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理由のない場所 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2024/05/08 |
JAN | 9784309468020 |
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
自殺した息子とその母親が言葉だけで繋がろうとする話。二人の会話を中心に進むけれど、結局は母親の頭の中で繰り広げられているので、「」はなくて、母が思っていることは筒抜けで、過去と現在がシームレスに移り変わっていく。 初イーユン・リー。 登場する親子は揃って言葉の正確さやそれらが孕...
自殺した息子とその母親が言葉だけで繋がろうとする話。二人の会話を中心に進むけれど、結局は母親の頭の中で繰り広げられているので、「」はなくて、母が思っていることは筒抜けで、過去と現在がシームレスに移り変わっていく。 初イーユン・リー。 登場する親子は揃って言葉の正確さやそれらが孕む意味に鋭敏で、繊細で、彼らの話は比喩が多くて文そのもの私には共感できないというか分からないところも多かった。ただその中でやっぱり母親の愛情や、その裏側にある悲しみの深さにどきっとさせられたし、この物語そのものが安易な答えに辿りつくものじゃないんだろうなってことは分かる。本当に悲しいことは言葉にできないから、その他の部分を触れることでどう悲しいのか、どれだけ悲しいのかを表してる感じ。 訳者あとがきに書かれてたエッセイ読みたくなったけど邦訳されてないのか…… ⚫︎あらすじ 母親の「私」と自殺してまもない16歳の息子との会話で進められる物語。著者の実体験をもとに書かれた本書からは、母親の深い悲しみが伝わり、強く心を打つ。他に類をみない秀逸な一冊。 (河出書房HPより引用)
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16歳で死んでしまった長男とその母親が心の中で交わす16章の会話。イーユン・リーが息子の自死の直後から書き始めたもので、ほぼ想いそのままなのだろう。自分の苦悩を直接描かず、母を酷評、批判、誹謗する子の言葉で自らが切り刻まれる様を見せられるのは、同じ母として…母としては自信のない人...
16歳で死んでしまった長男とその母親が心の中で交わす16章の会話。イーユン・リーが息子の自死の直後から書き始めたもので、ほぼ想いそのままなのだろう。自分の苦悩を直接描かず、母を酷評、批判、誹謗する子の言葉で自らが切り刻まれる様を見せられるのは、同じ母として…母としては自信のない人間としては、痛みを禁じ得ない。ある意味ホラー! だがしかし、それでも生きていくしかない。息子がときどき見せる優しさは、彼が16年とはいえ生きて人生を共に分かち合えたことの意味なのだし。評価はしづらい。
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限りなくノンフィクションに近いフィクション。訳が素晴らしい。ただ、訳者あとがきに「胸をえぐるような小説」「読む者の涙をさそう」とあるが、そんな陳腐な表現はふさわしくないと思う。 相手が目の前にいないからこそ交わせる言葉、あちこちに引用されている詩の手触り、対話を通じて明らかに...
限りなくノンフィクションに近いフィクション。訳が素晴らしい。ただ、訳者あとがきに「胸をえぐるような小説」「読む者の涙をさそう」とあるが、そんな陳腐な表現はふさわしくないと思う。 相手が目の前にいないからこそ交わせる言葉、あちこちに引用されている詩の手触り、対話を通じて明らかになる自分の心の輪郭。できれば「どんよりしていて寒い(p.65)」日に、静かな場所で、自分の人生と重ね合わせながら読みたい作品です。
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