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理由のない場所 河出文庫
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理由のない場所 河出文庫

イーユン・リー(著者), 篠森ゆりこ(訳者)

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理由のない場所 河出文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2024/05/08
JAN 9784309468020

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商品レビュー

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2024/08/18

16歳で死んでしまった長男とその母親が心の中で交わす16章の会話。イーユン・リーが息子の自死の直後から書き始めたもので、ほぼ想いそのままなのだろう。自分の苦悩を直接描かず、母を酷評、批判、誹謗する子の言葉で自らが切り刻まれる様を見せられるのは、同じ母として…母としては自信のない人...

16歳で死んでしまった長男とその母親が心の中で交わす16章の会話。イーユン・リーが息子の自死の直後から書き始めたもので、ほぼ想いそのままなのだろう。自分の苦悩を直接描かず、母を酷評、批判、誹謗する子の言葉で自らが切り刻まれる様を見せられるのは、同じ母として…母としては自信のない人間としては、痛みを禁じ得ない。ある意味ホラー! だがしかし、それでも生きていくしかない。息子がときどき見せる優しさは、彼が16年とはいえ生きて人生を共に分かち合えたことの意味なのだし。評価はしづらい。

Posted by ブクログ

2024/06/30

 限りなくノンフィクションに近いフィクション。訳が素晴らしい。ただ、訳者あとがきに「胸をえぐるような小説」「読む者の涙をさそう」とあるが、そんな陳腐な表現はふさわしくないと思う。  相手が目の前にいないからこそ交わせる言葉、あちこちに引用されている詩の手触り、対話を通じて明らかに...

 限りなくノンフィクションに近いフィクション。訳が素晴らしい。ただ、訳者あとがきに「胸をえぐるような小説」「読む者の涙をさそう」とあるが、そんな陳腐な表現はふさわしくないと思う。  相手が目の前にいないからこそ交わせる言葉、あちこちに引用されている詩の手触り、対話を通じて明らかになる自分の心の輪郭。できれば「どんよりしていて寒い(p.65)」日に、静かな場所で、自分の人生と重ね合わせながら読みたい作品です。

Posted by ブクログ

2024/05/19

 とても悲しい本だった。  もっと一緒にいたかった、話したいことがたくさんあった、永遠に話し足りないまま、あなたは死んでしまった。  喪うこと。想うこと。すがること。浸ること。お菓子を作ること。詩を読むこと。言葉で居場所をつくること。ふたりは言葉でしかそこにいられないこと。 「...

 とても悲しい本だった。  もっと一緒にいたかった、話したいことがたくさんあった、永遠に話し足りないまま、あなたは死んでしまった。  喪うこと。想うこと。すがること。浸ること。お菓子を作ること。詩を読むこと。言葉で居場所をつくること。ふたりは言葉でしかそこにいられないこと。 「言葉の影は語り得ぬものに触れられることがある。」  これはフィクションであるという自覚が、虚構と現実のあいだに引かれた線を曖昧にしてゆく。言葉は完璧ではないから、悲しみを完璧に云い表すことはできないけれど、その場所には言葉でしか行くことができないので、完璧じゃないまま、完璧ではない場所を続ける。場所に居続ける。  悲しみという言葉は悲しみの枠を出ていかないのに、言葉の影は、記憶や悔いや祈りや冗句、さまざまなかたちに滲むのだと思った。

Posted by ブクログ

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