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人間はどこまで家畜か 現代人の精神構造 ハヤカワ新書019
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2024/02/20 |
JAN | 9784153400191 |
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人間はどこまで家畜か
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商品レビュー
3.8
17件のお客様レビュー
進化生物学や近年の精神医療の現場の状況がまとまっていて、興味深い内容だった。 西暦2060年近未来Aのシナリオが妙に具体的で面白い。逆に2160年の近未来Bはオルダス・ハクスリーのすばらしい新世界を彷彿とさせる感じで、遠くのことを語ろうとすると何かに似てしまい、かえって凡庸になる...
進化生物学や近年の精神医療の現場の状況がまとまっていて、興味深い内容だった。 西暦2060年近未来Aのシナリオが妙に具体的で面白い。逆に2160年の近未来Bはオルダス・ハクスリーのすばらしい新世界を彷彿とさせる感じで、遠くのことを語ろうとすると何かに似てしまい、かえって凡庸になると感じてしまった。
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自己家畜化という言葉自体、初めて聞いた言葉だったが、論点としてすごく面白かった。 長生きした方がいいだろうとか、便利なものがいいだろうという、喜怒哀楽の外の感情(というかもはや倫理)によって作った文化に、自己を家畜化して順応してきた結果が、文化に追いつけない人間や倫理外の感情を生...
自己家畜化という言葉自体、初めて聞いた言葉だったが、論点としてすごく面白かった。 長生きした方がいいだろうとか、便利なものがいいだろうという、喜怒哀楽の外の感情(というかもはや倫理)によって作った文化に、自己を家畜化して順応してきた結果が、文化に追いつけない人間や倫理外の感情を生み出す悪循環になっている。皮肉めいている。 他の動物に比べて人間は個体差としての頂点と底辺の差が大き過ぎるのか。 現代の社会で生まれたことが、ギリギリの救済な気がしてしまう。自己家畜化自体の是非はともかく、それを邁進する人間の未来が、どうしてもディストピアに見えてしまう。それは拡大し続ける「半強要される多様性」に対して人間が一点に集約してしまうように思えてしまうからなのか。もっと多方面からこの論議が出て来ていいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ウシやブタ、イヌやネコが家畜化したのと同じように、人間もまた家畜化が進んでいる。それは、ウシやブタのような人為的家畜化ではなく、イヌやネコが人間の生活環境に自ら適応し、生物学的な性質を穏やかで協力的な方向へ変えてきた、自己家畜化であるといえる。 自己家畜化とは何か、その歴史から始まり、現代社会が家畜化と言われる所以、それに適応できない人について、最後に未来はユートピアかディストピアかについて語られている。 現代を生きる人間は自己家畜化を経てきた、それは現在進行形であると言い切るなんて野蛮な、という第一印象をタイトルから抱いていてとても興味がある本でした。 家畜というとウシやブタのことを指し、それが人間に当てはまるなんてと思っていましたが、確かに人間の歴史を紐解き、現代社会の構造について読み進めていくと家畜化されていると思えました。 取り分け最も私の見解をガラリと変えたのは、現代社会は出産も死も医療化されそれが習慣となっているという部分でした。そんな今では当たり前のことと捉えている医療の進歩が人間の文化的な自己家畜化の一因を担っているという考え方は目から鱗でした。 本作では、過去を美化したり現代社会を批判したりすることを主旨とは決してしておらず、文化的な自己家畜化の恩恵を受けるその陰には生物学的な自己家畜化が追いついておらず、社会の変化についていけない人がいる、それを踏まえた上でこの先どうやっていくのかを語られていて、思想や感情的でないところがとても良かったです。 私としては、筆者が提示した近未来はやむなしと思いますし、超未来はSF漫画などで見た未来は現在と地続きで起こりうることだと捉え、そこまで悲観的、ディストピアとも思わなかったです。
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