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ジェリコの製本職人
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 小学館 |
| 発売年月日 | 2024/11/27 |
| JAN | 9784093567473 |

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商品レビュー
4.3
19件のお客様レビュー
最初は、読むのに退屈したけど、読み進めたら、文章が胸にささる、とてもいい本でした。ペギーが、最初は製本工から事務仕事の応募も躊躇っていたのに、最後は、カレッジに入るまで自分を変えていくストーリーがとてもよかったです。グウェンが、物怖じせず、物語を明るくしていていいキャラクターでし...
最初は、読むのに退屈したけど、読み進めたら、文章が胸にささる、とてもいい本でした。ペギーが、最初は製本工から事務仕事の応募も躊躇っていたのに、最後は、カレッジに入るまで自分を変えていくストーリーがとてもよかったです。グウェンが、物怖じせず、物語を明るくしていていいキャラクターでした。 女性が学位をとることを、守衛に感謝しなくちゃと言われるが、私は、感謝はふさわしい言葉じゃない気がしたという一文がとても好きです。p528 モードは、言葉が不自由で繰り返すことでしか自分の意見を言うことができないという設定も、文章が読者に染み込む効果を高めていると思う。なぜなら、言葉が不自由なのに表現が豊かで的確だから。 好きなシーン 抜き出して見たら、"わたしたち"を"私たち"にせずに、ひらがなで表記する、"一つ一つ"を"一つひとつと"と表記するなど、小説を柔らかいトーンにするのに一役買ってるのだなと思いました。 p225 沈黙を埋めるため、あるいは暇つぶしのために人は、話す。 ことばを巧みに操り、際限もなくさまざまに組み合わせることはできても、大多数の人間は、本当に思っていることわなかなかうまく言い表せない。一つひとつの語句がそれ以外に理解しようがないたった一つの意味になるまで。会話を分解していく。 p242 「綺麗なだけが、花の取り柄だもの」わたしは言った。 「あなたは花じゃなくってよかったね」 p385 昔から、恋に傷つくのは自分の胸だと思ってきた。女だから、恋に支配されてしまうのだと。小説や詩の中で、何度も何度も読んできたことだ。でもその小さな嘘(主人公が自分がどうしたいか分かっているのに分からないといったこと)は、破れたのはバスティアンの胸だった。わたしは、それが破れるのを見、彼の痛みを自分の胸に感じた。 無意識に読んでいるもの、それを当たり前だと考えないこと、当たり前かどうか気がつくことが、大事だと思った。 p390 "変化を、求める共通の願いによって結ばれた女性たち"(姉妹たち)。そうだ。生まれつき持っていないものを欲しいと願うのは、わたしひとりじゃない。 このシーンは、とてもいいシーンでした。 ペギー(主人公)が、自分の意思をはっきり示すところ。立ちはだかるのが、女性で、周りの男性が冷やかして見ているのが、風刺ですね。 p395 どれもみんな同じだと思った。 どの一冊もひとたび読まれれば、それぞれ違う箇所で自然と開くようになる。わたしは気づいた。どの一冊もひとたび読まれれば、ほんの少しだけ違う物語を語ることになるのだ、と。 ミスガーネル(司書)との再会のところ p420 「わたしたち女性を説明するために使われることばは、わたしたちの社会における価値を定義するの。そして。社会にどう貢献するかを、決めるのよ。」「わたしたちについてどんな感情を持つべきか、どう判断を下すべきか人々に指示するものでもある」 ペギーがギリシャ語を読める意味について、ミスガーネルと話すシーン
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前作がとても好きだったので、エズメを取り巻く人たちに再び出会えて嬉しかった。 半分過ぎたあたりから、何度も涙を堪えながら読んだ。素晴らしい言葉たちで溢れていた。 モードの選び取る言葉はいつも真実を射抜いていて、ペギーの飲み込んだ言葉たちを、モードの振る舞いを通して感じとれて、...
前作がとても好きだったので、エズメを取り巻く人たちに再び出会えて嬉しかった。 半分過ぎたあたりから、何度も涙を堪えながら読んだ。素晴らしい言葉たちで溢れていた。 モードの選び取る言葉はいつも真実を射抜いていて、ペギーの飲み込んだ言葉たちを、モードの振る舞いを通して感じとれて、泣けて堪らなかった。 ペギーを押し上げていく、”sister”たちも、それぞれよい。
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歴史の中で記録されることのなかった女性達の物語。けれど確かに、強く根の張った芽の息吹がそこにはあった。翻訳がすごく読みやすく、また美しく、基本的に通学中読んでいたのだが休みの日は部屋で声に出して読んでみたりした。新しい読書体験だった。 オックスフォードの製本工房で日中働くペギー...
歴史の中で記録されることのなかった女性達の物語。けれど確かに、強く根の張った芽の息吹がそこにはあった。翻訳がすごく読みやすく、また美しく、基本的に通学中読んでいたのだが休みの日は部屋で声に出して読んでみたりした。新しい読書体験だった。 オックスフォードの製本工房で日中働くペギーは、夜工房から持ち帰ってきた不良本を読みながら大学で学ぶことを夢見ていた。しかし、労働階級の彼女にとって身分の壁は高く、また障害を持つ双子の妹モードの面倒も見なければならない。夢もまた夢の話だった。 第一次世界対戦の足音も大きくなり、あちらこちらで難民を引き取らなければならない。ペギー達の生活も一変する。 病院の患者に手紙を朗読したり代筆する奉仕活動ので出会ったサマーヴィルカレッジの学生グウェン。ペギーとは身分も性格も真反対だった。グウェンの身分を羨み、存分に学ぶことができる環境の中でそこそこの勉学を修める彼女への愛憎、怒りをペギーを通して読み取ることができる。それでいて自分にもチャンスがあることを知って変化を恐れるペギーの戸惑いも。投票権について話していた時、踏まれる立場の気持ちをわかるわけがないと述べたペギー。自分の手では得ることができないもどかしさが伝わってきた。だから、戦後の話で彼女達がとった選択が、彼女達の望みに適ったもので本当に良かったと思える。 ペギーの双子の妹、モード。彼女の言葉は他人からの借用。決して自分で考えることはできないとペギーと共に私も思っていた。けれどそれは違っていると分かったのは焼け落ちたベルギーからやってきた元司書のロッタ。彼女の亡き息子も、詩の言葉でコミュニケートしていた。ロッタはモードにその子を重ねていた。それはモードに重荷ではないかと私は思ったが、モードは静かに受け止める。彼女は決してものを考えられない訳ではない。むしろ静寂の中は彼女の世界で満たされている。それに気づいた時のペギーは焦りを感じる。双子という関係が「ロッタにモードをとられた」、「私は彼女の姉なのに」という感情を助長させる。ペギーがロッタにモードを任せるようになってから私は安心できた。ペギーの感情は嫉妬の一言では片付けられない。そこには育ってきた中での責任があるから。この双子の描写に、(私には双子はおろか女性の兄弟がいないにしろ)何故か共感を覚えてしまった。 どの登場人物も戦争に晒されて"人間味"をすごく感じられる作品だった。この"人間味"は強さとも言い換えられる。ペギーとバスティアンとの関係の描写も芸術的で好きなのだが、中でも墓地で石棺の上に腰をかけるシーンは、木漏れ日や湿り気までも感じられる。一度は"強さ"を失ってしまっても、時間がかかっても、不完全でも人は立ち直ることができることを知ることができる。 フォーカスされた労働階級の女性像。フィクションであることは知っているが、どうしてだろうか、大きなリアルを見出すことができる。確かに彼女達は生きていたのだ。
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