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沈黙のファイル 「瀬島龍三」とは何だったのか 朝日文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
| 発売年月日 | 2025/06/06 |
| JAN | 9784022621160 |

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共同通信社が1995年6月から12月にかけて全国の地方紙に配信した連載記事をベースにして、2025年 6月に大幅に加筆して単行本にまとめたものである。 当時の背景は、山崎豊子の『不毛地帯』が『サンデー毎日』(1973-78年)に連載され、ドラマ化もされて 主人公像の瀬島龍三が話...
共同通信社が1995年6月から12月にかけて全国の地方紙に配信した連載記事をベースにして、2025年 6月に大幅に加筆して単行本にまとめたものである。 当時の背景は、山崎豊子の『不毛地帯』が『サンデー毎日』(1973-78年)に連載され、ドラマ化もされて 主人公像の瀬島龍三が話題になり注目を浴びていた。 保坂正康は『瀬島龍三-参謀の昭和史』(1987年)で彼の自己装飾を暴き世論の瀬島評価に異を唱えた。 物事を整理・文章化する傑出した能吏だが情報の判断や握りつぶしなど誤りも多く、戦後に彼が自分で言うほどの実権はなかった。敗戦前後のソ連との交渉の不透明な部分も多く、都合の悪いことには口をつぐむ。 権力を好みそのもとで仕事をし、当事者にはならず責任は感じない、上官からは極めて便利で有能な参謀、自分を大きく見せる、という実像であった。 当時の自分は、人の見方が立場や視点によってこれ程違うことに愕然とした。そして戦時の組織における権限と責任、そこでの人間性の問題、複雑さと評価の難しさを強く考えさせられた。 瀬島は陸軍参謀本部の作戦中枢で長く実務を担い、11年間のシベリア抑流をへて帰国し伊藤忠で戦後復興ビジネスを成功させる。政財界活動でも臨調委員になり行革や民営化などで調整力を発揮し首相の参謀役を務める。その瀬島や当時の関係者に4人の記者がインタビューをし出版物の情報も集め、彼の実態に迫り昭和史の闇を明らかにしようとするものであった。 このノンフィクション作品は全体としてのまとまりに欠け、インタビュー記事を脈絡なく並べただけという感じである。聞く人によっては新たな真実が光るところもあるが、権力機構や瀬島の暗黙の正当化の空気をひっくり返すような鋭さや迫力はない。今回、30年経ってわざわざ単行本化するからには、時代に熟成された意味付けも必要であり、そのためのもう一段の編集レベルでの知恵と覚悟が必要であった。 保坂正康は解説の最後で「瀬島は自らの言動の真実は後世の人々によって探究され、史実として世に出されることを甘く考えていたということになるだろう。その甘さを本書もまた指摘しているのである。」と書いていることが救いだ。
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