ユニクロの仕組み化

宇佐美潤祐(著者)

• 販売会社／発売会社: SBクリエイティブ
• 発売年月日: 2024/11/03
• JAN: 9784815628246

商品レビュー

2025/01/20

はじめに
本書は、ユニクロを展開するファーストリテイリング（FR）が日本の企業価値創出においてどのように成功を収めているかを解説しています。特に、ユニクロの成長力、経営効率、そして全員経営の仕組みを中心に、その成功要因を探ります。

ユニクロの時価総額と企業価値創出
- 時価総額: ユニクロは時価総額で14.5兆円に達し、日本企業の中で第7位です。
- PBR、ROE、PER: ユニクロはPBR（株価純資産倍率）で6.56倍、ROE（自己資本利益率）で17.51%、PER（株価収益率）で高い数値を示し、企業価値創出においてトップクラスの評価を受けています。

経営理念と仕組み
- 全員経営: ユニクロでは、全ての社員が経営者的な視点を持つことが求められます。このため、社員一人一人が経営に対する意識を持ち、業務に取り組むことが重要です。
- グローバルワン: 組織の標準化と効率化を図る「グローバルワン」の仕組みが導入され、全社員が共通の目標を持つことで、業務の質を向上させています。

変革と創造
- ユニクロは、過去の延長線上で業務を回すのではなく、常に新しい仕組みを生み出すことが評価されます。「変革と創造」がリーダーに求められ、その実現のためのプロジェクトが推進されています。

教育と人材育成
- 経営者になるためのノート: ユニクロでは、社員が自らの成長を促すための「経営者になるためのノート」を用意し、実践的な教育を行っています。このノートには、経営者として必要なスキルやマインドセットが記載されています。

経営スピードとPDCA
- ユニクロは「即断・即決・即実行」を重視し、週次PDCAサイクルを導入することで、迅速な意思決定と改善を行っています。この仕組みにより、現場の声を迅速に反映させることができ、問題解決が迅速に行われます。

まとめ
本書は、ユニクロの成功の背後にある経営効率と全員経営の仕組み、教育システム、そして急速な意思決定の重要性を強調しています。ユニクロは、これらの要素を通じて、企業としての成長を持続させ、市場での競争力を高めていることを示しています。

2025/01/02

ファーストリテイリングの人材育成責任者によるユニクロにおける具体的な業務運営の取組を自賛する本。

一読した感想としては、極めて体育会系的・マッチョイズム全開の組織だなと。
各支店長に対する極めて高い目標設定、例えば前年度比30%超など、に基づくPDCAの運用を徹底しているとのこと。しかしてその実態はメンタル不調者が続出しているのではないだろうかと推察してしまう。（中途退職者は多いとのことだが、「去る者は追わず」的なことに言及あり）

本書における「仕組み化」とやらの内容にはそれほど目新しさはない。むしろ役員総出の週単位対面ミーティングとやらは、極めて非効率であることはもとより、各支店長に対して大きな裁量を与えていると繰り返し言及しているが、その実はマイクロマネジメントの弊害を感じている社員も多くいるのではないかと穿った見方をしてしまう。

本書を一読する限りにおいて、著者自身に店長としての現場経験がなく中途入社したエリート管理職層であること等から、現場の泥臭さや熱意のようなものが感じられず、内容の薄っぺらさ・上滑り感が拭えなかった。

組織目標とマニュアルの間に位置する「原理原則」を社員に浸透させる取組など頷ける内容もあった。

自分は根がぐうたらな性分であり、この会社では絶対に働けないだろうと思った。（もとより願い下げだとは思うが）