ヨーロッパの美しい山

フローリアン・リウ(著者), 木村高子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 日経ナショナルジオグラフィック社/日経BPマーケティン
• 発売年月日: 2025/04/17
• JAN: 9784863136465

商品レビュー

2025/05/15

日本の山々とは違う猛々しさ。標高低いのに岩の山。日本の山の優しさも再認識。欧州に住む方が美しさに息を呑む風景を観る機会がもしあれば、そこに住まぬ我々に与える感動は、如何ばかりか…。

2025/05/12

標高による景観の多様性: 本書の最も重要なテーマは、標高がヨーロッパの山岳景観の多様性を生み出す主要な要素であるという点です。著者は、わずか数百メートルの標高の違いで、気候や生物相が劇的に変化する様子を強調しています。
「標高は山岳地帯の景観の形成にとって非常に大きな要素である。そこでこの視点に基づいて写真を紹介することにした。山岳地帯の景観を特徴づける「主要な階層」を一段ずつ経ていくことで、写真を通して西ヨーロッパの景観の多様性に気づくことができるだるう。」
山岳地帯の「階層」: 著者は、標高に基づいて山岳地帯を以下の6つの階層に分類し、それぞれの特徴を解説しています。
1 - 500m: 平地帯 (平野、谷間、低い丘陵地帯)
500 - 1100m: 丘陵帯 (生物多様性が豊かで牧畜や耕作も行われる)
1100 - 1700m: 山地帯 (落葉樹が減り針葉樹が増え、気温が低下し降雨量が増加)
1700 - 2400m: 亜高山帯 (植物の生育期間が短く、高山湖が多く見られる)
2400 - 3000m: 高山帯 (丈の低い草地が広がり、野生動物や家畜の放牧が見られる)
3000 - 4807m: 恒雪帯 (常に雪に覆われ、強風が吹き、生物が生息できる場所が限られる)
自然への謙虚さと畏敬の念: 著者は、山に登るたびに、人間の存在が取るに足りないほど小さいと感じ、山々の威容に対して謙虚な気持ちになることを述べています。
「感嘆すると同時に山々の威容に対して謙虚な気持ちになった。ここでは、人間は取るに足りないちっぽけな存在でしかない。山に戻るたびに、こうした原始的ともいえる感覚を取り戻すのがうれしくてたまらない。」
山岳体験と冒険: 本書は、単なる景観の記録にとどまらず、著者の山での体験や冒険の記録でもあります。夜明けの山や嵐の中の登山、オーロラの観察など、様々な状況での山の表情が写真を通して伝えられています。
「世界の果てまで行かなくても、冒険を体験し絶景を目に焼きつけることができる。」
自然の美しさへの感動と共感: 著者は、自身が出会った最も美しい景観を読者と共有したいという思いを強く持っています。様々な山岳地帯の息を呑むような写真を通して、読者にも自然の美しさへの感動や共感を呼び起こそうとしています。
「これまで私が出会ったなかで最も美しい景観の記録をともに楽しんでいただけることを願っている。」