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邂逅の滝
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2023/09/21 |
JAN | 9784334100537 |
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商品レビュー
3.8
17件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
(図書館) 【概要と感想】 後醍醐天皇の第三皇子である護良親王暗殺をモチーフに、それに仕えた望月への怨みを「紅姫伝説」として、順不同の時系列で連作短編にした一冊。 本来は時代物を書きたかったんだろうなという感じです。 現代から始まるので世界観は入りやすい。どういう構成なのかわからず、別のお話?と思いきや、途中で(望月、いったい何をしたんだ…)と気づくので、時代も登場人物も変わる割に、続きが気になる。 しかし、すっごい暗いです。何せ、室町時代から現代まで続く紅姫様の怨みを描いている作品群なので…。 もし存在するなら「瀧口屋」行ってみたくなりますね。草餅食べたい。紅滝のモデルはあるのかな。 【登場人物とあらすじ】 ・ファウストの苔玉(現代,21世紀) 瀧口暮葉:奔の実姉、5年前に事故で逝去 瀧口奔:瀧口屋の息子 瀧口美鳩:奔のいとこ(奔の父の弟が美鳩の父) 望月志郎:暮葉の彼氏 →祭りで紅姫を演じた日に事故死した暮葉。5年後、いとこの美鳩が紅姫を再演した日、暮葉の恋人だった望月志郎も同じように事故でなくなる。 ・アーム式自動閉塞信号機の夜(大正時代,1913年) みよ:滝口屋の女郎 上原仙造:みよの客,大阪甲種商業の学生 露子:仙造の婚約者 望月:鉄道技師,露子の母方の従兄 →女郎みよは客の仙造と想い合うが実家が太い露子と結婚せざるを得ない。露子に想いを寄せる従兄の望月は、仙造を諦めさせるためにみよに近づいた結果、みよと心中させられてしまう。 ・犬追物(1591年,戦国時代) →人買いに売られた太郎丸、次郎丸の兄弟は同じく攫われた身の上の少女と出会いあとりと名付け寝食を共にする。ある館で主に使える望月の元で犬獲りで日銭を稼いでいたが、館の主の大事な犬をころさせてしまったかどで瀕死の目に合わされた兄。兄を安楽死させ、仇を打つ。 ・緋縮緬のおかげ参り(江戸時代,1830年代頃) →三嶋屋の長女として生まれたこうは他のきょうだいよりも秀でて美しく父親は人形のように大事にする。他のきょうだいが死に絶え、こうに迎えた夫が次々なくなり、それにも心を動かさずただ美しくだけのこうは次第に恐れられていく。 若い神職の槇に出会い激しい恋に落ちたこうは駆け落ちするが、思い切れず、引き返す途中で瀧口屋を営む望月に出会い激しく惹かれ合う。 ある日祠の灯明が瀧口屋の建物に燃え移り、望月と槇が火に巻かれる。それを見たこうは自ら紅滝に身を投げる。 三嶋屋は娘こうの乱行を畏れ、祠と茶屋を再建するだけのお金を支払っていった。 ・宮様の御首(室町時代〜鎌倉時代回想) →舞姫の家に匿われた宮様(護良親王、後醍醐天皇の第三皇子)は舞姫を寵愛する。宮様と父帝(後醍醐天皇)の連絡係として宮様に支える望月四郎は、舞姫の妹分である久礼と心を通わせるようになる。未来が見える久礼には宮様の最後(および21世紀までの望月との付き合い)を見通すことができた。 暗殺された宮様の首と宮様の子を宿した舞姫を連れて、自分の子を宿した久礼と逃亡する望月。道中死に瀕した身重の久礼を見捨て、宮様への忠義のため舞姫と生まれた若宮を連れて立ち去る。 瀕死の久礼に、末代まで自分を怨むように聞かせる。今際の久礼には、色々な時代で望月と睦む未来が見えている。 若宮様を無事逃した後、紅滝へ戻った望月は、そこに祠を建てたのであった。 「小説宝石」掲載 2021年1.2月〜2023年5.6月号
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くれ姫の呪いがどうしてかけられたか最終章でわかる。 どの章でも望月はいい男。 そして(昔の)どの章でも体のどこかが不自由な女が出てくる。 肥やしにされた男。 惚れた男のために他の男と死ぬ女。 不条理。男と女の邂逅がそもそも不条理なのか。 すべては滝が凍って赦される。 あ〜私...
くれ姫の呪いがどうしてかけられたか最終章でわかる。 どの章でも望月はいい男。 そして(昔の)どの章でも体のどこかが不自由な女が出てくる。 肥やしにされた男。 惚れた男のために他の男と死ぬ女。 不条理。男と女の邂逅がそもそも不条理なのか。 すべては滝が凍って赦される。 あ〜私にも滝に打たれるくらいの出会いがなかったかなー。
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紅滝、紅姫、瀧口屋、その謂れとそれに纏わる数々の逸話。時を超えて縺れ合い、繋がり続ける男と女の物語。古の情念は褪せることもなく、2人を出逢わせては引き離していく。 連作の形で紡がれるこれらの物語は、すべてを読み終えて初めて始まり、そしてさらに続いていくのだ。 本当に素晴らしい筆致...
紅滝、紅姫、瀧口屋、その謂れとそれに纏わる数々の逸話。時を超えて縺れ合い、繋がり続ける男と女の物語。古の情念は褪せることもなく、2人を出逢わせては引き離していく。 連作の形で紡がれるこれらの物語は、すべてを読み終えて初めて始まり、そしてさらに続いていくのだ。 本当に素晴らしい筆致と描写、そして物語。著者の作品を読むのは初めてだったが、正直、驚愕した。それぞれの短編の結末も鮮烈で、尚且つすべてを読み終えた時の満足感は言葉に表せないほどで、繰り返し登場する紅滝、祠、もみじの木のイメージが頭から離れない。これはきっと名作と呼ばれるようになるに違いない。 巡りめぐる魂がいつか赦されて完結する時を、願わずにはいられない月曜の午後だった。
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