善であろうか?それとも悪であろうか?平易な文章で書かれており理解しやすく、読者に対して鋭く突き付けられてくる骨が喉元に刺さり最後まで飽きずに読ませてしまう。静かで、落ち着いた作品でありながら力強さが感じられる。 善良な市民が暮らしている田舎町。それは遙か遠くの外国でありながら、日本の風景にも近似した、まさしく「ありがちな町」。そんな町に一人の男が、殺人という悪を行うことができたならば町にとって過大すぎる金を与えようと賭けを持ち出す。 不幸にも男の手伝いをすることになったプリン嬢は自分が殺されるのか、それとも金を盗み出して逃げる伸びるのか善と悪の岐路に立たされる。 ラストがハッピーエンドに思えるのは、作者の生来的な性格によるものだろうか。 個人的には善と悪の結論がはっきりとしていない。そう思わせられるもので納得ができない部分もあるが、十分なカタルシスが得られたことも間違いない。
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図書館から借りました 善と悪との闘い。 と、書くと派手な気がするが、もっと心理的なもの。 悪霊に取り憑かれた男が、活気のない臆病な街にやってきて提案する。 「ヒトを一人、殺してみせたら、この街に金の地金を10枚やろう」 過疎が進み、若者がいなくなってしまった田舎町ヴィスコス。街の最年少はバーに勤めているシャンタール・プリン。彼女は悪魔に目をつけられて、一番苦しめられるはめになる。 黄金が10枚。それは街の者たち全員が安楽に暮らせる大金。 一気に目がくらみ、最年長のデルタばあさんを生け贄にする気満々になる街の人たち。 シャンタールがこの街を逃げ出せてよかったなーと思う。 彼女はおろかで臆病ではあったが、この悪魔の試練に耐えたから街にいっても間違えることはないだろう。 絞首刑台の話は秀逸♪ 悪党街を改革するために、立派な絞首刑台を立てて、その前で憲法っぽいものを発表した。絞首刑台は人々の頭上から常に威圧したが、設置者はこれについてなんら語らず、10年の設置の間一度も使用されなかった。 許しの日という発想もすごい。神に背いたリスト(不正とかそういうの)を読み上げ、神が自分に背いたリスト(祈ったのに娘は病気になった、とかそういうの)を読み上げ、今日は許しの日だから、私も神もそれを水に流して許します、という。 影の主役は、昔の偉人アハブ(上記のことを街の人間にやって、街を立て直したヒト)です。 説教くさい気もするけれど、シャンタールはけっして善だけにいる人間ではないので(いつも「私の地金」と言って、なかなかにがめつい)だからこそ、読みやすい♪
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