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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 光文社 |
| 発売年月日 | 2025/08/07 |
| JAN | 9784334107284 |

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商品レビュー
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昭和20年6月1日、田辺聖子の写真館の実家は空襲により全焼した。母親は手近にあった聖子の鞄だけを外に放り投げた。その中に13歳から16歳まで書き綴った小説の殆どが入っていた。 3年前の夏、私は新発見の『田辺聖子18歳の日の記録』を読んだ。20年4月1日から年末までの日記である。...
昭和20年6月1日、田辺聖子の写真館の実家は空襲により全焼した。母親は手近にあった聖子の鞄だけを外に放り投げた。その中に13歳から16歳まで書き綴った小説の殆どが入っていた。 3年前の夏、私は新発見の『田辺聖子18歳の日の記録』を読んだ。20年4月1日から年末までの日記である。そこには、文学少女として才気煥発ではありながら、軍国少女として激烈な、一億玉砕を信じて疑わない18歳がいた。 本書は、そんな日記が公になる遥か前に、当時の少女がどの様に戦中を生きたのかを、当時の田辺聖子視点で書き綴った小説である。 私は日記の彼女しか知らなかったから、小説で再現された彼女を読んで驚いた。本名で登場しているし、ほぼ全て実話だと思われるが、彼女は軍国少女ではあるけれども、中身は軍隊調の先生には反発するし、中原淳一の美しい表紙は大好きだし、凛々しい女子の先輩にはずっと憧れているし、「少女草(おとめぐさ)」という本格的な回覧雑誌をひと冬で3冊も作ってしまう活発な乙女だった。極めて繊細な感性を持った普通の少女だったのである。 本書の中には実に十ニもの小説の要旨と抜粋が載っている。私小説学園ものから、自殺した少女の遺書、時代小説、成吉思汗(チンギスカン)もの、ドイツ戦記もの、中国もの、南方戦記もの、等々バラエティに富んでいる。本人は吉屋信子や吉川英治やパールバックの二番煎じと自嘲気味に書いているが、特に後半になれば、普通の小説と見紛うほどの「文体」になっていた。それが合間合間に挿入されるので、ちょっと読みにくい事は本書の欠点であり、最大の面白さである。軍事色濃くなってゆく世相と、一方で少女の豊かな精神世界を垣間見ることができる。 解説の原田ちかさんも言っているが、普通の戦中ドラマでは出てこない、リアルな庶民の戦争談義も出てくる。また、日記の中の彼女も実は本心を書いて無かったと32年後の聖子は書いている。そんな「心の揺れ」こそが、少女のリアルであり、それがこの小説からは透けて見える。 そして、1977年、約50年前に田辺聖子さんがこれを書き残したのは、文庫版あとがき(2009)にある以下ような「願い」があったからではないのか。 「日本について、悲観的な意見をよく聞くけれど、私はそんなことはないとおもうの。日本人が持っている感性、プライドが発動すれば、良いほうへむかうんじゃないかしら。 たとえば日本製品は、海外でも信用が高いでしょう。それを作っている日本民族の精神のあらわれよね。きちんとした仕事をしている、というプライドは、輸出するときにも失われないと思う。 あとは悪くすると、唯我独尊になる傾向があるから、他の国とはもっと協調して仲良くしつつ、「日本民族はこんなに素敵なところがある」というのを子供たちに教育していけばいいんじゃないかな。そのためには、戦争をふくめた歴史を、世界にも通じる視点を持ちながら、きちんと教えること。 日本を愛する気持ちと世界中と仲良くする気持ち。いつでも手を結びますよ、というふうに手を広げて、その手は何かをもらうためじゃなくて、握手するためにある。あるいは差し出した手で一緒になって、なにかを掴もうという気持ちが育っていくといいなあ。終戦を経てきた世代としては、心からそう思います。」 今でも、今こそ、こういう視点が大切だと思う。今、なんか唯我独尊に傾いていないか?「世界に通じる視点を持ちながら」戦争のことを教えているか(米国視点になっていないか )?その手は握手するためにあるのだから。
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※このレビューにはネタバレを含みます
粗筋の最初の一文通り、軍国少女で文学少女の話だった。 まさか女子ながら玉砕を覚悟していようとは。 これが当時の女子たちの代表的な姿かと言われると、彼女が作中でも「変わり者」と評されていたところを鑑みるに、極端な例かもしれない。 彼女の友達にも極論に走る子、冷静に見ている子、様々だったので。 ともあれ、戦時中を生きた少女の日常として読んだ。 驚いたのは作中でも実際の文章ごと紹介された小説の数々。 ツッコミどころはあれど、あの内容を10代の少女が書いたのかと思うと脅威を覚えるほど。 ただ玉砕を覚悟していたはずの少女が、空襲を経験し、終戦を迎える頃には何事に対しても「ほんまかいな」と思うようになり、最終的には「生きたい」とまで思えるようになった変化にも驚かされた。 それもまた10代の少女にとって戦争の影響が大きかった証左なのかもしれない。
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降伏する宣言を聞いたときに、あの時代の人々の心に生まれたのはどんな感情だったろう。 安堵か、怒りか、喪失か。言葉では言い表せない感情だったに違いないけれど、それでも言葉にして伝えてくれる人たちがいるから、私たちは繋がれるんだろうね。 私からしたら戦争は過去のことだし実感もあ...
降伏する宣言を聞いたときに、あの時代の人々の心に生まれたのはどんな感情だったろう。 安堵か、怒りか、喪失か。言葉では言い表せない感情だったに違いないけれど、それでも言葉にして伝えてくれる人たちがいるから、私たちは繋がれるんだろうね。 私からしたら戦争は過去のことだし実感もあまり湧かないけれど、これからの責任は私たちにあるってことは意識しておかないとだな。
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