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トルコ 建国一〇〇年の自画像 岩波新書1986
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2023/08/21 |
JAN | 9784004319863 |
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トルコ 建国一〇〇年の自画像
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商品レビュー
4.5
4件のお客様レビュー
親日国として知られるトルコ。イスタンブールやカッパドキアなど、馴染みのある場所も少なくない。しかし、どれだけ等身大のトルコを知っているだろうか。 トルコ人の友人がいるが、今のエルドアン大統領は、彼にはどう映っているのだろうか?もし自由が制限されている国なら、本音を聞くのは難しい...
親日国として知られるトルコ。イスタンブールやカッパドキアなど、馴染みのある場所も少なくない。しかし、どれだけ等身大のトルコを知っているだろうか。 トルコ人の友人がいるが、今のエルドアン大統領は、彼にはどう映っているのだろうか?もし自由が制限されている国なら、本音を聞くのは難しいだろうし。クルド人を抹殺しようとしている国では?新聞で時事トピックスの表面ヅラを読むだけで何も分かっちゃいない。しかし興味がそそる国の一つだ。 この本を読んで、いかに欧米系のリソースに偏った見方をしてきたのかが分かった。(イスラムに対する、ある意味ネガティブなイメージを持つ西側のニュースを読んでいれば、このような色眼鏡で見てしまうのは当然なのかも知れないが) あとがきにもあるが、 2023年5月の大統領選挙では、日本でも報道はエルドアン政権への批判で溢れたが、そのほとんどは、欧米での反エルドアンの論調の焼き直しだった。日本のメディアには、ウクライナ戦争に関連して「NATO加盟国として責任を果たせ」と、アメリカになり代わってトルコに説教する論調も目立った。投票率が85%に達したトルコに説教するよりも、まず日本人の選挙への無関心をなんとかすることの方が、よほど重要ではないだろうか。 本書を貫くモチーフは、西欧世界から向けられる蔑視や嫌悪とトルコが自ら行ってきた改革との関係であった。 エルドアン政権の最初の10年は、教条的な世俗主義を採る司法と軍部による政治介人との闘いだった。外から見て、イスラム主義を支持する、支持しないを言うのは自由だが、国の政治を決めるのは国民の意思である。今のトルコにはその意思を表明する自由がある。とあった。 開かれた国であること、どこかの国のような自己主張のない国でもないことが理解出来た。 またオスマントルコの敗北においては欧米列強に翻弄された国ではあったが、逞しく国造りをしているとポジティブな印象を持った一方、欧米追随の見方は改めるべきだと、再認識した。
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2023年現在のエルドアン政権がどのように今の内政/外交方針を固め、動いているのかを、時にトルコ建国まで立ち戻りつつ構造的に解説してくれた。 特にトルコ国政を脅かす要因としての「ギュレン教団」や「PKK」についてはーーそれらの存在があるからといってトルコ政府がクルド人を差別し続...
2023年現在のエルドアン政権がどのように今の内政/外交方針を固め、動いているのかを、時にトルコ建国まで立ち戻りつつ構造的に解説してくれた。 特にトルコ国政を脅かす要因としての「ギュレン教団」や「PKK」についてはーーそれらの存在があるからといってトルコ政府がクルド人を差別し続けることを正当化しないけれどもーートルコにおけるエスニシティの平等を追求する際の困難をもたらしていることは理解した。 アメリカのクルド人武装組織支援や、イラク戦争&シリア内戦の爪痕、EUのキプロス統一政策の失敗、EUやNATOにおけるトルコへのイスラーム的偏見、さらにはロシアのウクライナ侵略戦争が始まってしまったことなど、トルコ単独で最善を目指すのにもさすがに限界があるだろうとため息をつくような情勢がそこにあり、トルコという国で政治をよくすることの難しさにうんざりしてしまった。エルドアン政権(公正発展党)は、こんな中で一応はEU基準をクリアしようと改革を進め、クルド人等の人権を保護する政策パッケージを打ち出しており、独裁からは程遠い。しかし今後、議院内閣制を捨てたことの弊害が出てこないとも限らないため、引き続き成り行きを中止してゆきたい。
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オスマン帝国崩壊=トルコ共和国建国100年の節目に出された本書。トルコ近代史と内政/外交事情について知ることができたが、この分野初見の私には少々難解だったので、再読の必要性を感じる。 2023年の大統領選挙。ウクライナ戦争での対応(ロシアへの経済制裁を行わない、フィンランド・ス...
オスマン帝国崩壊=トルコ共和国建国100年の節目に出された本書。トルコ近代史と内政/外交事情について知ることができたが、この分野初見の私には少々難解だったので、再読の必要性を感じる。 2023年の大統領選挙。ウクライナ戦争での対応(ロシアへの経済制裁を行わない、フィンランド・スウェーデンのNATO加盟に条件を付ける等)もあってか、エルドアン大統領は特に日本や欧米では「独裁者」「(やや差別的ニュアンスを含む)イスラム主義者」「差別主義者」のようなイメージで批判される報道が多かったように感じるが、本書での解説を読むに、かなりバランス重視のスタンスであると理解した。 世俗主義とイスラムの両立は絶対的に不可能だが、エルドアン大統領の弱者救済と国民の総意を重視する姿勢は、双方の主義の「いいとこどり」のような感じで、イスラム教徒が大半を占める共和国においては、非常にバランスの取れたやり方なのではないかと思う。欧米諸国からの批判が多いのは、トルコ国内の左派と同じように、イスラモフォビア的な要素がかなり影響しているのではないかと感じた。 大統領選挙キャンペーン期間中の5月上旬頃にちょうどトルコに滞在していたが、エルドアン大統領の評価は世代によってかなり分かれている印象だった。クーデターが頻発し、血と暴力で支配された暗黒時代を経験している年配層は、インフレで苦しくてもエルドアン支持。逆に経済政策や不法移民・治安問題に不満を持つ若年層は左派支持という感じ。 エルドアン大統領が難民受け入れを続けていることを当時知らなかったため、特に不法移民にひどく不満を持っている話を聞き、てっきり保守派=右派=エルドアン支持?と思っていたらエルドアン反対のようで混乱していたが、いわゆる日本の左派とは異なり、「トルコの左派=保守派(?)」という特殊な在り方ということが本書内で説明されており、ようやく納得できた。 トルコのクーデター時代の話を読み、左派=世俗主義・リベラルと言っても、行き過ぎると差別的・暴力的・排外的になるのはどこも一緒なんだなと思った。世俗主義を絶対とするが故に過剰に反応し、イスラム的価値観を持つ人々にかなり排外的な対応を取ってきたことで、現在のエルドアン支持層が逆に強固なものになったのは非常に興味深い。
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