保守の本懐

上念司(著者)

• 販売会社／発売会社: 扶桑社
• 発売年月日: 2025/03/02
• JAN: 9784594099992

商品レビュー

2025/04/08

内容が自分には少し難しく、詳細までは理解できなかったが、何となく保守思想の敵の変遷を中心に明治維新あたりからの歴史が紹介される。人は苦しくなったら過激思想に傾倒きてしまう、、、改めて国の経済対策って大事だと思った。後はあとがき。天皇を大切にし、お天道様に恥じない生き方をするのが、日本人。肝に銘じます。

2025/04/02

1. 【保守思想とは何か？（第1章）】
保守思想の本質は、「伝統・歴史・慣習・制度」を尊重しつつ、現実に即した漸進的改革を受け入れる実践的思想。

理性を絶対視し、一から社会を作り直す「設計主義」とは真逆。

革命やイデオロギー的偏向には慎重で、現実を直視する態度が中核にある。

2. 【西洋保守の出発点：フランス革命批判（第2章）】
フランス革命の急進性とその暴力的展開を批判したエドマンド・バークが、近代保守思想の祖とされる。

「歴史的連続性」や「道徳的秩序」への敬意が保守の核であり、革命のような急進的断絶は否定される。

コンスタンのような自由主義者も、同じく「理想のための現実破壊」には警鐘を鳴らした。

3. 【日本における保守の源流：明治維新と天皇制（第3章）】
日本の保守思想の根幹は、明治維新の改革的保守主義にある。

明治維新は旧体制の破壊ではなく、「天皇制という歴史的連続性」を保ちながらの近代化であった。

福沢諭吉の「独立自尊」や「脱亜論」も、依存や従属を脱して現実に即した選択を促す保守的な態度と解釈できる。

4. 【保守思想の敗北と復活（第4章）】
日露戦争後、国民の感情的な過激化や軍部の台頭により、保守的リアリズムが退潮。

大衆迎合主義・軍国主義が支配的になり、保守思想は一時的に敗北。

戦後、石橋湛山のような現実主義者をはじめ、自民党政権によって漸進的保守主義が再構築される。

5. 【戦後保守自由主義とその戦い（第5章）】
戦後の敵は、共産主義・社会主義といった設計主義的イデオロギー。

特に憲法（9条）をめぐる思想闘争は保守と左派の対立点。

保守は「戦後レジーム」に即応しつつ、天皇制や自由主義体制を維持するための現実主義的アプローチをとった。

自民党が実現した安定・繁栄は、保守思想の実践的成功を示している。

6. 【令和における新たな脅威と課題（第6章）】
現代の保守思想は、以下の三重の脅威と対峙している：

グローバリズムや進歩主義に根ざした新たな設計主義

ネトウヨや陰謀論に代表される感情的な極右ポピュリズム

国家・共同体の否定を目指す脱構築的・加速主義的運動

保守は、これらの極端思想に対して「連続性・現実主義・倫理観」という立場から冷静に対応し、社会の安定と人間性の尊重を守る役割を持つ。

保守思想とは「体系ではなく態度」であり、時代ごとに表現は異なっても、その本懐は不変である。

◆ 全体の主張まとめ（著者の結論）
保守思想とは、理念よりも現実、変革よりも継承、感情よりも理性を重んじる態度である。

日本における保守は、天皇を中心とする歴史的連続性の中にあり、急進・過激・破壊の思想とは明確に一線を画す。

現代は左右の両極端が社会を不安定にしつつあり、今こそ「中庸・寛容・継続」の保守精神が重要である。