商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社/ |
発売年月日 | 1997/04/30 |
JAN | 9784087732665 |
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荒野へ
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商品レビュー
3.5
17件のお客様レビュー
たまたま衝動買いした原書で読みなおしている。 こちらの訳書もずっと手元に置いてあったので、たまに参照しながら。わかりやすい訳だとおもうのだが、いくつか誤訳も見つけた。プロの誤訳をみつけてすこし得意になったところもあるし、せっかくなのでメモを残しておく。 第八章 アラスカ p....
たまたま衝動買いした原書で読みなおしている。 こちらの訳書もずっと手元に置いてあったので、たまに参照しながら。わかりやすい訳だとおもうのだが、いくつか誤訳も見つけた。プロの誤訳をみつけてすこし得意になったところもあるし、せっかくなのでメモを残しておく。 第八章 アラスカ p.105「〜ベトナム人獣医がいた。」 原文はthe Vietnam vet。vetは確かに獣医の短縮形として使われることが多いが、ここではveteranのほうが自然。よってベトナム復員兵。 第十一章 チェサピーク・ビーチ p.162「どんな親ともうまくいかなかっただろうと思う。両親の考え方とことごとく衝突していたからね。」 原文は"I think he would have been unhappy with any parents; he had trouble with the whole idea of parents."。なおideaはイタリックになっている。「どんな親とも」と、このイタリックがポイントになる。うまい訳文がひねり出せないが「どんな親ともうまくいかなかっただろうと思う。親という概念自体をまったく受け付けなかったからね。」とでもすべきか。 第十五章 スティキーン氷冠 p.209「北壁にだけは登らせないという山の意志、その断固とした山の意志は認めざるをえなかった。」 山を擬人化していてさほど違和感もない訳文だが、原文は"I was forced to acknowledge that volition alone, however powerful, was not going to get me up the north wall."。いくら強くても意志の力だけでは北壁は登れない、という意味だと思うのだが。aloneやhoweverを無視している。直前の文節でthe Thumb(山の名前)が主語になっているのに引っ張られたか。 第十七章 スタンピード・トレイル p.255「今夜は、蚊がひどく多くて、もちろん、バスは避難所にもならなかったが、私はフェアバンクス142番バスのなかで寝る気にはなれなかった。そして、ぐっすりと眠りこんでしまい、ほかのふたりがなにをしていたのかも覚えていない。」 原文は"Although the mosquitoes are thick tonight and the bus would no doubt offer some refuge, I decide not to bed down inside Fairbanks 142. Nor, I note before sinking into a dreamless sleep, do the others."。こうだと思う。「今夜は、蚊がひどく多くて、まちがいなくバスは避難所になったはずだが、私はフェアバンクス142番バスのなかでは寝ないことにした。そして、ぐっすりと眠りこむ前に気づいたのだが、ほかのふたりもバスの中には入っていかなかった。」
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1992年9月のはじめアラスカの荒野に打ち捨てられたバスの中でクリス・マッカンドレスという若者が死体で発見される。死因は餓死だった。彼は裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業している。また彼はアラスカに入る際、十分とは言い難い装備で入っていった。彼はなぜすべてを投げ捨て、荒野に...
1992年9月のはじめアラスカの荒野に打ち捨てられたバスの中でクリス・マッカンドレスという若者が死体で発見される。死因は餓死だった。彼は裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業している。また彼はアラスカに入る際、十分とは言い難い装備で入っていった。彼はなぜすべてを投げ捨て、荒野に分け入ったのか、多くの関係者の取材と著者の登山経験、また荒野で命を落とした他の事例を示しながら、若者の内面を探るノンフィクション。若者は決して自殺ではなかったという主張、荒野へのあこがれと死因の予測は読んでいて面白かった。この若者を嫌いにはなれない、むしろ愛しく感じてしまう。
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ろくに装備も食物も持たずにアラスカの荒野へ単身分け入り、4カ月後に恐らく食中毒がもとで餓死した青年を描いたノンフィクション。 何ともショッキングな事件(事故)で、ニュースを聞いた人の評価は批判的、著者の筆も心なしか陰影に満ちているが、直前に接した人の話や日記から推察された本人の...
ろくに装備も食物も持たずにアラスカの荒野へ単身分け入り、4カ月後に恐らく食中毒がもとで餓死した青年を描いたノンフィクション。 何ともショッキングな事件(事故)で、ニュースを聞いた人の評価は批判的、著者の筆も心なしか陰影に満ちているが、直前に接した人の話や日記から推察された本人の姿は妙にハッピーに見える。 この本は、「なぜ人は荒野や冒険を目指すのか?」を考えさせてくれる。危険な山や崖を目指す人、食うや食わずで芸術を志す人、ケガをおしてまで記録にこだわる人などを、他人はバカだなあとか理解できないよ、やめろよと言いがちだが、もとよりそこには他人の典範や理屈などの入り込む隙はない。行動をただ批判したり、ましてその心の中を詮索したり干渉したりするのはお門違いなのである。 本人がそうしたければ、それでいいのだ。 で、彼は荒野にジャック・ロンドンなどを持ち込み、読んでいたという。こんど読んでみよう。
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