商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房/ |
発売年月日 | 1995/02/25 |
JAN | 9784480030184 |
- 書籍
- 文庫
贋・久坂葉子伝
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贋・久坂葉子伝
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著者富士正晴が、島尾敏雄等と共に創刊した「VIKING」には彼の人柄を慕って、有能な若い人達が集まり、富士はまた、こうした新人を育てる名人でもあった。高橋和己、山田捻、津本陽…などの作家がここから巣立っていった。 そうした新人の中に、二十歳で自殺した天才少女・久坂葉子がいた。富士は久坂と交流が深く信望も厚かったので、彼女の華やかな。言動の裏に、深い苦悩が隠されている事も知り抜いていた。 彼女が死人で、残された作品や書簡、日記などを参考に、もの言えぬ彼女に代わって、彼女の思いを描いたのが「贋・久坂葉子伝」である。「贋」と表題にあるように、これは久坂葉子をモデルにしてはいるが、内容はフィクションであるとことわってはいるのだが、あまりにも見事な構成と主人公の生き生きとした人物像によって、読んでいる間中、久坂の伝記を読んでいる気分になってしまう。まさに、作者が久坂葉子になり切って描いた迫力である。 物語は、久坂が自殺し、残された人々がそれぞれの思いにふけるシーンと、自殺前の久坂の感情を交互に描いたもので、なぜ彼女が自殺に追い込まれたのかを解き明かしていく。 作品の冒頭で、富士正晴自身がモデルだと思われる木ノ花咲哉が、大晦日にアヒルをしめ殺すシーンは、久坂が急行電東に轢かれることの暗示であろう。彼女はデカダンスで声優の御津村が好きだが、金持ちの田村と結婚契約書を交わす仲でもある。この二人との関わりに心が揺れ動き、しだいしだいに追いつめられてゆく久坂の心情…。
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