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リーゼ・マイトナー 核分裂を発見した女性科学者
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2024/03/28 |
JAN | 9784001160505 |
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- 児童書
リーゼ・マイトナー 核分裂を発見した女性科学者
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図書館の新刊コーナーで、「核分裂を発見した女性科学者」う~ん、こんな人がいたんだ、と手に取る。表紙をみれば古風な衣装をまとった若い女性。 著者は児童文学者で、児童にイラスト入りで分かりやすく著作をする、というスタイルで著作を出しているようだ。マイトナーの生涯が時系列に述べられる...
図書館の新刊コーナーで、「核分裂を発見した女性科学者」う~ん、こんな人がいたんだ、と手に取る。表紙をみれば古風な衣装をまとった若い女性。 著者は児童文学者で、児童にイラスト入りで分かりやすく著作をする、というスタイルで著作を出しているようだ。マイトナーの生涯が時系列に述べられるが、全40章で最初に1ページのコマ割りイラストがあり、次に文章。これが分かりやすくもあり、かえってわかりずらくもあり。しかし児童書なので文章はかみくだいてかいてあり、物理の部分も科学オンチの私にもなんとなく分かったような気になれた。 大学で物理学を修めた後、女性、ユダヤ人という困難を乗り越えドイツで核物質の研究にいそしむ。30年にわたる化学の共同研究者ハーンの実験に物理学的解釈をする。これが核分裂の理論だった。そしてハーンは1944年のノーベル化学賞をもらうも、理論解釈を与えたマイトナーは蚊帳の外に追いやられる。・・これはナチスの台頭による第二次世界大戦、という渦にまきこまれた結果ともいえる。・・そしてなによりその理論が原子爆弾の開発につながるのだ。 ベルリンに住むマイトナーが、回りのユダヤ人科学者が国外に逃れてもなを大丈夫、ととどまっていた末スウェーデンに逃れる検問場面や、その後の核分裂理論の発表過程などはとてもスリリングだ。本と論文あわせて百数十点発表。ノーベル物理学賞候補に29回、化学賞に19回候補にあがるも受賞せず。しかし死後の1997年、原子番号109の元素がマイトナーにちなんで「マイトネリウム」と名付けられる。 ユダヤ人排斥のためスウェーデンに逃れたマイトナーのもとにハーンから手紙が届く。 化学者ハーンの実験:1938.12.16 中性子をウラン原子核にぶつけると、より軽いラジウムのような物質ができているが、それが何を意味するか理解できない。再度実験をしても同じ結果になる。自分は化学者なのでそれが何を意味するのか分からない。この結果の解釈を頼みます。 マイトナー:1939.1.14 それは原子の核分裂である、とハーンに手紙を送る。 <マイトナーの理論>できているのは、バリウムとクリプトン(気体)と考えられる。原子核が分裂するとき、失われた質量はエネルギーに変換されるのだ。それはアインシュタインの相対性理論で明らかにできる。E=mc2の数式にぴたりとあてはまる。 ・マイトナーと甥のフリッシュはこの理論を論文にまとめ「ネイチャー」に送る(発見を知った友人の科学者ボーアの勧めにより) ・1939.1.26 ボーアは第五回ワシントン理論物理学会議で、ハーンとフリッツ・シュトラスマンがウランに速度の遅い中性子を照射するとバリウムが生成されることを放射化学的に確認したと発表する。そしてリーゼ・マイトナーとオットー・フリッシュがこの結果を解釈し、ウランの原子核が分裂して大きなエネルギーを放出したと結論づけたと説明した。 ・1939.2.11 マイトナーの論文が世に出る。 エネルギー変換が兵器利用になるかとの興奮からマイトナーの名前は忘れ去られる。 ・1944年度のノーベル化学賞をハーンが受賞。1年後に発表される。ハーンは賞金の半分をマイトナーに与えた。ナチス政権下ではユダヤ人との共同研究というわけにはいかなかった、と好意に解釈もできるが・・ <年譜> 1878.11.7 オーストリア・ウイーンに生まれる。母はスロヴァキア、父はモラヴィア出身のユダヤ人。当時ユダヤ人はユダヤ人居住区ゲットーに住んだが、父はユダヤ人初の弁護士。 1897 オーストリアの大学で女性の入学が許される。 1901(23才) ウイーン大学の物理学部に入学 1906(28才) ウィーン大学で女性として二人目の物理学博士号を取得 1907(29才) ベルリン大学の科学研究所でオットー・ハーンとともに放射性物質のベータ崩壊についての研究を始める 1915(37才) オーストリア軍にX線看護師・技師として従軍 1926(48才) ベルリン大学の員外教授に昇進 1938(60才) スウェーデンに逃れる 1968.10.27(90才) 死去 1997 周期表の原子番号109の元素が「マイトネリウム」と命名される。 2022ニューヨーク 2024.3.26第1刷
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「核分裂」という現象を発見し、誰よりも早く『ネイチャー』誌に論文を掲載しながら、「助手」扱いされて、ノーベル賞も受けられなかった物理学者、リーゼ・マイトナーの伝記。 そもそも女性が大学に入ることもできない時代に生まれ、どのステージでも「女性に門戸がひらかれた第1期生」のような存在...
「核分裂」という現象を発見し、誰よりも早く『ネイチャー』誌に論文を掲載しながら、「助手」扱いされて、ノーベル賞も受けられなかった物理学者、リーゼ・マイトナーの伝記。 そもそも女性が大学に入ることもできない時代に生まれ、どのステージでも「女性に門戸がひらかれた第1期生」のような存在。伝記全体から伝わってくる控えめでシャイな人柄にもかかわらず、その揺るぎない実力で時代にあらがいながら自分の居場所を作っていったことには、ほんとうに敬服する。 それでもユダヤ人の彼女にとって、第二次大戦へと向かう時代の嵐は過酷すぎた。当時の資料や書簡をていねいにたどっていて、マイトナーがぎりぎりまでベルリンにとどまりながら、最後、命からがらオランダへさらにはスウェーデンのストックホルムへと逃れるあたりは、胸の鼓動が伝わってくるよう。でも、現代でも同じような思いをしている難民の人たちはあちこちにたくさんいるんだよなあ。 核分裂発見の経緯(マイトナー自身は、このころ、実験器具も何もなかったので、ベルリン時代の同僚である化学者のハーンがおこなった実験を手紙のやりとりで「解釈」した)や、西側諸国が、ドイツの核開発を恐れるあまりマンハッタン計画に突っこんでいくあたり、そして終戦後、ドイツの物理学者たちが保身のため自己正当化をはかるあたり、どれも資料の裏付けがあって読みごたえがあると同時に、現代もあちこちで起きていることばかりだなと思わされて、うううとなる。
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