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三好豊一郎詩集 現代詩文庫37
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 思潮社 |
| 発売年月日 | 1970/11/01 |
| JAN | 9784783707363 |
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三好豊一郎詩集
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本書に収録された吉増剛造氏の「父をもとめて 三好豊一郎論」によると、三好豊一郎氏は八王子で煙草屋を営んでいたそうである。そういう市井の人が、戦後間もない1949年に、第一詩集『囚人』を刊行したとは、新鮮な驚きである。では、詩集『囚人』の中から、瑞々しい感覚の詩篇をいくつか紹介させ...
本書に収録された吉増剛造氏の「父をもとめて 三好豊一郎論」によると、三好豊一郎氏は八王子で煙草屋を営んでいたそうである。そういう市井の人が、戦後間もない1949年に、第一詩集『囚人』を刊行したとは、新鮮な驚きである。では、詩集『囚人』の中から、瑞々しい感覚の詩篇をいくつか紹介させていただく。 夕映 夕映の そこに何の秘密があるか? 黒い小さな一羽の鳥が 一日の希望の名残り 夕映の残照を身にあびて 高く遠く 雲の狭(はざま)を超えてゆく 空気は冷たく澄んでいる そのあえぐ喙(くちばし)までがはっきりと見えるほど・・・ 眠りに落ちるまえのひととき 私は想い描く かなしいまでに美しい今日の夕映を 熱い瞼(まぶた)の裏を暗転する地球のうえで みもだえる一羽の小さな鳥影を 血を吐きながら わなないで わななきながら 咳込んで 天と地の間(あわい) 金と緑の燃えあがる夕映の水に落とす 脱出の苦悩の影を ――それはだんだんに遠去かる 意識から 夢と現(うつつ)のいりまじる茜の映えを追いながら やがて私は沈んでゆく 睡眠の暗い底へ・・・ 囚人 真夜中 めざめると誰もいない―― 犬は驚いて吠えはじめる 不意に すべての睡眠の高さにとびあがろうと すべての耳はベッドの中にある ベッドは雲の中にある 孤独におびえて狂奔する歯 とびあがってはすべり落ちる絶望の声 そのたびに私はベッドから少しずつずり落ちる 私の眼は壁にうがたれた双ツの孔 夢は机の上で燐光のように凍っている 天には赤く燃える星 地には悲しげに吠える犬 (どこからか かすかに還ってくる木霊) 私はその秘密を知っている 私の心臓の牢屋にも閉じこめられた一匹の犬が吠えている 不眠の蒼ざめたvie の犬が 影Ⅱ 壁に映っている僕の横顔 影には目がない 耳がない それは死の黒い輪廓だけを持つ 顳顬(こめかみ)のあたりで暗い火がちろちろと燃えている 僕の想いの影のように 親しい僕の影法師 深夜 僕ら両人(ふたり)はひそひそとささやきあう 夏から秋に移りゆく 涼しい夜半の稲妻が 一瞬 青く鋭く 遠くの闇を引きさいては消えてゆく 壁 壁――独り居の夜毎の伴侶 壁の表に僕は過ぎ去ったさまざまの夢を托す 壁の表では奇妙な影が 伸びたり縮んだりして しばし かなしく形を変える 壁は曇ったり晴れたりする ある曇天の日のの片隅を 小さな影がとぼとぼと歩いてくる 影はだんだんに大きくなる (どうやら口もありそうだ それから眼も) 起きあがって 僕は彼の手を握る つめたい掌を 疲れた とかすかな声で彼が言う 入れ替って 僕は 壁の中へ這入ってゆく 三好豊一郎氏の「囚人」について、松井潤氏は「灯火管制のなか、黒い布をまとった電球の下で、死の圧迫と寂寥のうちに書かれたもので、戦後『荒地』創刊号の巻頭を飾った歴史的作品であるとともに、1949年刊の第1詩集『囚人』にも収録されている。まさに豊一郎の詩を代表する一篇」と述べている。(ブログ「詩をよむ日日」) お終い
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