キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オセージ族連続怪死事件とFBIの誕生 ハヤカワ文庫NF

デイヴィッド・グラン(著者), 倉田真木(訳者)

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 2023/09/29
• JAN: 9784150506032

商品レビュー

2025/12/24

保留地から溢れ出る石油により巨万の富を築いたオセージ族の怪死事件と、その解決によりFBI誕生のきっかけとなった捜査員たちの記録。
怖いなと思ったのが、黒幕らしき人々が逮捕され一応の解決となるものの捜査すらされない無数のオセージ族の人々や関連する人々の事件が後から数珠繋ぎで出てくること。それは歴史の闇に葬り去られたパンドラの箱で筆者はその一端を垣間見ただけに過ぎないという「現実」に戦慄を覚えた。

ノンフィクションなので登場人物たちの実際の顔写真や舞台となる街や建物の写真も随所に挿し込まれているので、否が応でも実在感を持ってしまう。こんな事件がたかだか1世紀前に起きていたこと、そしてたかだか1世紀で忘れ去られようとしていることの重みがのしかかる。

2025/12/19

冒頭からかなり好みの文章でのめり込んで読んだ。作者によって綿密に調べ上げられた圧倒的な情報量と、整理された読みやすさに驚く。
現地の様子、のちのFBIの捜査官の視点、さらに記者（著者）の目線と三部構成で語られるこの一連の事件は、想像以上にどこまでも闇深く、最後までページを捲る度に驚愕の連続だった。石油の発掘がこの地にもたらした巨額の富は、現地の人々の生活を豊かにするだけではなく、差別や搾取の蔓延、組織の腐敗…を根深くさせていく。濃密なノンフィクション、悍ましく肝が冷えたが、完成度の高さに感動。傑作。

2024/02/20

映画を観てから原作へ。
1920年代のアメリカで起こった先住民虐殺事件を取材したノンフィクション。

同じ頃、日本では関東大震災。関東大震災といえば福田村事件。

両者には呼応するものがあるような気が。