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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2024/04/18 |
JAN | 9784000616393 |
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商品レビュー
4
10件のお客様レビュー
黒く蠢く何かが集まり、鳥の形となって空を飛び、開いた窓辺に降り立つ。それは戦争をイメージしたおぞましい何か。少ない言葉数で戦争とは何かを伝える絵本。 端的に語られる文章が重く響く一冊でした。絵から伝わってくる重苦しく位イメージが戦争のイメージをよく表していると思います。
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タイトル通り、主語が戦争。 戦争状態をつくるのは人間なのだが、戦争という概念になったとたん、個々の顔は見えなくなる。 ちなみに戦争がテーマの絵本では、谷川俊太郎「へいわとせんそう 」の表現力が断トツだと思う。
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岩波「図書」8月号に訳者木下眞穂さんの解説が載っていて、紐解いた。ポルトガルの絵本。 「戦争は、」に続く幾つかの短詩と、禍々しいイメージ絵で構成される。鼠色と褐色しか出てこない。 先ずはこの詩篇にドキッとした。 戦争は、日常をずたずたにする。 「進行していますね」と耳元でさ...
岩波「図書」8月号に訳者木下眞穂さんの解説が載っていて、紐解いた。ポルトガルの絵本。 「戦争は、」に続く幾つかの短詩と、禍々しいイメージ絵で構成される。鼠色と褐色しか出てこない。 先ずはこの詩篇にドキッとした。 戦争は、日常をずたずたにする。 「進行していますね」と耳元でささやかれる病気のように。 ←あゝ、私にはこの体験はないけど、かつての父親を見ていて、正に彼の心の中に「戦争」が進行していたのだと、まざまざとイメージを持つことができた。 「もののけ姫」の猪神がたたり神に侵されてゆくときの黒い蛇みたいなものが、大陸の林の間をずっと進んでいき、群れをなし、禍々しい鳥の導きにより、街の中の大きなビルの一室の1人の男に取り憑く冒頭。 そのあとの幾つもの詩句は、 文・ジョルジェ氏の経験から作られたものには違いない。けれども、今はウクライナやガザにもほとんど当てはまる(作られたのは2018年)のが恐ろしい。 文と絵は、ポルトガルのレトリア父子によって作られた。ポルトガルは1926年から1974年まで、48年間独裁政権下にあった。ジョルジェは無血のカーネーション革命を支えたレジスタンスだったらしい。絵は静かに始まり、やがて次々とカタストロフが進んでゆく。 司令官(?)の胸元を這い回る蜘蛛や百足や無数の虫蟲。彼が見下ろす作戦地図にも蟲が這い回り、やがて「戦争は、凶悪な顔を幾つも持つ。」として、表紙にあるような1つの顔を被って焚書坑儒を為し、マイクに向かっている。「戦争は、すべてを焼きつくす 栄光の夢を見る」と詩句は叫ぶ。 「戦争は、廃墟の町を支配するのが好きだ。」 それはもうまるで、ウクライナやガザのようだ。ーー見かけだけじゃない。こんな心を侵していく風景をも言葉にする。 「戦争は、憎しみ、野心、恨みを糧とする。」 「戦争は、何も知らない人たちの柔らかな夢に入り込む。」 「戦争は、鋼と影の子どもたちを生み出す。」 戦争は、人類が産んだ鬼子だとわたしは思う。
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