日本における市場と権力の社会経済史 比較市場史試論

原田政美(著者)

• 販売会社／発売会社: 清文堂出版
• 発売年月日: 2024/11/20
• JAN: 9784792415327

商品レビュー

2025/03/13

1. 中世市場における権力と商人の関係
- 新市の設立: 中世における新市（悩天市）の設立とその運営に関する権力の介入が強調されている。
- 商人の活動制限: 市場周辺での商人活動が禁止され、商人の営利活動が権力によって制約されていることが記述されている。
- 税制の整備: 市場税の収集が学侶と官符衆徒によって行われ、税収が権力の公認を受けた商人活動に基づいている。

2. 市場税と市場開設の許可
- 許可の重要性: 市場開設に関する許可は、国王からのものであり、権利付与が行われることで商業活動が公認される。
- 市場税の免除: 流通税免除に関する許可の存在が市場開設に関連し、商人の活動を促進する方向に働くことが示されている。

3. 市場開設権の発展
- 権利化の過程: 市場開設権が権利として認識されるようになった経緯が記述され、中世の社会における市場の重要性が強調されている。
- 市場の独自性: 市場は独自の「栢洲」を持ち、地域社会の特性を反映する存在であることが述べられている。

4. 日本における市場の特性
- 市場制度の違い: 日本では、市場の設立権が戦国時代から近世にかけて進展し、西欧とは異なる発展を遂げている。
- 楽市楽座令の影響: 織田信長の楽市楽座令が市場の運営において重要な役割を果たし、商人の権利の拡大や市場の活性化に寄与することが示されている。

5. 近世への展望
- 市場の監督主体の変化: 戦国期において、都市共同体が市場の監督主体として現れることが反映されている。
- 権力と商人の関係の変遷: 近世における商人と権力の関係がどのように変化していったのかについて、具体的な事例を挙げて考察されている。

6. 市場における取引規制
- 取引の自由化: 取引規制が徐々に衰退し、自由な取引が促進されたことが論じられている。
- 中央卸市場法の導入: 日本の市場制度における取引規制の厳格な側面が指摘され、国の法制が市場に与える影響について考察されている。