雲なす証言 の商品レビュー
ピーター卿が兄に掛け…
ピーター卿が兄に掛けられた殺人の嫌疑を晴らす為に、奔走します。
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ピーター卿の活躍を描…
ピーター卿の活躍を描いたシリーズ第2弾。ロマンスも楽しめる推理小説です。
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ピーター卿シリーズ長編二作目。 “探偵業に手を染めたきっかけは、人生が塵と灰ばかりに見えた一時期において気分を高揚させるためだった” そんな貴族の次男坊が、兄と妹の危機を救うため、友人と力を合わせて体を張っての大活躍! ミステリー小説でありながら、ピーター卿を中心とするホ...
ピーター卿シリーズ長編二作目。 “探偵業に手を染めたきっかけは、人生が塵と灰ばかりに見えた一時期において気分を高揚させるためだった” そんな貴族の次男坊が、兄と妹の危機を救うため、友人と力を合わせて体を張っての大活躍! ミステリー小説でありながら、ピーター卿を中心とするホームドラマそして友情ドラマとしても楽しめたのが新鮮だった。“名探偵”という役割を負わされる主人公の人生は、生身の人間としては不自然なものになってしまいがち、という例に親しみすぎたのかもしれないが、今私の中でドロシー・L・セイヤーズさんは、名探偵(仕事)と人間性(人生)の両立は不可能という固定観念を覆し新しい働き方を提示した英雄的存在?!みたいになっている。 たとえばピーター卿とパーカー警部が友人同士という設定について、前作『誰の死体?』を読んだときは、ピーターが都合よく警察の捜査情報にアクセスできるようにするための、小説上の装置のようにとらえていた。が、今作では二人の行動や会話から、彼らは職務や推理のためだけにつながっているのではなく、互いを思いやり尊敬し合う友情関係で結ばれていることが感じられ、その自然さがなんだかとても嬉しかった。“名探偵”にもふつうに友だちできるじゃん、と…。 そこでもう一つ面白いのが、そんな二人の間にも、身分の差は歴然としてある、というところ。そう、ホームドラマ、友情ドラマといっても、階級社会における貴族のそれなのだ。貴族…って髭男爵…?という程度の貧弱な貴族観しか持っていなかった私だが、本シリーズ二作を読んできて、貴族とか執事とかのいる社会の空気感がわずかながらつかめてきた気がする。身分の差があること自体は善でも悪でもなく、ただそういう前提の世界なのだというふうに、私の方が呑み込めるようになってきた。むしろ、誰もが平等であるはずなのにそうとは感じられない「格差社会」よりも、よほど潔くて生きやすい可能性もありえる…と思ってしまった。 階級社会ってこんな感じかな…の理解においては、『祖母姫、ロンドンへ行く!』を読んだこともその一助になっていることも書き留めておく(貴族の話ではないが)。『日の名残り』も執事だった。圧倒的身分制度ということでいうと、『源氏物語』も近しいのだろうか。惟光がバンター? 続きも読んでいきたい。
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シリーズ第二弾。 ピーター卿の兄・ジェラルドが、妹・メアリの婚約者のキャスカートを殺害した容疑で逮捕されてしまいます。 旅行先のコルシカでその事を知ったピーター卿は、イギリスへ取って返し、現場となったリドルズデール荘へと駆け付けますが、ジェラルドは無実を主張するものの犯行があっ...
