商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2001/03/20 |
JAN | 9784061495449 |
- 書籍
- 新書
倫理という力
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倫理という力
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商品レビュー
3.8
10件のお客様レビュー
人を殺してはいけない。 というのは当然ながら、人のものをぬすんではいけない、人に優しくしなくてはいけない、まじめに働かなくてはいけない、結婚したら別の相手と恋をしてはいけない、などなど、有限無言の道徳的な圧力が、私たちの選択肢を狭めている。 道徳なんて、昔々の政治家とか権力者...
人を殺してはいけない。 というのは当然ながら、人のものをぬすんではいけない、人に優しくしなくてはいけない、まじめに働かなくてはいけない、結婚したら別の相手と恋をしてはいけない、などなど、有限無言の道徳的な圧力が、私たちの選択肢を狭めている。 道徳なんて、昔々の政治家とか権力者が、自分の財産や利益を守るために作ったんだろう、って思ってた。道徳を守りたくなかったから。だけど、幸せにはなれなかった。 道徳をどこまで無視していいのか、無視しても楽しく生きていくことができるのかを知りたく、本書を読む。 筆者とともに、集団心理の歴史を遡る感じ。深い深い淵の底まで。私たちは集団で生きていけるように、決まりを作り守ってきたのだな、本当に幸せであるために。という仮説に辿り着く。 私は知性の喜びを感じながら幸せになっていきたい。生きていることを存分に楽しみたい。 美しい文章だった。 —-メモ—- ○道徳は共同体を防衛する一種の虚構なのか?干からびた規範、矛盾した掟、抑圧した因習にすぎないのか? ○道徳は社会から加わる圧力ではなく、人間という知性動物が生きる形の内側からもたらされる。それが働くところでだけ、人間は生きていける。本能でも知性でもない力。 ○人の知性が道徳を守りたがる。(潜在的道徳) 集団で生きることを前提としている。どんなに逃げても、禁止の声は自分の内側から聞こえて来る。この声に背いて何かをすることは、知性動物としての自分を、何かとてつもなく無意味なものに感じさせる。恐ろしい空虚に包まれる。 ○禁止の声をよく聞く。その声が、禁止によってどこへ向かえと言っているかをよく聞く。そうすると、私たちは、他人の間で自分が何をすべきかがわかる。何をすることが、知性の喜びであるかもわかる。 ○約束を守らなければならないのは、社会や共同体の成立に対して自分が義務を負っているから。(その共同体をに属することを選ぶ余地がなかったとしても) ○共同体で生きていくために、自ら義務を負う ○宗教こそ、人間が本能なしで知性だけでやっていくための防衛装置。本能から離れた知性が引き起こす錯乱や不均衡に、均衡をもたらす。(例えば、死の恐怖に平和をもたらす) ○人間は「人と人の間」という実践的な概念 ○世間という大きな書物を読む旅に出る ○病気の時に健康を羨まない心は、長い間の訓練と省察とによって得られる-デカルト
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第3章の「躾と感化」の項目は興味深い。躾は社会の圧力によって為されるが、感化は受ける側が自由に受けるものだ。そして、この後の論理展開が面白い。この躾と感化の関係を反対からみるという視点だ。躾は強制であるため受ける側は反抗できるが、感化は任意になされるため、否応なく起こる。つまり、...
第3章の「躾と感化」の項目は興味深い。躾は社会の圧力によって為されるが、感化は受ける側が自由に受けるものだ。そして、この後の論理展開が面白い。この躾と感化の関係を反対からみるという視点だ。躾は強制であるため受ける側は反抗できるが、感化は任意になされるため、否応なく起こる。つまり、この意図せずして引き起こされる感化なしに、教育は実を結ばないというのだ。「学ぶ」の語源は「まねる」だといわれているように、模倣への欲求が搔き立てられる感情こそが、人が成長していく原点というか、第1歩なのではないか。哲学的な文章ではあるが、ふと立ち止まって考えるきっかけにはなると思う。
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道徳や倫理について「約束はいかに守られるべきか」と言ったキーワードで読みやすくまとまっていてよかった。「よかった」で終わるのもの問題なのかもしれないけど、そういうものなんだろう。
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