フィンランド流〈ポジティブ変換〉のすすめ 女性のエンパワーメントのために

アンナ=マリア・ウィルヤネン(著者), 岩井さやか(訳者), 迫村裕子(監訳)

• 販売会社／発売会社: 国書刊行会
• 発売年月日: 2025/03/26
• JAN: 9784336077462

商品レビュー

2025/04/24

フィンランドの幸福の理由: 「世界幸福度報告書」で常に上位にランクインする背景には、高いレベルのジェンダー平等と女性のエンパワーメントがあり、これが国民全体のウェルビーイングに繋がっていると考えられます。
女性エンパワーメントの歴史: 帝政ロシア支配下のナショナリズム高揚期における芸術や文学の役割、戦争などを背景とした女性の社会進出、そして先駆的な女性たちの活動や社会制度（早期の女性参政権獲得など）の整備を経て、フィンランドの女性の地位は歴史的に向上してきました。
日本のジェンダー課題: 筆者は、フィンランドとは異なり、日本の日常生活の中に根強い男女不平等が存在することに衝撃を受けたと述べています。改善の兆しはあるものの、家庭内での女性の負担やキャリアにおける機会不均等、政策の実効性などに課題を感じています。
マタニティパッケージ制度: フィンランドの妊婦に育児用品一式（または現金）を支給するユニークな制度です。母子の健康を守るボランティア活動から始まり、現在は国が社会全体で子育てを支援する象徴的な政策となっています。
先駆的な女性たちの功績: 本書では、ミンナ・カント（作家）、ヘレン・シャルフベック（画家）、アルミ・ラティア（マリメッコ創業者）、トーベ・ヤンソン（ムーミン作者）など、各分野で道を切り開き、後の女性たちに大きな影響を与えた6人の女性が紹介されています。
「ハピネス投資」という考え方: 自身の幸福感を高めるために意識的に行う日々の小さな習慣（運動、深呼吸、感謝、休息など）を「ハピネス投資」と呼び、ストレスフルな状況でも心の健康を保つセルフケアの重要性を説いています。
働く女性へのアドバイス: パートナーとの家事・育児分担の話し合い、完璧を目指さず「手抜き」をすること、在宅勤務における心身の健康管理（休憩、公私の区別）などを、自身の経験を踏まえてアドバイスしています。
企業への提言: 経営者や人事担当者に対し、女性の採用や活躍推進を単なる社会貢献ではなく、企業の競争力を高めるマーケティング戦略として捉え、具体的な環境整備や制度構築、積極的な広報活動を行うことを推奨しています。