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屍衣にポケットはない 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2024/01/29 |
JAN | 9784102404416 |
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
主人公の怒りが物語のエネルギーとなって最後まで疾走する。 これは著者の怒りか。 光明は見えないが、不思議と暗さはない。
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超★5 まさに文春砲! 破天荒な記者が大暴れする犯罪小説&社会派スリラー #屍衣にポケットはない ■あらすじ 1930年代アメリカ、新聞記者だった主人公ドーランは会社の方針と体制に異を唱えて退職する。その後彼は、自分のやりたい報道をやるために自ら雑誌を刊行、街では多くの読者を獲...
超★5 まさに文春砲! 破天荒な記者が大暴れする犯罪小説&社会派スリラー #屍衣にポケットはない ■あらすじ 1930年代アメリカ、新聞記者だった主人公ドーランは会社の方針と体制に異を唱えて退職する。その後彼は、自分のやりたい報道をやるために自ら雑誌を刊行、街では多くの読者を獲得してゆく。しかし報道する記事は、街の権力者や有名人の隠された秘密を暴くものであったため、様々な方面から圧力をかけられてしまい… ■きっと読みたくなるレビュー 超★5 これはおもしろい~ 原作は第一次大戦と第二次大戦の間、1930年代に書かれた物語ですが、90年後の現代で読んでみても十分に理解できるし、楽しんで読むことができます。いやむしろ、文春砲だの、切り抜き記事だの、SNSでの心無い誹謗中傷だの… 寛容になれない人間どもでいっぱいな現代こそ、読むべき作品だと思いましたね。 まず何より言いたいのは、主人公ドーランのキャラクター。真実を報道するためだったら、マジでどんなことでもするアツい男。というより、狂った男と言ったほうが近い… しかもシモのほうは品がないし、金にだらしないし、犯罪スレスレで人間性を疑うような言動ばっかりだし、サイテーと言ってもいい。でもモテるんだから意味がわからん。 しかしこのクレイジーな人間性に惹かれてしまうのはよくわかる。曖昧な善悪をはっきりさせたり、悪しき慣習にナイフを突き刺しにいくなんて、生命力に溢れているに違いないです。 特に終盤の本書タイトルに関連するセリフを言い放った場面は、カッコ良すぎてマジ漏れそうでした(無鉄砲すぎてアホだなとも思ったのも事実なんですが)。ただこういった狂犬たちが社会を少しずつ変化させていくんでしょうね。 また本書は文章をつむぎ出しやセリフ回しが独特で素敵なのよ。古い映画のナレーションや会話を見ているようで、オールディーズに浸れる浸れる。ドギツイ洒落や女性とのナイトタイムの駆け引きなんかはニマニマが止まりませんでした。 そしてこの物語の終盤はどうなってしまうんだ? ヒヤヒヤワクワクで読み進めてゆく。粗暴ながら真実を暴くという自分の信条を貫いた彼に、幸せや勝利は訪れるのか… 鋭利で重厚な結末、そして長い長い余韻が待っていました。私がもっとも好きなエンディングでしたね。 犯罪小説でもあり、スリラーでもあり、勧善懲悪でもある、超ド級なエンタメ小説です。今年読むべきミステリーの一冊です。 なお本書の解説は書評家の杉江松恋先生ですが、研究論文ともいえる内容で素晴らしかったです。オマケともいえる解説にも関わらず、まぁ読ませる読ませる。歴史、作家、作品はもちろん、社会背景の考察も深いし、文芸としての解釈もめっちゃ参考になりました。これだけの情報整理とコクのある解説を書ける人、先生以外に日本にいないと思うわー。大変勉強になりました。 ■ぜっさん推しポイント ゴシップ誌やネット記事など、世の中にあふれている歪んだ正義感。巨悪にメスを入れることで弱い者が救われることもあるでしょうが、これが正しい形なのか賛否両論があると思います。ペンを動かして情報を伝えることに、どれほどの覚悟と狂気が必要なのか。そして情報を読んだ我々も、その後どういった行動していくかが重要なんだと思いました。
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地方紙の記者マイク・ドーランは真実を暴く報道よりも広告収入を重視して忖度する会社の体制に怒り編集長と喧嘩して辞職。自ら雑誌を創刊して告発記事を次々と発表、大きな評判になる。しかし大手新聞社からの圧力、資金難、町の有力者からの嫌がらせなど多難が続く。政治的信念もなくただ倫理感だけで...
地方紙の記者マイク・ドーランは真実を暴く報道よりも広告収入を重視して忖度する会社の体制に怒り編集長と喧嘩して辞職。自ら雑誌を創刊して告発記事を次々と発表、大きな評判になる。しかし大手新聞社からの圧力、資金難、町の有力者からの嫌がらせなど多難が続く。政治的信念もなくただ倫理感だけで怒りを爆発させるドーランは抑制が効かずどんどん突き進む。しかし社会が腐り切っているのか、目指すゴールを持たないドーランが無謀なのか。 ドーランは不正に対してやみくもに怒りをぶつける。フェアじゃないことに爆発させる怒りは仲間に、普段嫌っている共産主義者と同じだと揶揄されもする。 この怒りはどこから出てくるのか。ドーランは自分の育った環境に不満がある。その歪みが歯止めの効かない怒りを暴走させる。その怒りは死をも辞さない。今の時代にも似たような人がいるような。遺体に着せる屍衣にポケットはない。あの世には何も持っていけない。そして決して幸せなラストは待っていないのだ。
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