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暗闇の効用
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 太田出版 |
発売年月日 | 2023/09/20 |
JAN | 9784778318918 |
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商品レビュー
4.5
5件のお客様レビュー
ポピュラーサイエンス本の翻訳本としては異常な読みやすさ。 テーマも光害の影響となんとなくは認識しているけど具体的な被害や影響は把握していないテーマで、興味深く読み進めることができた。初版本だったけどもっと売れてて良さそう。
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光害(ひかりがい)という言葉を御存知だろうか。現代社会ではLEDの広がり等に伴い、暗闇がなくなっている。それが、生態系など自然界にも深刻な影響を与えつつある。 著者は、谷崎の陰翳礼讃を取り上げながら、暗闇の大切さを訴えている。
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人類が昔から望んできて得られた光明が、「光害」となっていることを論じている本。ウミガメの赤ちゃんが光のある方向を目指す本能があるばかりに、陸地の明るい方を目指してしまう害の話は色々なところで聞いたことがあった。他にも、サンゴやコウモリ、ウナギ、プランクトンなど様々な動植物が、現代...
人類が昔から望んできて得られた光明が、「光害」となっていることを論じている本。ウミガメの赤ちゃんが光のある方向を目指す本能があるばかりに、陸地の明るい方を目指してしまう害の話は色々なところで聞いたことがあった。他にも、サンゴやコウモリ、ウナギ、プランクトンなど様々な動植物が、現代の光の多さに甚大な影響を及ぼされていて、暗闇による保護を必要としている事例が数多く書かれていて興味深い。また。宇宙の起源として、「暗闇のなかの一瞬ないしは永遠」にあるとする観点の暗闇の話もある。 日本の書籍もいくつか出てくる。村上春樹『1Q84』のもうひとつの月が浮かぶ世界の話や、(これは絶対に参照していると思ったけれども)建築業界の必読書(と書かれている)谷崎潤一郎『陰翳礼讃』で特筆される「さまざまな素材における、ほとんどわからないほどの細かな質感や古つやといった微妙なディテールや影こそが、全体を構成する重要な要素」「光と影の微妙なニュアンスは芸術、建築、文学のなかの諸要素を結び合わせる」話が引用されている。この本もそろそろ再読したくなってきた。 「光を対極に置かずに、暗闇を語るのは困難」と著者が考えているように、それ自体の定義を語ることは確かに難しいなと思った。ジャーナリストのオーケ・ルンドクヴィストという方が言ったという、「暗闇とは、光がないことではない。光のほうが、薄められた闇なのだ。光の速さについては、しばしば驚嘆をもって語られる。対して、暗闇の速度はゆっくりだ。暗闇は優しく、静かに、魂の慰めとしてやってくる」という記述からも、「暗闇とは?光とは?」と考えることの難しさが伝わってきた。
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