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サンショウウオの四十九日
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2024/07/12 |
JAN | 9784103557319 |
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サンショウウオの四十九日
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商品レビュー
3.5
64件のお客様レビュー
同じ身体を生きる杏と瞬の思考には境目が薄い。 なんとなくそれに身を任せて、2人の区別を気にせず読んだらそのまま飲み込んでしまったんだけど読み方としてこれで良かったんだろうか。 なんか、杏と瞬は個別の人間だけど、あえて線引しなくていいかなって。
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結合双生児という特殊な主人公達だけど、2人のなんとも表し難い関係性、繋がってるからこその特有の感覚、価値観、思考回路をとても濃密に書いた作品。 1人の人間に2人の人間が入ってるというストーリは多重人格設定が多いけど、結合双生児という設定はとても興味深かった。そしてその設定を持て余す事なく、普通の人じゃ理解出来ない2人にしかわからない感覚をこれでもかと密に描写していく。 同じ1人の人間なのに、明らかに違う思考回路の差異や、別の人間の思考がこちらに流れ込みそれが混ざり合っていく不思議な感覚を見事に文章で表現されていた。 ただ叔父さんが亡くなってからの四十九日がテーマではあるが、肝心の叔父さんと主人公達の接点がほとんどなかったせいで、共通点や関連性を示唆されてもイマイチ琴線には触れなかった。 彼女たちにとって父と叔父さんの関係は色々同調するとこもあるかもだけど、叔父さんがどんな人がよく分かんなかったからなぁ…… 最後も結局「ふーん…」で終わってしまった。劇的な展開や感動は全く不必要な作品だけど、何かもう一つ腑に落ちるような何かがあれば満足度上がったかな…
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結合双生児の女の子、杏と瞬(29歳)が主人公。お父さんの若彦は昔、兄の勝彦の体内で育った胎児内胎児という設定。 結合双生児と胎児内胎児の話が交互に進んでいく。 現実では結合双生児は頭部や臀部が一体となっているケースが多いようだが、作中の杏と瞬は体の半分半分ずつが一体化していて(脳まで一つの脳に合体している)パッと見は普通の人に見えるという設定になっている。 主人公を見た目は読者と変わらない姿に据え置いたのは、単純に読者を物語に没入させやすくするためなのかもしれないし、主人公たちが変わった見た目で生きてきたことから生じたコンプレックスやそういった生まれのための人生への希望や諦めといったところを描くよりかは、作中でも触れられる意識や、生と死のようなところにフォーカスしたかったからなのかなと思った。 回想が多めの語りになっていて、意識の流れを書いてるとも言えるかもしれない。これは杏と瞬が伯父の勝彦が亡くなってからの49日までという短いスパンの中で人生を振り返り、最後杏が5歳のときに瞬というもう一人の人間を、自分の中に発見したシーンにまで遡っていく。 ーーザリガニと同じくらいいると確信できた。ーー 池のアオミドロの藻から現れたザリガニの姿を見たときに、自分の中にいるもう一人の存在を感じた杏のシーンは物語のひとつのクライマックスになっている。 自分の身体の中に宿るもう一つの命、あるいは意識、それもかよわく、生まれたてのような声を、はじめは異質なものとして杏は捉えるが、それをどぶのような池の中から現れた5㎝ほどの小さなザリガニとなぞらえるシーンはよく出来ているなと思ったし、作者の素晴らしい想像力だなと思った。 またクリスタとタチアナという2006年にカナダで生まれた結合双生児を引き合いに出して(この二人は頭部を共有していて体も共有して動かせるし感情や視覚まで共有しているらしく、これは杏と瞬も同じなのでおそらく2人の設定はクリスタとタチアナからインスピレーションを得たと考えられる)ーー生まれてからずっと思考や感情が共有され続けるなかで、どうして独立した意識と人格が保っていられるんでしょうか。ーー といった疑問を投げかけ、それに対してひとつの答えを提示している。哲学的な側面から意識にアプローチするあたりも、ありきたりな小説にはない著者の野心がこもった作品のように感じた。 一緒に読んだ友だちもタイムレスな感じはある。10年後に読んでも色あせてない小説ではあるかもしれない、と言っていたし僕もそう感じた。設定の奇抜さに負けないくらいしっかり描かれた作品だと思ったので読んでよかった。
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