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左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ PHP新書1367
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | PHP研究所 |
| 発売年月日 | 2023/09/20 |
| JAN | 9784569855530 |

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左利きの言い分
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商品レビュー
3.7
9件のお客様レビュー
古本屋で偶然見つけた本書。 左利き当事者として存分に「言い分」を噛みしめたく購入。 日常生活における不便さの代表格、駅自動改札での腕クロス問題。これは長年そういうもんだとこなしているせいか、無意識下にあり不便性を実感する機会はもうないな。寧ろ、どちらの手でタッチしているかすぐに...
古本屋で偶然見つけた本書。 左利き当事者として存分に「言い分」を噛みしめたく購入。 日常生活における不便さの代表格、駅自動改札での腕クロス問題。これは長年そういうもんだとこなしているせいか、無意識下にあり不便性を実感する機会はもうないな。寧ろ、どちらの手でタッチしているかすぐに思い出せに程自然な動きとなっている。耳目を集める例だが取り立てて不便さを喧伝するほどではないかなーという個人的な感想。 本書による発見は、「左利きの不便益」という概念。日常的に小さな不便さや躓きに苛まれているからこそ、他者を気遣う共感力が培われるのだという論。これは最近はやりのネガティブケイパビリティに通ずるのでは。とはいえ、不便さに耐えきれなく鬱屈とした精神が植えつけられる可能性もあるのでそれぞれ個人間によるとも思う。 昔からの謎、左利きは芸術肌論。自分には全くその才能を感じずに生きてきたのであるが、本書は結論を突き付けてくれた。左利きは「能力の優劣が両極端」になる傾向がある。なるほど!悲しくなるわ。 さらに、左脳に言語中枢があるが左利きは右脳もしくは左右脳両方に言語中枢がある割合が約30%もあるんだと。つまりは、右脳にて言語中枢能力を司り、右脳本来の直観・感情表現などの芸術要素が萌芽しないこともありうる(という私の理解)。なんか自分が小さいころ感じた左利きへの期待を裏切るパーソナリティへの違和感が拭われたわ。 参考文献の多数列挙は信頼性の証。日本や世界における左利きへのとらえ方も学べるし、左利きを過小評価しないで相互理解を進めていこうという指針もおおむね同意。何気ない出会いではあったが、良い読書体験でございました。(最近この締め方一辺倒だな、違う表現を模索しよう)
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私も左利きなので、この本はとても気になった。左利きは幼稚園に上がって集団生活するようになると、嫌でも自分が周囲と違うことを自覚させられる。例えば「お箸を持つ手を挙げて」と言われて、みんなと逆の手を挙げてしまうからである。したがって、左利きは利き手について物心つく前から自覚的な場...
私も左利きなので、この本はとても気になった。左利きは幼稚園に上がって集団生活するようになると、嫌でも自分が周囲と違うことを自覚させられる。例えば「お箸を持つ手を挙げて」と言われて、みんなと逆の手を挙げてしまうからである。したがって、左利きは利き手について物心つく前から自覚的な場合が多く、どうして左利きが生まれてくるのかや、社会や歴史において左利きがどう扱われてきたかということに、自然と関心が向くようになる。かく言う私も著者と同じように、大学では民話の中で左利きあるいは左という概念がどのように描かれているか、レポートを書いたことがある。 だが、「人類の一割は左利きなんだから、世間はもっと左利きに配慮すべき」という意見には、私はやや後ろ向きである。たとえば、十人に一人は左利きなんだから、自動改札機も十台に一台は左利き用にすべきだろうか。左利きからよく槍玉に挙げられるのは自動改札機のほかに急須やハサミもあるが、私はあれらは左利きどうしが内輪で盛り上がるための自虐ネタだと思っている。なぜなら、自動改札機は不便ではあるが通れないわけではないし、お茶だって不恰好にはなっても淹れられないわけではない。ハサミも本書で指摘されているように、むしろ右利き用に適応しているくらいなのだ。つまり、不便といっても生活に支障が出るほどではなく、切実な問題ではないのである。 それよりももっと重要な問題は、左利きに対する固定観念である。私は昭和生まれの人間なので、当たり前のように矯正を受けた。現在では無理に矯正しなくてもいいという風にだいぶ寛容になってきていることは本書にも書かれている通りだが、それでも「自分の子が左利きで生まれてきたら矯正する」という人は少なくない。理由を聞くと「不便だから」という。しかし、左利きでないあなたにどうしてその不便さがわかるのだろうか。なかには「左利きだとかわいそう」という人さえいる。善意で言っているのはわかるが、私から言わせるとそれは「思いやり」ではなく「思い上がり」である。 これはマジョリティとマイノリティ、あるいは健常者と障害者などを考える上でも非常に重要な視点である。マジョリティに属している人は、自分たちが「普通」だと勝手に思い込む。もっと言うと、「正しい」とさえ思っている場合がある。そしてマイノリティは「間違って」おり、「直さなければいけない」と考える。これは左利きの矯正を見ると非常にわかりやすいと思う。 弱者への愛にはいつも殺意が込められている──そう書いたのは安部公房だった。私たちは障害者や弱者と接するとき、やさしさのつもりで実際には上から相手を見下ろし、「助けてあげている」と思っていないだろうか。あなたの「善意」を当事者はどう感じているだろうか。なぜ「左利きはかわいそう」なのか。どうしてあなたはかわいそうだと「決める側」で、相手は「決められる側」でなければならないのか。 私は右利きの人たちに勝手に忖度してほしいとは思っていないし、無理をしてまで世の中を左利きに合わせてほしいとも思わない。それよりも、「あなたがどう思っているか」ではなく「本人がどう思っているか」を大事にしてほしい。もしもあなたの子供が左利きで生まれてきたなら、その子がどう感じているか、どうしたいのかを聞き取ってほしい。右利きでも左利きでも愛していると伝えてほしい。そして願わくは、左利きについて考えることが、弱者やマイノリティへの接し方を考えるひとつのきっかけになればと思う。
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左利きを理解することは、インクルージョンに繋がる。 たまたま左利きの文字の書き方を調べていたところ、本書の存在を知った。国内だけでなく国外も含めた左利きに関する歴史、左利き誕生の遺伝的な話などは、意外と知らなかったなと気づきながら読んでいた。 矯正による悪影響や左利きの著名人...
左利きを理解することは、インクルージョンに繋がる。 たまたま左利きの文字の書き方を調べていたところ、本書の存在を知った。国内だけでなく国外も含めた左利きに関する歴史、左利き誕生の遺伝的な話などは、意外と知らなかったなと気づきながら読んでいた。 矯正による悪影響や左利きの著名人も触れるなど、左利きへの理解を右利きの方に深めていただくという意味で、左利きの人間としてはこのような本が出るのは有難く感じた。
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