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ザ・ルーム・ネクスト・ドア
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 早川書房 |
| 発売年月日 | 2025/01/23 |
| JAN | 9784152104106 |
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ザ・ルーム・ネクスト・ドア
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商品レビュー
3.4
12件のお客様レビュー
短めの長編なのに、ずっしりとした読み応えの作品だった。あらすじを書くと、小説家の主人公の女性が、病に伏し余命幾ばくもない若かりし日の友人に呼び出され、自分は薬で安楽死をするつもりなので最後の日々に隣の部屋にいてほしいと頼まれるというもの。 だが、長くない作品なのに最初の100ペ...
短めの長編なのに、ずっしりとした読み応えの作品だった。あらすじを書くと、小説家の主人公の女性が、病に伏し余命幾ばくもない若かりし日の友人に呼び出され、自分は薬で安楽死をするつもりなので最後の日々に隣の部屋にいてほしいと頼まれるというもの。 だが、長くない作品なのに最初の100ページ以上はストーリーが動かない。主人公のとりとめもない思考、回想が脈絡もなく続く。友人が娘と折り合いが悪いこと、ある美しい女性にとっては年を取ることがとても残酷な状況をもたらすこと、良かれと思って認知症気味の隣人の女性との交流を買って出るもののやがてやめたいと後悔したこと、などなど。多くは女性が人生において経験する感覚や感情についてが多い。その細かな観察眼に舌を巻く。決して心地のよい追体験ではない100ページが続く。 そして後半はいよいよ友人との逃避行のような旅先での2人暮らしだ。そのなかで主人公は、友人の死を隣の部屋で見届ける恐怖心に襲われながら、友人のために穏やかな日々を過ごす。そこに、小説の前半の回想が重なる。What Are You Going Through(あなたはどんな思いをしているの?)が原題なのだが、そのとおり、人生において、友情において、外面からは推し量れない内面においてどんな気持ちを抱いてきたかにフォーカスが当たった不思議な小説だ。 友人は死を恐れている。おそらく。しかし、癌より先に自分で自分の始末をつけたいとも思う。治療も緩和ケアももうしないと決断した。読書が好きだったがだんだん読めなくなる。音楽が好きだったが、だんだんと何の癒しにもならなくなり、鳥のさえずりだけでよいと思うようになる。友人には少しずつ終末に向けた変化が訪れ、主人公の恐怖も静かに高まる。 映画にもなっているそうだ。気が付かなかった。観てみたい。この内面豊かな友情の旅は、視覚メディアではどう描かれるのだろう?
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癌に冒された友人に、死ぬ時は自分で決めたい、自分が逝く時に同じ屋根の下にいて欲しいと頼まれた話者のモノローグで綴られた物語。 質疑応答の時間を設けず淡々と絶望的な地球の未来について講演する話者の元恋人や、話者が思い出す現実やフィクション作品の中の人々を通じ、生きづらく、恐怖に満ち...
癌に冒された友人に、死ぬ時は自分で決めたい、自分が逝く時に同じ屋根の下にいて欲しいと頼まれた話者のモノローグで綴られた物語。 質疑応答の時間を設けず淡々と絶望的な地球の未来について講演する話者の元恋人や、話者が思い出す現実やフィクション作品の中の人々を通じ、生きづらく、恐怖に満ち、絶望的な未来しかない「生」というものが描かれる一方、それでも別れづらいその「生」、生きようとする力や最後まで自分が他の誰でもない自分として生きた実感を持っていたいという願いも描かかれ、そこに是非の評価をつけない話者の文章のトーンによって、読者も各々の死生観を振り返ることとなる。 死にゆく愛する者を見つめること、死にゆく愛する星を見つめること。すでに手遅れで何もできない、自分はその死に関与していないと主張すればよい、それでもなお、「私はそこにいて死に立ち会った」と無力なまま証言することも愛の一つとも感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
原題『What Are You Going Through』。 邦題も英語という中々ないタイプの訳出。 と思ったら、映画化されたときのタイトルを取っているのね。 今、この時に何を想い、どう未来と向き合おうとするのか。 旅立たんとする者とかたわらで寄り添う者、各々を象徴するかのようなタイトルの意味にそこここで思いが向く。 癌を患い闘病中の友人を見舞う語り手。 たまたま訪れた地の民泊で紹介されていた元恋人の講演会をきっかけに、にぶい胸の痛みを伴う思索ばかりが紙面を通じて読者に伝えられる。 気付かぬふりをしながら分かりきった崩壊に向かってじり進む世界、人生の終焉に対する岐路を迎えてもなお距離が埋まらない母子関係、恵まれた容姿で疎ましいほどの色目を向けられていたことが遠い過去へ過ぎ去ってしまった今の自分に対する忸怩たる思い。 分断と傷つけ合い。かっこつけの隣人愛。 そんな厭世感巡る中で、友人からのこれまた深刻な頼みに応えるため、語り手と友人は一つ屋根の下の生活を始める。 そこはかとないユーモアを交えつつ語られていくのでからっとはしている。 ただ、やはりまともに向き合えばその示唆するものはお先真っ暗でどこかげんなりすることばかり。 だからこそ、ストーリーを追う頭とは別のポイントで、今自分は何を大事にし、何をすべきなのかを意識してしまう、そんな感覚にどっぷりと浸からせられる作品だった。
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