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日本人の死生観(Ⅰ) 霊性の思想史
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日本人の死生観(Ⅰ) 霊性の思想史

鎌田東二(著者)

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日本人の死生観(Ⅰ) 霊性の思想史

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 作品社
発売年月日 2025/03/27
JAN 9784867930762

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日本人の死生観(Ⅰ)

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2025/04/20

本書は、戦後日本を代表する作家・思想家である安部公房と三島由紀夫の対照的な生き様と思想を起点とし、古代から現代に至る日本人の「死生観」の根底に流れる「霊性」のあり方を、宗教、思想、文学、民俗、芸術といった多様な視点から探求する思想史の試みです。「霊」や「いのち」、「モノ」といった...

本書は、戦後日本を代表する作家・思想家である安部公房と三島由紀夫の対照的な生き様と思想を起点とし、古代から現代に至る日本人の「死生観」の根底に流れる「霊性」のあり方を、宗教、思想、文学、民俗、芸術といった多様な視点から探求する思想史の試みです。「霊」や「いのち」、「モノ」といったキーワードを手がかりに、日本文化の深層に分け入ります。 序章:二人の戦後思想家: 共に「第一次戦後派」として、戦争体験と向き合い、観念的な文学世界を構築した安部公房と三島由紀夫。しかし、安部が「仮設」としての伝統やイデオロギーを超えようとしたのに対し、三島は「仮面・仮設」としての「形」や「伝統」に固執し、無意識を否定しました。この二人の対立軸(肉体と観念、性とことば、伝統観、無意識観)は、本書が探る日本人の霊性の両義性や複雑さを象徴的に示しています。 「霊性」とは何か (第一章): 本書における「霊性(スピリチュアル)」は、単なる神秘主義ではなく、「論理的-非論理的」という軸の中で捉えられます。近代化の中で見失われがちな、人間が本来持つ自然や超越的存在との繋がり、内面的な深み、そして他者への共感を含む広範な概念です。現代社会では、終末期医療などにおけるスピリチュアルケアや臨床宗教師の活動として、その重要性が再認識されています。弘法大師空海の「同行二人」の思想に根ざした「寄り添うケア」や、仏教の「四念住」に基づくマインドフルネスケアなどが具体的な実践として挙げられます。 うた・いのり・聖地 (第二章): 古代より、歌や祈りは人々の感情を表現し、神々や自然と交感するための重要な手段でした。「聖地」(筑波山、三輪山など)は、日常から切り離され、異界と繋がる特別な場所であり、人々はそこで畏敬の念を抱き、霊的な体験を求めました。天岩戸神話におけるアメノウズメの神懸かりと踊りは、生命の再生を促す儀礼であり、神楽の源流ともされます。南方熊楠が警鐘を鳴らした神社合祀は、こうした聖地が持つ深い文化的・生物学的記憶の破壊に繋がるものでした。 日本的な「いのち」観 (第三章): 『古事記』の大国主神話(死と再生の物語)に見られるように、日本語の「いのち」は単なる生命力だけでなく、魂(たま)や生成力(むすび)を含む、生と死を包括する豊穣な概念です。国産み神話では、島々にも神名と性別が与えられ、自然が神聖な存在として捉えられていました(アニミズム)。鎮守の森を持つ神社は、この「いのちの道の伝承文化」を体現する場です。遠藤周作『沈黙』が指摘するように、西洋的な超越神の概念が根付きにくかった背景には、このアニミズム的な、人間と自然、神々が連続する世界観があると考えられます。石牟礼道子『苦海浄土』が描く水俣病の世界は、近代化によって破壊された、人間と自然(魚や花)が共に「生煩悩」を生きるアニミズム的共生の姿を痛切に伝えています。 「モノ」と霊性 (第四章): 日本文化においては、「モノ」は単なる物質(物)ではなく、霊的な力や人格(霊、者)を宿す存在として捉えられてきました。柳宗悦が称賛した円空や木喰の仏像は、木という素材の霊力を引き出す「ものづくり」の精神を示しています。神具製作から武芸、芸能に至るまで、「技(わざ)」は神霊の加護を得て初めて高められると考えられました。「リンゴの唄」の歌詞に見られるように、言葉を持たないモノへの共感(もののあはれ)は、日本人の感性の核心にあります。使い古した道具への感謝を示す「もの供養」の文化も、この「モノ」への畏敬の念から生まれています。著者は、この「モノ学」を現代に再構築し、新たな存在論を探求する必要性を説きます。 神道と仏教の対比 (終章): 日本人の霊性を形作ってきた二大宗教である神道と仏教は、対照的な特徴を持っています。神は依り代(柱など)に「憑く」垂直的な存在で穢れを嫌う一方、仏は悟りを開いた「人(覚者)」であり、穢れをも浄化する水平的・包摂的な存在です。明治期の祭神論争は、国家神道確立の過程で、こうした神々の捉え方の違いが政治問題化した事例です。 本書は、安部と三島という現代の起点から、古代の神話や信仰、中世の仏教や芸能、近世の民衆文化、そして現代のスピリチュアルな動向まで、時間と空間を自在に往還しながら、「日本人の死生観」の基層にある「霊性」の豊かな鉱脈を掘り起こしていきます。東日本大震災を経た現代において、私たちが拠って立つべき精神的な基盤とは何かを深く問いかける、示唆に富んだ思想史の試みです。

Posted by ブクログ