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タナトノート 死後の世界への航行
2,776円
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 日本放送出版協会 |
| 発売年月日 | 1996/09/21 |
| JAN | 9784140052556 |
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タナトノート
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タナトノート
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商品レビュー
4.3
8件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こんなものを読んではいけない……と書いてあると読む人がいるから書いておくのですが、本当のところ本書は、SFやファンタジーとしては優れた作品とはいえず、言えて諷刺的な通俗娯楽小説です。一見してひどく俗っぽく、あからさまな大衆受けを狙っているように思えて好感ももてませんが、読者にいくばくかの教養と思考力を試す小説ではあります。 作中、「科学実験」と称して行う手順の乱暴さは良識的なSF読者を苦しめるし、報告の信憑性もあったもんじゃない。それを「成功だ!」と叫んだが最後、大衆とマスコミの評判が覆い隠すさまはディストピアさえ思わせる。にもかかわらず上っ面は、未知への探究の希望を語っている。なぜ? 「実験」にかかわる倫理問題は解決されたことはないが、そこはラウルの狂気、リュサンデールの権力、アマンディーヌの偏愛、語り手ミカエルの無定見で意思の希薄さ……科学と無関係な性格群で倫理は踏み越し、迫害とそのたびの空騒ぎでウヤムヤにしてしまう。作中世界の日本の扱いはちょっと面白いですが、わたしも日本人読者としてフランス人作家に偏見があるため、「作者はナチスの礼賛者か何かか」と思いたくなります。 本筋と交互に挿まれる既存の宗教文献からの引用文も悩ましい。もしも読者が挙げられている文献の幾つかでも読んでいれば、本作のストーリーとのちぐはぐさは分かります。それで思うのは、作者はひどいスノッブで本当は無学なのか、それとも読者の眼力を試しているのか。その場合でも、資料の恣意的利用の良心のなさはとりわけ古典読者には苦痛なものです。 エンタメと割り切っているならそれでもいい。いかにふしだらな小説でも耽美なら許せます。ですが本作は美的にまるで面白くない。宇宙の果てで語られる美、官能は(熱狂した文章と裏腹に)既知のありきたりのヴィジョンの羅列で、死んで見せられるまでもなく、すでに死ぬほど見飽きた陳腐さ。求めても求めても――これはつまり宇宙は究極的に〈陳腐さ〉で占められているようなアイロニーなのか。空想世界を描く情熱は本当かもしれないが、どちらにしても軽薄ではある。 後半はやはりシニカルさを強めていくがブラックユーモアもセンスは古めで、反逆や愛のドラマさえ陳腐です。この作品のどこを取っても何を見ても、センセーションに反してこれが素晴らしい!美しい!知的!とは、手放しに喜んではいけないのだろう。作品の全体に〈陳腐さ〉の占めている感じは続く。670ページにもわたって、ずっと続く。本題の〈死〉には一向に接近しない…… 読み終えてこのうえ、この〈陳腐な感じ〉を感じない読者はそれでも本作のどこか片端に求めて「ここが素晴らしい」と思えるのかもしれず、うんざりとしながら一抹の気味悪さを残すような感想でした。これがベストセラーなら軽薄なフランス文学も多少は読んだほうがいいのかな。本当は、こんなものを読んでいてはいけませんが、わたしは今回、昔のゲームの引用ネタ本として読んでいます。
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フランス人の著者で私もフランス人の友達に紹介されて読みました。海外ではとても有名ですが日本ではあまり有名ではなく、著者の作品があまり翻訳されて日本で出てこないので悲しいです。 本作は、「死後の世界を探究する」ということがテーマです。死んだら何があるのかは人類がまだ未開拓の謎であり...
フランス人の著者で私もフランス人の友達に紹介されて読みました。海外ではとても有名ですが日本ではあまり有名ではなく、著者の作品があまり翻訳されて日本で出てこないので悲しいです。 本作は、「死後の世界を探究する」ということがテーマです。死んだら何があるのかは人類がまだ未開拓の謎であり、やはり興味のあるテーマなのでおもしろく読めました。
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―2062年、死者の大陸への第一歩。 個人的な話をする。僕は数年前に祖母を亡くして、祖父母はすべていなくなってしまった。 そして祖母の葬儀の時、棺を持ち上げた時のあまりの軽さに驚いたのを覚えている。あの軽さを思い出すたび、ちょっとだけ考えてしまう。祖母はどこへ行ってし...
―2062年、死者の大陸への第一歩。 個人的な話をする。僕は数年前に祖母を亡くして、祖父母はすべていなくなってしまった。 そして祖母の葬儀の時、棺を持ち上げた時のあまりの軽さに驚いたのを覚えている。あの軽さを思い出すたび、ちょっとだけ考えてしまう。祖母はどこへ行ってしまったのだろう? 本書『タナトノート』はフランスの作家ヴェルベールによる近未来小説。死後の世界を解明しようと試みた人々を描いている。 叔父の葬儀の日、ミカエルは墓地でラウルと名乗る不思議な少年と出会う。死について語り明かすうち、やがて親友となる二人。そして大人になり麻酔医になったミカエルはラウルからある計画を持ちかけられる。それは死後の世界への探検という途方もない計画だった…。 古今東西のさまざまな伝承や宗教の膨大な知識が凝縮され、死後の世界の神秘を描き出している。ヴェルベールは登場人物の心理を丁寧に描きながら、文献の引用や報告文書など多様な文体を巧みに操り読者を未知の世界へ誘っていく。ここで描かれる死後の世界は、いろいろな宗教のエッセンスが織り交ぜられており、世界中の人々が訪れる場所という整合性をなんとか維持している。 面白いのは、最初おっかなびっくりだった死後の世界への旅が、やがてスポーツのように人々の間に浸透していく点。だれもが訪れるようになり、広告まで出現するようになった死後の世界…。物語は最後らへんではすごいことになってしまう。 それにしても「死後の世界」という「最後の未知の領域」に挑んだ本書は娯楽小説としてもめっぽうな面白さ。下手をすれば難くなってしまいそうな話も、独特のユーモアセンス溢れる話の運びで読者を飽きさせない。 そして世界中の死に関する知識の数々。日本のトピックもたびたび登場する(「死ぬことと見つけたり」の『葉隠』とかね)。 「タナトノート」(Thanatonautes)とは昏睡状態で死後の世界を探検する人々のことで、作者の造語。作中では「死後世界航行者」と訳されている。 ※ちなみにアメリカのSF作家テリー・ビッスンが本書と同じようなテーマで短編を書いており、そちらは「冥界飛行士」(Necronauts)という名称にを使っている(『ふたりジャネット』所収「冥界飛行士」)。日本語の語感としてこれの方がカッコいい感じがする。 ついに「死後の世界」へ足を踏み入れてしまった人類はそこに何を見るのか? そして「神」はいるのか? 誰もが関心を持っているであろう「死」をテーマに描ききった娯楽大作。物語のラストは希望なのか否か。ぜひ自身の目で確かめて欲しい。 死ぬときは誰だって一人なのだから。
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