叩かれても、叩かれても 自分も仲間も裏切らないメンタル術

杉田水脈(著者)

• 販売会社／発売会社: 飛鳥新社
• 発売年月日: 2025/07/02
• JAN: 9784868010876

商品レビュー

2025/07/12

『#叩かれても 叩かれても 自分も仲間も裏切らないメンタル術』

ほぼ日書評 Day912

同じ著者で、Day902はかなり批判的に取り上げたが、こちらはなかなか読み応えがある。

一時期、「嫌われる勇気」というのが流行ったが、本書の半分ほどはそれを "地で行く" 半生記だ。

嫌われるのは構わない…が、裁判を起こされると、金がかかる。
直近、２つの裁判で2000万もの本来なら政治活動に使うはずの金を費やさざるを得なかったのは、金を無駄にしたのだとか。
著者は直接はこういう書き方をしていないが「戦うにせよ、賠償金を払うにせよ」いずれにしてもということであり、著者を黙らせるためには、金に糸目をつけず裁判を起こしまくるという手もあるということ。これはキツイ。

そうしたメンタルが形作られた幼少期の記述も興味深い。習い事と塾通いに明け暮れ、テレビも見ていなかったため、ピンクレディを知らなかった。クラスメイトの皆が、変な踊りを、しかも同じ振り付けで踊っているのに驚いた。あの時代を知っているものとしては、にわかには信じ難いレベル。

戦隊モノ大好き。（特に男性の）アイドルなどには全く興味のなかった女の子が唯一ハマったのがこれ。
親にはヒトと違って構わない、むしろ違っていろ…と育てられた。ここから生まれた正義感がのちに繋がる。

大学デビュー。神戸から鳥取大学へ。当時お付き合いした杉田くんが今の旦那さんなのだそう。

卒業後、民間に就職するも馴染めず、公務員だった両親の勧めで西宮市役所に勤めることに。
そこでの経験が著者の政治姿勢を決定付けることとなる。

市役所時代に行った国勢調査。路上生活者も対象。基準日である10月1日の午前0時に聞き取り調査を行う。2000年分からは（女性の深夜残業が解禁されていたので）自身も調査に加わったという。

共産党系労組の話は凄まじい。ちょうど選挙戦での「しばき隊」動画が連日アップされているが、あんなやり取りを当時からしていたのだろうか？

知ってしまった人の悲哀。仮面ライダーや戦隊モノのヒーローは、世界征服を企む悪の組織と戦うが、一般市民はそれに気づいていない。
誤解を受けることもある。政治やボランティア活動に携わる人も同じ。

SNSに見られる0対100思考に警鐘を鳴らしつつ、是々非々で望む姿勢が大切と説く。

第6章、タイガーフークさん（山口県、下関のご当地ヒーロー）との対談は、ページ数は少ないながら、なかなかに興味深い。
いじめや自殺対策のために、戦隊モノの仮面を付けて、自腹で様々な活動をしているフークさん、彼も（本文中にも何度か出てくる表現であるが）著者と同様に "知ってしまった人の宿命" という感覚を持ち、それが故に戦い続けるしかないのだという思いの力強さには感銘を受けた。

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