商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 1994/04/20 |
JAN | 9784488183035 |
- 書籍
- 文庫
雲なす証言
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雲なす証言
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ピーター卿シリーズ長編二作目。 “探偵業に手を染めたきっかけは、人生が塵と灰ばかりに見えた一時期において気分を高揚させるためだった” そんな貴族の次男坊が、兄と妹の危機を救うため、友人と力を合わせて体を張っての大活躍! ミステリー小説でありながら、ピーター卿を中心とするホームドラマそして友情ドラマとしても楽しめたのが新鮮だった。“名探偵”という役割を負わされる主人公の人生は、生身の人間としては不自然なものになってしまいがち、という例に親しみすぎたのかもしれないが、今私の中でドロシー・L・セイヤーズさんは、名探偵(仕事)と人間性(人生)の両立は不可能という固定観念を覆し新しい働き方を提示した英雄的存在?!みたいになっている。 たとえばピーター卿とパーカー警部が友人同士という設定について、前作『誰の死体?』を読んだときは、ピーターが都合よく警察の捜査情報にアクセスできるようにするための、小説上の装置のようにとらえていた。が、今作では二人の行動や会話から、彼らは職務や推理のためだけにつながっているのではなく、互いを思いやり尊敬し合う友情関係で結ばれていることが感じられ、その自然さがなんだかとても嬉しかった。“名探偵”にもふつうに友だちできるじゃん、と…。 そこでもう一つ面白いのが、そんな二人の間にも、身分の差は歴然としてある、というところ。そう、ホームドラマ、友情ドラマといっても、階級社会における貴族のそれなのだ。貴族…って髭男爵…?という程度の貧弱な貴族観しか持っていなかった私だが、本シリーズ二作を読んできて、貴族とか執事とかのいる社会の空気感がわずかながらつかめてきた気がする。身分の差があること自体は善でも悪でもなく、ただそういう前提の世界なのだというふうに、私の方が呑み込めるようになってきた。むしろ、誰もが平等であるはずなのにそうとは感じられない「格差社会」よりも、よほど潔くて生きやすい可能性もありえる…と思ってしまった。 階級社会ってこんな感じかな…の理解においては、『祖母姫、ロンドンへ行く!』を読んだこともその一助になっていることも書き留めておく(貴族の話ではないが)。『日の名残り』も執事だった。圧倒的身分制度ということでいうと、『源氏物語』も近しいのだろうか。惟光がバンター? 続きも読んでいきたい。
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