なぜ屋根は飛ぶのか？ 実証された本当の理由 知られざる内部空間圧力の影響

舩木主税(著者)

• 販売会社／発売会社: 扶桑社
• 発売年月日: 2025/03/06
• JAN: 9784594099930

商品レビュー

2025/03/30

近年の自然災害と建物被害
- 日本では台風、ゲリラ豪雨、線状降水帯などの自然災害が常態化。
- 2019年の台風15号（令和元年房総半島台風）は、記録的な暴風をもたらし、4600億円以上の被害を首都圏一帯に引き起こした。
- 専門機関の発表によれば、観測された風速は建築基準法の基準風速を上回っていなかったが、実際には千葉県内で多様な建物被害が発生。

台風15号による具体的な被害
- 最大風速55m/sが記録され、屋根や壁材に幅広い被害が確認された。
- 被害例として、屋根の棟板金の飛散、屋根材の破損、外壁材の飛散などが挙げられる。
- 屋根の棟板金は下地材の経年劣化や釘の抜けによって容易に飛散することがある。

大規模建物の被害とその特徴
- 比較的新しい大規模建物でも強風による被害が多く見られる。
- 専門機関は、強風防災に関する重要な示唆を得ており、原因を追究することで被害の低減策を模索。
- 過去の経済状況により、低品質な建材が使用されることが多く、これが強風被害を引き起こす要因となっている。

屋根材の飛散原因とメカニズム
- 屋根材の飛散原因は主に熱伸縮による金属疲労であるとされるが、具体的な対策は未だ十分ではない。
- 風洞実験を通じて「内部空間圧力」が屋根材の飛散に影響を与えることが確認され、特に金属屋根材で顕著である。

天井材の落下とその要因
- 天井材の落下は風によるもので、特に狭い天井空間での風圧による内部空間圧力の上昇が影響している。
- 強風によって内部空間圧力が急上昇することで、固定力の弱い天井材が剥がれ落下する事例が多い。

建築基準法の風荷重計算
- 現行の建築基準法に基づく風荷重計算において、屋根材の強度計算が求められるが、計算式には不具合があると指摘されている。
- 現在の計算方法では、特に「内部空間圧力」が考慮されておらず、屋根材の飛散事故が顕著に発生している原因の一つであると考えられている。

悪質なリフォーム業者への注意
- 自然災害後に訪問してくる悪質なリフォーム業者による詐欺行為が増加している。
- 消費者は信頼できる業者に依頼することや、複数の見積もりを取ることが重要である。

結論
- 近年の自然災害による建物被害は深刻であり、特に風による被害のメカニズムを理解し、適切な対策を講じることが急務である。
- 建築基準法の見直しや、屋根材の設計・施工における品質向上が求められる。