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無間の鐘
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2024/03/27 |
JAN | 9784065348802 |
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商品レビュー
3.4
7件のお客様レビュー
その鐘をつくとなんでも望みが叶う代わりに、死後は無間地獄で永遠に苦しむに加え、子供も現世の地獄を味わう。それにもかかわらず、鐘をつきたがる人は絶えない。本書では、そんな業の深い人間を描写しているが、中には純粋な気持ちだったり、止むに止まれぬ事情があったりする。その点をうまく織り込...
その鐘をつくとなんでも望みが叶う代わりに、死後は無間地獄で永遠に苦しむに加え、子供も現世の地獄を味わう。それにもかかわらず、鐘をつきたがる人は絶えない。本書では、そんな業の深い人間を描写しているが、中には純粋な気持ちだったり、止むに止まれぬ事情があったりする。その点をうまく織り込んでいるところは面白い。最後の章で、なぜ十三童子がこの鐘を所有しているのかの種明かしがあるが、これも人間の欲の恐ろしさ、欲が不幸を撒き散らすことを改めて突きつけられる。
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6作の連作短編からなる時代小説。 修験者然とした十三童子が、無間の鐘を携えて時空を超えて人の世を行脚しているそうな。その鐘を撞けば、どんな願いも叶うが、撞いた者は底なしの無間地獄に堕ち、その子も今生の地獄を見る。さて、撞くか撞かぬか? と欲のある人に迫る。 笑うセールスマンのような、撞いたら最後、「ドーン!」とオチが待ってる戒めに満ちた短編集かな? と読み進むが、少し予想外の展開だった。 「小説現代」に掲載された「親孝行の鐘」「嘘の鐘」以降は、書き下ろし。「黄泉比良坂の鐘」が古事記の逸話も引きつつ、良い話だったかな。 以下、「慈悲の鐘」「真実の鐘」、「無間の鐘」と続く。 嵐で難破した船の乗組員たちが岬の小屋に逃げ込んだところから話が始まり、ふと現れた十三童子が、夜が明けるまでの時間つぶしの余興にと、彼が体験してきた、鐘を撞いた人々の逸話を語っていく設えであるが、そもそも、なんで、そんなシチュエーションからだろうと頭の片隅に「?」を置いておくとよい。 全てがつながって、難破した船、その乗員の素性が明かされていくというオチは、悪くなかった。 結局、無間の鐘は本当に欲を叶えてくれるのか、は謎のまま。十三童子とはいったい何者なのか。まだ続編は紡げそうだ。 なにしろ、彼の旅の終わりは、「この世から欲がなくなるまででございます」とのこと。 最後のこのセリフは、人の性(さが)を言い当てているようで、耳が痛い。 「清吉さんのおっしゃる通り。なくなるわけがございません。今いるこの世こそが、私にっては無間地獄なのでございます。」
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第100回オール讀物新人賞を満場一致で受賞した中編を含むデビュー作『貸本屋おせん』を読んだとき、「よし!全力で推そう」と心に誓った。誓ったはいいが、自店ではなかなか思うように売ることができずにいた。じくじたる思いを抱えていたある日、選考委員を引き受けている“書店員が選ぶ時代小説大賞”の候補になんとおせんが選ばれてきたではないか。推しが推されにやってきた。嬉々として臨んだ選考委員会の席上、あの手この手でおせんの魅力を訴え続けた。天涯孤独の貸本屋を営むおせんが巻き込まれる(あるいは首を突っ込む)本にまつわる事件たちを描いた連作中短編集は、おせんのキャラクタと彼女を取り巻く人々の優しさや幼馴染みとのかけあいがいい具合に混じり合ってとてもとても読み心地の良い捕物帖なのだ!と。そしてなにより紙好き本好きたちの心をわしづかみにするビブリア小説なのだよ!と。しかし、残念ながらおせんは次点となり大賞は逃 してしまったのだ。あと3時間ほどあれば他の選考委員を説得できたかもしれぬ、無念…などと思っていたところに届いた二作目がこの『無間の鐘』だ。 寡聞にして未知だったが、これは遠州は小夜の中山にある観音寺の梵鐘で、打てば現世では富貴に恵まれるが来世で無間地獄に堕ちまた、その子どもは地獄のような今生を生きることになる、という恐ろしい鐘だという。この鐘のミニチュア版を持って世を渡り歩き、欲にまみれた人々を無間地獄へといざなうのが十三童子という僧形の人物。柿衣に八目草鞋、首から結袈裟をかけ手甲で覆われた手に錫杖を持つ見目麗しく怪しげ極まりない十三童子がある嵐の日に迷い込んだ小屋で十二人の水主たちに語って聞かせた物語たちだ。 今も昔も人の世には欲があふれている。人が人として生きていく根源的力というのは叶おうが叶わまいが得てしてこの「欲」から生まれてくるものなのだろう。 『無間の鐘』にでてくる欲は子どもが願う切ないものから人の生き死ににかかわるものまでその重さと深さはさまざまである。そのひとつひとつに十三童子のたくらみが絡まっていく。死んだあとも八万四千大劫もの長い間続く地獄と、自分の子どもが味わう今世での地獄、それと我欲を天秤にかけてしまう人間の愚かさ。目の前にある欲が、願いが叶うことが自分にとって幸せなのか。本当の幸せとは何なのか。それは自分の死後と子どもの地獄と釣り合うものなのか。十三童子の語りに思わず我が身を顧みる。 例えば親孝行の鐘を撞いた権蔵。廻船問屋大黒屋の放蕩次男坊の、当世一の金貸しになりたいという願いは、意外と生真面目な質と運も手伝い10年ほどで叶えられる。願いが叶った後で払うはずの代償。それは、子どもを持つ前にはわからなかった「子どもが堕ちる地獄」という恐怖そのものなのだろう。けれどそんな眉間にしわのよりそうな辛気臭い 話で終わらないのが高瀬乃一のいいところ。思わずニヤリとする展開が心地よい。 つ目の、嘘の鐘を撞いた勘治の話が実は一番好きだ。名の知れた錺職人だった祖父が倒れ、破落戸の父親にたかられながらも職人として細々と仕事を引き受ける毎日。そんな勘治の願いは父親との縁切り、のはずがなぜか病に伏し頭もぼんやりしていたはずの祖父が急に元気になり勘治に技を仕込み始める。おや?願いを間違えたのか?といぶかりながら読むその先の思わぬ真実の見事さよ。 黄泉比良坂の鐘を撞いた平太、慈悲の鐘を撞いたお楽、真実の鐘を撞いた根太郎、と水主たちに語る話が繋がっていくと読者はこれが1つの大きなうねりの中にあったことに気付かされる。無間の鐘は本当に欲を叶えてくれるのか。十三童子とはいったい何者なのか。なぜ業深き人間を無間地獄へいざない続けるのか。読み返すごとにいろんなものが見えてくる。高瀬乃一、これからも推す。
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