物流DX 業界標準の指南書 改革・改善のための戦略デザイン

大川口隼人(著者), 吉田幹朗(著者), 秋川健次郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 秀和システム
• 発売年月日: 2023/09/26
• JAN: 9784798067322

商品レビュー

2025/01/25

物流だけではなく、DXそのものの基礎的な部分から説明してくれるのが本書の良い所。その代わり肝心な物流は薄味に感じるが仕方ない。物流DXがまだまだ模索中で答えのある分野ではない。

オンラインショッピングが増え、配送で日用品を得る機会が増えれば、より運送業界の重要性が増すと共に人手不足が問題となる。圧倒的な力でオンラインを牛耳るプラットフォーマの覇権は不可逆的に強まり続けるが、店舗型を守るには、この運送費用との効率性、バランスで決まる。つまり大量に店舗に仕入れて客が取りに行く形態か、大量に倉庫に仕入れて家庭まで運送する形態か。

中抜きが減り、仕入れる量も桁違い、店舗管理コストも要らないオンラインに本屋や玩具屋などの小さなお店は対抗できない。食料品のみ何とか食らいつき、その大型化にもお店は飲み込まれていく。

DXの起源の話。スウェーデンにあるウメオ大学のストルターマン教授が、2004年に提唱したのがはじまりといわれており、当初の定義は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」。

より良い方向とは何なのか。デジタルが一律に労働解放に繋がれば良いが、仕事のある人とない人が共存する限り、そこに差をつけなければ、働く人が奴隷みたいだ。逆に差をつければ、働けない人が惨めになる。お金により生活に差をつけたのが資本主義社会の前提であり、過渡期は、ブルシットジョブがその充填剤だという気がした。