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ホロコーストからガザへ 新装版 パレスチナの政治経済学
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ホロコーストからガザへ 新装版 パレスチナの政治経済学

サラ・ロイ(著者), 岡真理(訳者), 小田切拓(訳者), 早尾貴紀(訳者)

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ホロコーストからガザへ 新装版 パレスチナの政治経済学

定価 ¥2,860

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青土社
発売年月日 2024/02/24
JAN 9784791776337

ホロコーストからガザへ 新装版

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商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2024/06/28

ホロコーストのサバイバーを両親に持つユダヤ系の研究者によるガザの状況分析などについての紹介や講演などを収めたもの。 著者のガザの経済学的な分析は、しばしばイデオロギー的な議論になるこの問題に対して、全体を理解するためのフレームを提供しているとのことで、この問題に関心を持つ人々に...

ホロコーストのサバイバーを両親に持つユダヤ系の研究者によるガザの状況分析などについての紹介や講演などを収めたもの。 著者のガザの経済学的な分析は、しばしばイデオロギー的な議論になるこの問題に対して、全体を理解するためのフレームを提供しているとのことで、この問題に関心を持つ人々には必読のものとのこと。 残念ながら、その本を未翻訳であるが、この本の第一部はその辺りをわかりやすく伝えようとする内容となっている。 第二部が本のタイトルになっているロイのパーソナルなストーリーを中心にユダヤ人とパレスティナとの関係についての語り、そして対話となっている。 ホロコーストを経験し、ナチス崩壊後の戦後においても反ユダヤ的な感情は収まらず、自分がかつて住んでいたところに戻っても、そこには違う人が住んでいて、帰る場所がないという状態が生じる。 そこで、ホロコーストを生き残った著者の母と叔母は、違う決断をする。母はアメリカに移住することにし、叔母はイスラエルに移住することにする。この関係はその後も良好に続くわけだが、選択を分けた決断には、違う価値観があったとのこと。 母親は、多様性、他者への寛容性が、ユダヤ教の伝統にあると感じ、ユダヤ人だけのイスラエルではなく、多様な民族が暮らすアメリカへの移住を決断する。 叔母は、これだけの迫害を経たことから、ユダヤ人としてまとまって生きるということのセキュリティを大切にして、イスラエルへの移住を決意する。 どちらもなるほどの選択であると思った。 が、ここで問題になってくるのはイスラエルにおけるホロコーストの位置付け。対外的には、ホロコーストはイスラエルという国が存在しなければならない具体的な理由となる一方で、イスラエルにおいて、東欧のユダヤ人、ホロコースト経験者への態度は、「ナチスに抵抗せずに言いなりなった無力な人々」ということで軽蔑の対象とも言えるものであるらしい。 つまり、イスラエルという国は、反ユダヤ主義に対して、抵抗する、戦って自分たちを守るというのがアイデンティティにあるのだ。 傍観者的には、ホロコーストを体験したユダヤ人なんだから、もっと多様性を大切にして、パレスティナ人と仲良く共存すればいいのにと思うわけだが、この単純なことがなかなか成立しないのは、こうした国成り立ちが関係していたのだとなんか腑に落ちるところがあった。 この本は、もともと2009年に出たもので、昨今の情勢を踏まえて、再版されたものだが、この15年を経て、問題の基本構造が変化しないどころか、より強化、激化されていることにただ驚くばかりだ。 サラ・ロイさんの本が翻訳されることを願う。

Posted by ブクログ

2024/05/04

これは必読。。 ユダヤ人であり、政治経済学者の著者が、イスラエルによるパレスチナの「占領」政策の構造を冷徹に解き明かします。 暗澹たる気持ちになりますが、読んでよかった。

Posted by ブクログ

2024/04/21

緊急復刊!! ひとつの社会全体が崩壊しようとしている 「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助のゆくえ。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。いまもっとも読むべき一冊。(ht...

緊急復刊!! ひとつの社会全体が崩壊しようとしている 「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助のゆくえ。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。いまもっとも読むべき一冊。(http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3907) イスラエルがいかにガザや西岸を分断し、対立させ、資源と土地を奪い、仕事を奪い、経済の自由を奪い、政治的主体から援助なしでは成立できない「物乞い」に弱体化させてきたかということ。 そうすることで、人々の希望を打ち砕き、結束を不可能にしてきたかということ。 シオニズムと本来のユダヤ教的価値観とは相容れないものであるということ。 イスラエルではホロコースト犠牲者、生存者を侮辱し、その一方でホロコーストを利用し、パレスチナへの攻撃、占領を正当化しているダブルスタンダードがあること。 多くのイスラエル人が加害者として向き合うことの難しさ、われわれと他者の線引きによって起こされるパレスチナの人々の破壊。 ホロコースト生存者を両親に持つユダヤ系アメリカ人としての視点と、政治経済学の視点の二軸で語られることで、今起きていることの問題をより明確にしてくれる本。 さらに徐京植さんのレスポンスと対話では、在日韓国・朝鮮人と日本の問題にも繋がる。 過去の人間の過ちを薄めることなく、今起きている問題との共通項を認めること、ホロコーストからガザ、そして日本へ、そうした考え方こそ必要であり、人文学を学び、社会に還元するということなのだと思う。 以下、引用。 「パレスチナ自治政府が樹立されてからは、イスラエルは都合のいいときだけ「相手」を独立した主権として扱った。いかにもパレスチナ自治政府の飛び地が占領下には置かれていないかのように。このきわめて効果的なプロパガンダのおかげで、たいていのイスラエル人は、自治政府の樹立が独立国家の建国と同等のものだと信じており、にもかかわらずパレスチナ人は恩知らずなことに、平和を求める小さなイスラエルを攻撃してきていると思い込んでいる」。(p.97) 痛みの感覚を同族にだけ認めること、人間としての苦痛を認める範囲を「われわれ」だけに狭めること、これが究極的な課題とされているのです。こうして意図的に盲目となることによって、原則を破壊し、人びとを破壊し、相手を抱擁するあらゆる可能性を抹消し、そうして他方では悲劇的なかたちで自分自身だけが安楽を得ているのです。(p.191) 自分が抑圧者で加害者であるだなんてことは誰も信じたくはないわけです。とりわけイスラエル内外のユダヤ人は、自身を被害者だと認識していますし、また無垢な民であると肯定したい強い欲求があります。実際、過去から現在にいたるまで自分たちがパレスチナ人に対して何をしてきたのか、それはぞっとするほどの不正義であり犯罪行為なわけですが、それを直視するのはつらく難しいことですし、加害者として被害者のパレスチナ人と向き合うということもなかなかできません。こういったことがユダヤ人の自己認識を支えていると、自分たちが無垢であるという思い込みから抜け出そうという意思も能力も出てこないのです。(p.255) 自分の前に見えている亀裂、自分の知らない何かがあった、このドアの向こうに、日頃気づいていないけど、恐ろしい差別や殺戮があった、というその気配を感じたときに、その気配の前で、どのくらいわれわれが敏感になれるか、ということだと思います。(中略)自分たちは知らない、知らないかもしれない、しかし、知らないということが恐ろしい、知らなくていいはずはない。こういう自問こそが、連帯の基盤、新しい普遍性への基盤なのだと思います。(p.269)

Posted by ブクログ

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