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人類はどこから来て、どこへ行くのか ちくま学芸文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
| 発売年月日 | 2025/07/14 |
| JAN | 9784480513069 |
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人類はどこから来て、どこへ行くのか
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商品レビュー
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▼東京外国語大学附属図書館の所蔵状況(TUFS Library OPAC)https://www-lib.tufs.ac.jp/opac/recordID/catalog.bib/BD12546630
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ホモサピエンスが何故、現在のような独自の社会性を獲得するに至ったか、と言う問について、他の社会性動物(アリやハチ)との類似点からどのような適応を遂げたか、と言うロジックで述べられている。従い、社会科学よりも生物学、特に遺伝学の観点の論となっていた。正直なところ表紙買い(ゴーギャン...
ホモサピエンスが何故、現在のような独自の社会性を獲得するに至ったか、と言う問について、他の社会性動物(アリやハチ)との類似点からどのような適応を遂げたか、と言うロジックで述べられている。従い、社会科学よりも生物学、特に遺伝学の観点の論となっていた。正直なところ表紙買い(ゴーギャンの絵が目を引く)で良く著者の名前を見ていなかったので、勝手にそう思っていただけなのだが。 進化論的な言説が基礎にあるので、適応と自然選択のごく基本的な話が必要になるとは言え、一般向けに書かれているので、門外漢の自分でも読みやすかった。 著者の名前は、グールドやドーキンスの本でどちらかと言えば否定的な形で何度か出ていたので知っていたが、読んだ感触ではそこまで荒唐無稽なロジックとは思えなかった。 確かに、解説にもあるように血縁選択や包括的適応を否定し過ぎ、行動のコストを読み違えていると感じるところはあるものの、群選択の理論そのものは納得のいくものと考えられる。特に、群内における個体同士の関わりも一つの環境と見なせば、その淘汰圧もまた個体への影響とみなせるので、包括適応とそれほど矛盾はなく考えられるのでは無いかと思える。専門外なので、まだ読み込みが足りないかも知れないが。 現在はマルチレベル選択の枠内で、グループの置かれる環境や構成員の質に応じて血縁選択と群選択の重みが変わってくると言うのがコンセンサスらしいので、何方かに寄らずに解釈していくのが有効と言うことだろう。その意味で、現在の基本的な適応メカニズムの枠組みを手軽に把握できる本書は良いと思う。もちろん、解説にあるように現在の理論とのギャップを念頭に置きながら読む必要はあるけれども。 本書の後の時代の研究になるが、ホモサピエンスの中でも、外圧に対して異なる反応を示すグループ間では遺伝子に差異がある可能性が見られるとの事で、文化人類学との関連からも、益々面白くなるトピックであろう。 一つ、面白いとおもったのは、著者は個体の利己的な行いが「罪」を生み、他の個体への利他的な行いが「善」を生む、といった言説をしているところ。 そもそも善悪はグループが罪悪を規定することから発生する(もっと言えば先に悪が決まって善が生まれる)ものだと思うのだが、この様に述べるということは、著者は暗にグループに資する行動が善であると言う前提に立っていると言うことかもしれない。この辺り、著者が敬虔なキリスト教の家庭に育った事も関連するかも知れない。 科学もまた時代精神の影響から逃れられないので、2012年当時、リベラル精神と国際協調こそが人類発展のカギと思われていた事もまた影響しているのだろうか。またもし仮に、孤立主義が幅を利かせつつある2025年に同じ研究が成されたら、果たして結論は異なるのだろうか、と考えさせられた。
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