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最終列車 講談社文庫
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最終列車 講談社文庫

原武史(著者)

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最終列車 講談社文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2024/11/15
JAN 9784065370568

最終列車

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2025/04/20

本書は、日本政治思想史を専門とする著者・原武史氏が、自身の豊富な知識と鉄道への深い造詣に基づき、「最終列車」というモチーフを通して、日本の近代史、社会、文化、そして人々の記憶を読み解いていくエッセイ集です。単なる鉄道趣味の本ではなく、鉄道というインフラがいかに日本の様々な側面と深...

本書は、日本政治思想史を専門とする著者・原武史氏が、自身の豊富な知識と鉄道への深い造詣に基づき、「最終列車」というモチーフを通して、日本の近代史、社会、文化、そして人々の記憶を読み解いていくエッセイ集です。単なる鉄道趣味の本ではなく、鉄道というインフラがいかに日本の様々な側面と深く関わってきたかを多角的に考察しています。 鉄道の多様な顔: 本書は、鉄道を単なる移動手段としてだけでなく、様々な顔を持つ存在として捉えています。 公共空間として: 非常時(東日本大震災の三陸鉄道など)には人と人を繋ぎ、励まし合う場となり、日常においては予期せぬ出会い(「誤配」)を生む「動く公共空間」としての価値を持ちます。 権威の象徴として: 明治天皇の利用が文明開化と国民統合を象徴したように、あるいは中国の西太后が御召列車で権威を示したように、政治的な意味合いを帯びることもありました。 記憶の場として: 車窓から見える一瞬の「光景」(芥川龍之介『蜜柑』など)が深く記憶に刻まれたり、幼少期の鉄道体験が原風景となったり、駅名や沿線風景が個人の記憶や地域の歴史・伝承(ヤマトタケル伝説など)と結びついたりします。 経済・社会インフラとして: 参勤交代に象徴される近世の交通システムから近代化を支え、私鉄経営モデル(小林一三)を生み、地域経済(温泉地、炭鉱など)と盛衰を共にしました。一方で、ハンセン病患者の移送に使われた負の歴史も抱えています。 皇室と鉄道: 明治期から現代に至るまで、皇室と鉄道は深い関わりを持ってきました。明治天皇による積極的な利用、昭和天皇の戦時下の行動(宇佐・香椎宮への祈願)や戦後の側近への追悼、占領下の高松宮の特権的な旅行と占領政策への不満、そして現上皇・上皇后夫妻による一般列車利用や「平成流」のお手振りなど、時代ごとの皇室のあり方と鉄道利用の変化が描かれています。 時代と共に変化する鉄道: 技術革新: 新幹線の登場はスピードと安全性で画期的でしたが、山形新幹線のように必ずしも所要時間短縮に繋がらないケースもあります。 路線網の変化: 東京駅への一極集中(上野駅の地位低下)、新幹線開業に伴う並行在来線の廃止や第三セクター化、ローカル線の衰退などが進んでいます。 車両の変化: 客車列車の減少、ステンレス・アルミ車両やロングシートの普及、二階建てグリーン車の導入など、車両の近代化が進んでいます。 駅名の変遷: 温泉地の名称変更、学校・施設名の付与、元号の使用、社会情勢(戦時下の「温泉」削除)など、様々な理由で駅名は変化してきました。 情報伝達の変化: かつての駅員による肉声アナウンスの職人芸が失われ、視覚情報(電光掲示板)が優位になることで、聴覚的な情緒が薄れている可能性が指摘されます。 社会情勢と鉄道: 戦後の混乱期(宮本百合子の記録)、占領下の特権と不満、共産党の武装闘争(山村工作隊と青梅線)、高度経済成長期の労働運動(ストライキ)、炭鉱閉山(夕張)、そして近年の自然災害(東日本大震災とBRT転換)、コロナ禍による利用客減少と経営モデルの変化など、鉄道は常に社会の動きと密接に関わってきました。 ローカル線の現状と未来: 人口減少やモータリゼーションにより多くのローカル線が厳しい状況にあります。しかし、小湊鉄道や大井川鐵道、只見線のように、昔ながらの風景や特別な体験を提供することで、採算性だけでは測れない価値を持つ路線も存在します。著者は、フリーゾーン化や特産品開発、沿線風景を活かした空間・時間提供など、活性化のための新たな視点を提案します。 鉄道旅行の魅力と再評価: スピード競争だけでなく、柳田國男が指摘したような、移動過程を楽しむ「線」としての価値、谷崎潤一郎が好んだような狭い範囲をゆっくり巡る旅の魅力を見直すことを提唱。夏目漱石『三四郎』に描かれるような、車内での出会いや会話が生まれる公共空間としての可能性にも言及します。 本書は、鉄道というレンズを通して日本の近代を深く見つめ直し、効率性や経済性だけでは語れない鉄道の持つ豊かな意味や可能性、そしてこれからのあり方を問いかける、示唆に富んだ一冊です。

Posted by ブクログ