シリーズ第二弾。 ピーター卿の兄・ジェラルドが、妹・メアリの婚約者のキャスカートを殺害した容疑で逮捕されてしまいます。 旅行先のコルシカでその事を知ったピーター卿は、イギリスへ取って返し、現場となったリドルズデール荘へと駆け付けますが、ジェラルドは無実を主張するものの犯行があった夜の自身の行動にだんまりを決め込み、メアリも嘘の証言をしている様子で・・・。 さて、家族の危機に嬉々として(キキにキキとして・・あ、スミマセン)調査に乗り出したピーター卿ですが、今回事件の裏には、関係者それぞれが抱える秘密があり、まぁ所謂“痴情の縺れ”ということなのですが、それだけに公にしたくないという思いが彼らに口を噤ませて、事件を面倒くさくしている訳でして・・。 件の夜に一体何があったのか、フットワークが異常に軽いピーター卿with“出来杉”従僕バンターが、東奔西走して真相を追っていく展開です。 それにしても今回のピーター卿は、貴族とは思えないほど体を張っていて、もう命がけ。 ピストルで撃たれるわ、濃霧にまかれて底なし沼にはまるわ、悪天候の中飛行機で大西洋横断するわ・・てか、沼では死にかけていますからね。 本人が楽しそうなので良いですけど、結構ピーター卿ってタフですよね~。 そして勿論、我らがスーパー従僕・バンターのナイスアシストも光っておりますよ! で、話が進むにつれてジェラルドやメアリの秘密がわかってきて、終盤ではピーター卿が命がけでアメリカから持ち帰ってきたキャスカートの手紙が決定打となります。 今回、真相解明を担当したのが、無駄口の多いピーター卿ではなく、(裁判の席ということもあって)弁護士のビッグズだったので、“あの夜の真相”(憶測も含め)が、うまいことまとめられていたと思います。彼の最後の台詞もキマッってましたね。 ラスト間際に、狂犬のような“あの男”がとんでも行動に出たのは驚きでしたが、結果彼のDVに悩まされていた夫人が解放されて良かったです。 あ、DV夫で思い出しましたが、メアリの男運の悪さも大概だな・・と。 元カレといい殺された婚約者といい、“はい!ダメんず発見!”って感じです。 メアリには、お兄ちゃん(ピーター卿)のお友達の某警部に目を向けてほしいのですけどね~。
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貴族探偵ピーター卿シリーズの2冊目▲兄ジェラルドが殺人容疑で逮捕?それも被害者は妹メアリの婚約者!お家の大事に無実を証明すべく東奔西走することに▼黄昏の大英帝国で、政治信条・思考・行動様式がてんでバラバラな3人きょうだいによる大迷惑。ソヴィエト・クラブやインターナショナルが跋扈す...
貴族探偵ピーター卿シリーズの2冊目▲兄ジェラルドが殺人容疑で逮捕?それも被害者は妹メアリの婚約者!お家の大事に無実を証明すべく東奔西走することに▼黄昏の大英帝国で、政治信条・思考・行動様式がてんでバラバラな3人きょうだいによる大迷惑。ソヴィエト・クラブやインターナショナルが跋扈するそんな時代に、緋色と白貂を纏った貴族院議員を動員した大裁判。英国・大陸・新大陸と飛び回る。ピーター、パーカー、バンター3人による、偶然のたまものがなければどうなった。さすが勅選弁護士サー・インピィ・ビッグズ恐るべし(1926年)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
セイヤーズの長編の特徴は(まだ特徴を語るほど読んでいないがまあ現時点での気づいた点という事で)発端の事件自体はシンプルなのだが、その事件の周辺に関わる些事や各関係者の行動についてそれぞれどういう意味があったのかを解明する事で実はこんな事件だったのだという予想以上に混迷した姿を見せる所にあると思う。実際『誰の死体?』は発端がシンプルすぎてどう発展していくのか不安だったのがあの名場面を含め、感嘆させられたストーリーだった。 で、今回は中盤、ゴイルズあたりが登場する所は俄然乗ってきたのだが、最後には仮説の一つが淀みなく証明されたに過ぎなかったという結末がシンプルに収束したのが残念である。 特に最後の最後で新しい、しかも登場人物表に載っていない重要人物が出てくるあたりは興醒めである。子供の世話で気が散った部分もあるが、これは平常でも変わらないだろう。 また異常に引用文が多いのも物語の進行の妨げになると思うがどうだろうか?これって、これからずっとこの調子なんでしょうかねぇ?
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以前に読んだ本。再読だけど全く覚えてない(笑)でもやっぱりキャラクターが良い☆そして前作に比べて格段に翻訳が読みやすい。ストーリーとしてはちょっと盛り込み過ぎな気がしたけどやっぱりおもしろい☆解決もなかなか良いので大好きな作品。ピーターは色々ウザいけどなかなか家族思いです。ピータ...
