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クリエイティブツーリズム論 ツーリストとコミュニティの共創プロセス 文化とまちづくり叢書
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クリエイティブツーリズム論 ツーリストとコミュニティの共創プロセス 文化とまちづくり叢書

竹谷多賀子(著者)

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クリエイティブツーリズム論 ツーリストとコミュニティの共創プロセス 文化とまちづくり叢書

定価 ¥2,750

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 水曜社
発売年月日 2025/09/18
JAN 9784880655888

クリエイティブツーリズム論

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2025/10/01

 本書は、クリエイティブ•ツーリズムは、ツーリストが地域の伝統工芸や芸術、食文化などを、単に観るだけでなく、地域住民と共に、協働を通じて新たな価値を生み出すことである。ツーリストとコミュニティの共創のプロセスを明らかにする。  「どこに行くか」から、そこで「何を体験できるか?」...

 本書は、クリエイティブ•ツーリズムは、ツーリストが地域の伝統工芸や芸術、食文化などを、単に観るだけでなく、地域住民と共に、協働を通じて新たな価値を生み出すことである。ツーリストとコミュニティの共創のプロセスを明らかにする。  「どこに行くか」から、そこで「何を体験できるか?」に変化している。それで、地方ごとの特色あるツーリズムが可能となる。地方のおもしろさは、地方に行かないとわからない。ツーリストの価値観の変化、地域の活性化と文化の継承、持続的可能な観光の推進が維持できる。そのことによって、さらに地方から世界に発信できるようになる。顔のある地方がうまれる。  クリエイティブツーリズムの「創造体験」が持つ「単に観るのではなく、手を動かし、心で感じ、創造につなげる」という多面的な価値を生み、ツーリストを共創者として、登場させる。明らかに、大量消費型観光とは違う質を持つ。地域特有の本物とコミュニティの協働によって、共創プロセスが構築されていくと筆者はいう。なんか、ワクワクするのだ。地方で、新しく刺激を受けて新しいものが生まれる旅はステキだ。生み出されたものより、生み出す共創に意味があるのだ。出会い、反応して共感体験を伴った共創旅が生まれる。  生産者ー消費者の消費型でなく、それぞれの役割を持ったアクターたちによるドラマづくりが始まる。地元の人もツーリストも、アクターとなって感動体験と共感体験を得ながら、演じることがハッピーなのだと思う。  創造都市としての金沢は、工芸の中に、クラフトツーリズムを立ち上げ、工芸作家の工房を手仕事美術館と位置付け、体験していく中で、金沢の工芸の歴史を工芸品をつくる中で、体験する.その体験の積み重ねが創造都市をつくる。金沢の場と工芸作家とツーリストが、混然となって共創する。それが、クリエイティブ•ツーリズムとなる。それが多様に重曹的な共創を生み出し、刺激し合う。伝統文化と現代アートが融合する新しい共感を生むのだ。それは、金沢でしかできないという金沢ができていくのである。それが人々を惹きつけるのだ。  丹波篠山は、城下町で宿場町。800年の歴史を持つ丹波焼は、クリエイティブジャーニーの最高賞を2025年に受賞した。そこで、ノオトとNOTEによる、歴史建築に宿泊し、地場の食を味わい、地域の暮らしを体感することで、創造農村を作り上げていく。丹波篠山里山暮らしツアーで、作家、農家と交流する。 「普通の観光では体験できないことが多く、楽しみと同時に学びになった」という感想だ。住民とツーリストのギャップが起こらないように翻訳と橋渡しの工夫がいると筆者はいう。  過疎地域の典型としての能登半島の最先端に位置する「最涯の地」の珠洲市のアートツーリズムから、クリエイティブツーリズムへの発展を考察する。珠洲市は、原発誘致計画があったが、中止となった。自然と伝統文化に恵まれ、「能登の里山里海」が、2011年に世界農業遺産に認定された。廃校になった小学校を活用して、「能登里山里マイスター育成プログラム」を実施し、人材育成をした。そのような取り組みが広がり、「奥能登国際芸術祭」が2017年にはじめられた。  その後、コロナ禍を経験しながらも、アートツーリズムは乗り越えていく。そして、2024年元旦の能登半島地震が起き、創造的復興とクリエイティブツーリズムの貢献について考察する。  金沢、丹波篠山、能登の珠洲の取り組みを、筆者はそれぞれ論文発表したものに加筆して、整理して本書を作り上げている。「現場」をきちんと歩いた上でまとめているので、地に着いた論考となっている。「創造とは現場で起きている」のであり、それをすくい上げて、言語化しているのが本書である。そのことで、さらに現場に大きな推進力を与える。それから、共通項であるクリエイティブツーリズムがテーマとなり、共創旅の地元での体験と感動を生み出していることが浮き上がる。   観光学が、大きく変容し、「共創旅学」(いい言葉が見つからない。「創遊学」では、地元がうまく関われない。観創学となるかなぁ)に発展しているような気がする。ツーリストが単なる「消費(観る)」ではなく、地元のコミュニティに「参加や創造(体験)」を通じて、旅先との深いつながりや個人的な成長を得る旅のスタイルになっていくと思われる。ツーリズムに関わる人には必読の本であり、多くの刺激を受けるだろう。

Posted by ブクログ