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水と人の列島史 農耕・都市・信仰
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 吉川弘文館 |
| 発売年月日 | 2024/08/21 |
| JAN | 9784642084567 |

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水と人の列島史
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商品レビュー
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2件のお客様レビュー
実は2つの点に絞り読もうと思っていた。 ひとつ、国立歴史民俗博物館主催の共同研究なので、最新研究である福井県年縞博物館の気候研究結果が正面から研究されている可能性がある。本格的な天候の歴史と農耕史と都市の発生、そしてそれに信仰がどう絡まるのか立体的に見せてくれると期待していいた。...
実は2つの点に絞り読もうと思っていた。 ひとつ、国立歴史民俗博物館主催の共同研究なので、最新研究である福井県年縞博物館の気候研究結果が正面から研究されている可能性がある。本格的な天候の歴史と農耕史と都市の発生、そしてそれに信仰がどう絡まるのか立体的に見せてくれると期待していいた。 ひとつ、尊敬していた考古学者松木武彦氏の遺作だと思い、最晩年にどういう意識でこの論考を書いたのか注目していた。 勘違いしていて、期待していたものは得られなかった。 私の興味関心は弥生時代後期ではあるが、本書は「列島史」を意識していて、弥生時代は一論文だけだった。基本ラフスケッチだけだった。 大阪河内平野の池島・万福寺遺跡の水田開発が、水田域の休耕や放棄を繰り返しながら、灌漑システムの更新をおこない、水田域の拡大をやってきたことを実証的に示している。 研究背景には、樹木年輪酸素同位体比変動から見る年間降雨量の変化がわかったことがある。 紀元前80年〜30年にかけて急激に「洪水」が頻繁に起こっていた様だ。その後AD2世紀にかけて、洪水がおきたり、雨が比較的降らなかったりした年の変動が激しかった。(この時期、まさに倭国動乱と被る)こういう短周期の変動に対応することもできる様になっていたらしい。報告者井上智博さんはそれ以上のことは、書かない。これを可能にした技術者が、何処から来たのか一切書かない。その他関連事項も書かない。 私が思うに、当然強力なリーダーシップを持つ首長が望まれただろう。何処かで、それが可能な人物がいたら、仲間に入りたいと思っただろう。そうやって、近畿地方にムラからクニができた可能性がある。ホントは吉備辺りにもこの気候変動が当てはまるのか、切実に知りたかった。 松木武彦氏の論文は「水から読み解く古墳の世界観」というもので、古墳周濠の意味というものだった。まぁ確かに水を呼び込むお墓というのは意味があるかもしれない。ただ、私の興味外だし、未だ闘病前ということもあり、文章に切実さはなかった。そもそも、本の発行自体が、2024年9月1日で、氏の死亡半月前だ。吉川弘文館も、氏の死亡は寝耳に水だった可能性が高い。
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水を制す者が世界を制す、この言葉は真理だ。『史記』にも古代の治水事業について詳細に記されているし、中華の影響を受けた倭の『日本書紀』にも古くは仁徳天皇の時代、彼の功績の一つとして記録が残されている。世界の繁栄を支えてきたのは農業で、作物を効率よく育てるためには水がいる。もちろんた...
水を制す者が世界を制す、この言葉は真理だ。『史記』にも古代の治水事業について詳細に記されているし、中華の影響を受けた倭の『日本書紀』にも古くは仁徳天皇の時代、彼の功績の一つとして記録が残されている。世界の繁栄を支えてきたのは農業で、作物を効率よく育てるためには水がいる。もちろんただ生きるためにも必要だ。万物の命とも言える水と神は必然的に結びつき、湧水のように数々の伝説を生み、それを王権が神話として整備する。多種多様な祭祀は、こうして世に放たれたのである。 本書に記された古代と水の関係性を要約すると、だいたい上述したような内容になる。『日本書紀』にて、和風諡号から実在する可能性が高いとされる崇神天皇の治世に行われた水の祭祀の記録や、皇極天皇の御代、天皇自らが取り仕切った祈雨(あまごい)の事例などから察するに、国家の存続ないし王権の維持のためには水に関する祭祀が不可欠であったことが窺える。 本書に記述はないが、群馬県の三ツ寺I遺跡では農耕や生活に使うための水路の他に、首長邸宅に水を引くための施設の遺構が発見されている。付近から子持ち勾玉が見つかっていることから十中八九水に関する祭祀を執り行うために使っていたとみてよいだろう。大和の本拠地であり当時の最先端であった奈良盆地だけでなく、地方においても水は王権と結びついていたのだ。 山岳信仰について皆どんな考えを持っているだろうか。私は漠然と山が与えてくれる幸に感謝を示すために信仰が生まれたと考えていた。その山の幸とは、どんぐりや動物の肉など、狩猟採集民に関連したものという認識を持っていた。山岳信仰が縄文期ではなく更に下る時代に形作られたという事実など忘れたままに。 水源、これが最重要ワードといっていい。今も続く三輪山の信仰がどうして生まれたかといえば、この神体が稲作のために必要不可欠な水を豊富に提供したからだ。現在に至るまでにその信仰は神秘に包まれ複雑になり、体系化されていったことで本質が掴みづらくなってしまっているが、元はこんな原始的で切実な理由から生まれた信仰なのである。本書は山中で水源を探すような、歴史の源泉を追い求める旅を提供してくれる。 本書は本土だけでなく、沖縄の水の祭祀の形を紹介したり、歴史記録からこぼれ落ちることの多い民俗学的な話題を掲載してくれている。沖縄の水の祭祀の具体的な説明については退屈に感じるかもしれないが、古代日本の水の祭祀の形を想像するのに大いに役立つと思う。 編纂者による墓についての小論、これは一見本書の主題からは無関係に思えるかもしれない。私自身もそう思った。しかしとばすことなく最後まで読んでほしい。人間の死への忌避感、水への考え方がグロテスクに混淆する先人たちの価値観を存分に堪能して頂けると思う。 興味深い話題に尽きない本書だが、解説はここまでにしておこうと思う。続きは-お決まりになるがー自分の目で確かめてみてほしい。
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