以前に読んだ本。再読だけど全く覚えてない(笑)でもやっぱりキャラクターが良い☆そして前作に比べて格段に翻訳が読みやすい。ストーリーとしてはちょっと盛り込み過ぎな気がしたけどやっぱりおもしろい☆解決もなかなか良いので大好きな作品。ピーターは色々ウザいけどなかなか家族思いです。ピーターの兄妹も、兄嫁もなかなか良い☆母のシニカルな面も好きだなぁ
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ドロシー・L・セイヤーズが生み出した名探偵ピーター・ウィムジイ卿のシリーズ第2作目です。 ピーター卿は世の喧騒を離れ、いかなる情報も遮断された島でしばしの時を過ごしていた。 そして休暇を終え、下界に戻ってきたピーター卿は、ホテルで執事のパンターが差し出した新聞をみて愕然とする。...
ドロシー・L・セイヤーズが生み出した名探偵ピーター・ウィムジイ卿のシリーズ第2作目です。 ピーター卿は世の喧騒を離れ、いかなる情報も遮断された島でしばしの時を過ごしていた。 そして休暇を終え、下界に戻ってきたピーター卿は、ホテルで執事のパンターが差し出した新聞をみて愕然とする。何と兄のデンヴァー公爵が妹のレディ・メアリの婚約者を射殺して逮捕されたというのだ! 兄の無実を晴らし真相を究明するため、ピーター卿は再び事件へと立ち向かう・・・。 今回は推理物というよりは感覚的には冒険物に近いといった印象かな。 最初の頃は細かすぎる捜査をするにはしていたものの、全体としてはなぜその推理が導き出されたかピンとこないままに物語が進んでいったような感じがありました。 始まりが衝撃的な出だしだったので、次にどんな推理で先に進んでいくのかと思いきや、ピーター卿を襲う様々な試練の方に目がいってしまい、さらに、あれっ?何でピーター卿はこんな局面になったんだっけ?と思うこともしばしばあって、次第に物語に入り込めなくなっていったような気がします。 さらに、都合良く出てくるは出てくるはの証拠の品の数々に、えー!?あまりにもご都合的過ぎるんじゃ!?ということで、この辺りが古き良きクラシックミステリーというところなんでしょうかね? 家族ネタに捜査シーンに加えて、恋愛やら冒険やら、果ては裁判シーンやらで、少し詰め込み過ぎてしまったのかもしれません。 そして、たびたび訳者からの間違いの指摘の記載などもあって、下調べが甘い、ちょっと杜撰な構成の印象も強くしてしまいました。 このシリーズの魅力と特長としては、貴族探偵であるピーター卿の博識さに裏打ちされた引用とウィットに飛んだ会話なんですが、こちらは今回も健在で、むしろ日本人であるわれわれが会話を理解するのにややこしくなるほどだったと思います。 そして、最後の法廷場面の証言と尋問の分かりにくさは、細かな部分を強調し過ぎて大きな流れを見損なうのに一役買っていたかもしれません。 訳者解説ではこの当時のイギリスでは喜劇が流行っていたということで、当時の読者が喜びそうなネタが振りまかれていたようで、かなり時代に規定された作品だったのかもしれないですね。 もともとがこのような背景と洒落がてんこ盛りで仕上がっている作品だったので、訳者の方はかなり苦労したんじゃないかなあ。(笑) かつてはドロシー・L・セイヤーズはアガサ・クリスティーと並び称される女流ミステリー作家であったようですが、こんなところがセイヤーズが読まれなくなり、クリスティーの人気が未だ衰えない理由であるような気がします。 ラストに期待した、待ちに待ったひねりはついぞなく、えー!?そ、それはちょっと・・・。 エンディングのバカ騒ぎは楽しかったですが、蛇足であったとも思います。 第2作目ということで、事件端緒と大まかな構成のアイディアだけで、勢いで作ってしまったのかな・・・?
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これは完全にトリックよりもドタバタを楽しむ小説。誰かマンガ化か映像化しませんかね。最後の裁判の所なんか見ものだと思うんだけどなー。って映像化はそう考えると難しすぎるかも?
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