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夢みる宝石 ちくま文庫
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夢みる宝石 ちくま文庫

シオドア・スタージョン(著者), 川野太郎(訳者)

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夢みる宝石 ちくま文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2023/10/10
JAN 9784480439130

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商品レビュー

3.5

4件のお客様レビュー

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2024/02/22

孤児のホーティーは冷酷な養い親の元を逃げだし、飛び乗ったトラックでカーニバルの人びとに出会う。身分を隠してカーニバルに溶け込んだホーティーだが、養育係のジーナはホーティー自身も知らない彼の正体に気がついていた。カーニバルの団長〈人喰い〉モネートルが企む邪悪な計画からホーティーを救...

孤児のホーティーは冷酷な養い親の元を逃げだし、飛び乗ったトラックでカーニバルの人びとに出会う。身分を隠してカーニバルに溶け込んだホーティーだが、養育係のジーナはホーティー自身も知らない彼の正体に気がついていた。カーニバルの団長〈人喰い〉モネートルが企む邪悪な計画からホーティーを救おうと画策するジーナだが……。優しさと人間らしさをめぐる幻想的なSF小説。 スタージョンの最初の長篇ということで、終盤の怒涛の説明台詞といいご都合主義的な展開といい、完成度が高いとは言えない作品だと思う。けれど、この物語に描かれた優しさが好きだ。児童文学のようでありながら、辛い目にあった人の心をあたためるさりげない優しさのひとつひとつを取りこぼさずに拾っていく文章が好きだ。人間性と優しさの表現を音楽に託す音楽讃歌なのが好きだ。 ジーナは人間らしい尊厳を持ち、ホーティーにも同じように生きることを教えた。だが、ある意味で彼女を人間にしたのはモネートルだとも言える。ジーナはモネートルに支配され、自由を奪われていたが、自分一人に"人間らしく"語りかけるモネートルをどこかで憎みきれなかったのだと思う。ホーティーがケイとブルーイットに愛憎を振り分けて人間性を獲得したように、ジーナはモネートル一人に相反する感情を抱き続けることで〈完成〉した。おそらくモネートルはジーナをこそ水晶との仲介者にしようと教育してきたのだろう。でもそれは諸刃の剣だった。 水晶たちを生物兵器化して各地に疫病をばら撒くモネートルは巨悪だが、それに対して卑近で矮小などこにでもいるクソ野郎ブルーイットの邪悪さたるや、本当に忌々しい。ケイへのセクハラ・モラハラシーンが真に迫ってストレスフルなので、そこで一旦読むのをやめてしまうほどだった。語り手が一貫してケイの側につき、不快感と苦しみに寄り添ってくれるのが救いだな……と思いつつ読み進めると、いつのまにかホーティーの復讐劇が始まっている。 ホーティーからブルーイットへの復讐劇は作中で一番直接的な暴力が描かれる。同時に、描写が一番スタイリッシュで、ブラックな笑いがちりばめられた印象的な章だ。ホーティーがこんなことをするのはショッキングでもあるのだが、ジーナはブルーイットへの復讐心も彼を人間にするために必要なものだったと言う。クソ野郎がやられてスカッとするというだけではない、人間性の昏い部分が描かれている。 水晶人という無性的な設定がありながらジーナの愛情を女性的なものとして表現しているところや、ジーナの見た目が結局「普通の人間の娘」になること、個よりも優先すべきものとして種の保存が説かれることなど気になる点はあるものの、本作には優しさを書き記すための文体があることを教えてもらった気がする。 「だれにも言わないよね?」 「言わない。袋にはなにが入ってるの?」 「なんにも」 見せるように迫られたり、袋をつかまれたりしたら、ホーティーが彼女と会うことは二度となかっただろう。だがケイはこう言った、「お願い、ホーティー」 (p.20) これだけで八歳のケイがホーティーを人間として尊重したことがわかる。養家をでたホーティーが噛み締めるように味わう優しさのいちいちが、くどくない簡潔な文章で読者の心にも染み渡るのだ。 しかし、ジーナとホーティーがカーニーの外で"人間らしく"生きていくには「普通の人間」のようにならなくちゃいけない、ということへの懐疑は、この作品にはない。その先に進むにはキャサリン・ダンの『異形の愛』が必要だ。

Posted by ブクログ

2023/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

SF作家シオドア・スタージョン(1918~1985)が1905年に書いた処女長編小説。水晶(のように見える)の生物が夢みることで他の生物(人間をふくめて)生み出すという突拍子もないアイデアを基にした不思議な冒険小説でありボーイ・ミーツ・ガールの物語である。そのファンタスティックな語り口が魅力的だ。

Posted by ブクログ

2023/10/23

スタージョン『夢みる宝石(The Dreaming Jewels,1950)』 新訳を読了。 寂しがり屋の人間嫌い、 ないものねだりの変人スタージョン(←個人の見解です)の 処女長編……というほど長くはないSF幻想ビルドゥングスロマン。 孤児の少年ホートン、通称ホーティは ブル...

スタージョン『夢みる宝石(The Dreaming Jewels,1950)』 新訳を読了。 寂しがり屋の人間嫌い、 ないものねだりの変人スタージョン(←個人の見解です)の 処女長編……というほど長くはないSF幻想ビルドゥングスロマン。 孤児の少年ホートン、通称ホーティは ブルーイット夫妻の養子だが、孤独だった。 野球の最中に蟻を食べた(!)ことを糾弾されたホーティは 養父アーマンドと揉み合いになり、 クローゼットの蝶番に左手の三本の指を挟まれて重傷を負った。 ホーティは心の支えである玩具、 びっくり箱人形のジャンキーを引っ掴んで脱出し、 仲良しの少女ケイ・ハローウェルにだけ別れの挨拶をして、 咄嗟の思い付きでトラックの荷台に飛び乗った。 そこにはカーニー(巡業見世物)のメンバー、 少年のようで少年でない太っちょのハバナと アルビノのバニー、浅黒い肌をした小さくて美しいジーナ、 聾唖の〈ワニ革男〉ソーラムがいて、ホーティに優しく接してくれた。 ホーティはジーナの手で女装し、 彼女が考えたセリフを即座に覚えて暗誦すると、 妹キドーとして芸人の仲間入り。 一座のボスは通称〈人喰い(マンイーター)〉。 元は医者で人間を憎んでいるという本名ピエール・モネートルは 意外にも優しくホーティの傷を手当てしてくれたのだが、 内心には恐ろしい企みがあった…… ……と、そのまま見世物カーニヴァル内で 話が進むのかと思ったら違った。 無垢なホーティの純真、 マッドサイエンティスト〈人喰い〉モネートルの妄執と野望、 医師を目指す弟を支えるケイの献身とホーティへの思慕、 そして、何といってもホーティのためなら 自己を犠牲にするのも厭わないジーナの深い愛、 それらが、夢に見たものを実体化させる力を持った 奇怪な水晶の謎を巡って絡み合う物語。 若干“痛い”描写もあるし、何人も死んでしまうのだけど、 意外にも心温まるエンディングを迎えたのでホッとした。 何故ホーティが蟻を食べたのか、 終盤でちゃんと(本人も知らなかった)理由が 明かされたところがツボだった。 もう少し詳しいことを 後でブログに書くかもしれません。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/

Posted by ブクログ

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