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サイレントシンガー
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2025/06/20 |
| JAN | 9784163919911 |

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商品レビュー
3.8
101件のお客様レビュー
ことばとして発せられていないことばを優しく掬ってくれる。リリカの声を持たない者への歌はそんな役割だし、この本自体がそう。
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まさに著者の小説世界観がいかんなく発揮された作品。まるで陽当たりのよい部屋をレース越しに眺めている、そんな雰囲気を最初から最後まで貫き通した一冊だ。唯一名前が明示されている主人公と、その生の一筋に触れたり交わったりする登場人物達のなんと儚げなことか。自己の存在を主張することが称揚...
まさに著者の小説世界観がいかんなく発揮された作品。まるで陽当たりのよい部屋をレース越しに眺めている、そんな雰囲気を最初から最後まで貫き通した一冊だ。唯一名前が明示されている主人公と、その生の一筋に触れたり交わったりする登場人物達のなんと儚げなことか。自己の存在を主張することが称揚される今日、その対極にあるかのような主人の生きざまをどのように受け止めるべきか、一寸悩んでしまう。主人公がそれと意識せず”声”を使って人々の援けになっていたこととと、彼女の”生”が外界に一切引き摺られなかったことがとても心に残る不思議な一作だ。
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毎日、夕方の5時になると町役場からの放送で「家路」が流れる。 あまりにも自然に溶け込んだ歌声のため、人々は熱心に聴きいる事もなく、1日の区切りとして耳にしているだけで、誰が歌っているのかなどの関心を抱く者は誰もいなかった。 この地域に、ちょっと変わった人々が暮らす集団が存在して...
毎日、夕方の5時になると町役場からの放送で「家路」が流れる。 あまりにも自然に溶け込んだ歌声のため、人々は熱心に聴きいる事もなく、1日の区切りとして耳にしているだけで、誰が歌っているのかなどの関心を抱く者は誰もいなかった。 この地域に、ちょっと変わった人々が暮らす集団が存在していた。 彼らは極端な内気の性格のため、言葉を交わす人との関わりを避け、沈黙を優先した生活を営んでいた。 その地域に、おばあさんと孫娘リリカの二人が雑用係として加わることになる。 おばあさんはリリカを育てるために、この変わった人々が暮らす地域に職を得て、外部の人々との接触を担当する雑用係として働くことになる。 リリカの成長とともに、物語は小川さん独特の不思議な世界を醸し出す。 一人の少年が「アカシアの野辺」周辺で行方不明になり、大捜索にもかかわらず見つけ出すことはできなかった。 おばあさんは少年を孤独にさせないようにと、廃材などを使って人形を数多く作り、森の池の湖畔に立て飾った。 そしてリリカは湖畔で行方不明の少年や森の動植物たちに向かって歌い続けるのだった。 人と接することの少ないリリカも、成長した証として恋に巡り合うが、リリカは恋というそのものを理解していない。 純真な青年はリリカの生い立ちを理解して、踏み入った行動は慎む心優しい人だった。 二人は人が殆ど立ち入ることのない「アカシアの野辺」の森を散策しながら会話をし、僅かながらも外界の世界をリリカは知ることになるのだが、やはり生きる世界は沈黙の「アカシアの野辺」だと強く認識する。 そして孤独感を自ら意識することもなく、高貴とも云えるリリカの人生が綴られていた。
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